映画賞を乱暴にブレンドして、2021年の「いい映画」を炙り出してみる
U-NEXT映画部の林です。いよいよ2021年度の映画賞レースも大詰め。今日3月11日には日本アカデミー賞が発表されます。TV放送もされて一般的な認知は高い賞ですが、日本には重要な映画賞が他にもたくさん存在します。
今回はそんな各映画賞の結果を無理やり得点化して、2021年の日本映画を興収軸ではなく、評価軸でまとめてみたいと思います。
映画業界内で「権威がある」とされていたり、ある程度の歴史があったり、受賞者が喜んで授賞式に訪れたり、という点を考慮して、あくまでも独断で8つの映画賞をピックアップ。
部門の作りが特殊でなく、既に今年も発表されているアワードに限定しているので、「あの賞がない!」ということがあったとしてもどうかご了承ください。
これらの映画賞は、記者が選んだり、評論家が選んだり、一般の市民が選んだりと様々な特色を持っています。それらをブレンドしてみたら「つまり、2021年の”いい映画”はこれ!」というランキングができるのではないだろうか、という乱暴な実験です。
乱暴ついでに、各作品が賞を1つ受賞するごとにゲットできるポイントを、部門別に定めました。これも力強く独断!
昨年日本国内で公開された日本映画は490本。と考えると、1ポイント獲るのも至難の業なのです。ではまいりましょう。「第1回 映画賞ブレンド映画賞」、栄えあるベスト10の発表です!
第1位 ドライブ・マイ・カー (48pt.)
日本一どころか世界一になりかけている本作。当然の結果ですね。U-NEXTでも2月から配信開始して、多くの皆さんにご覧いただいています。3月28日の米国アカデミー賞の授賞式の光景を思うと、今から震えが止まりません。
第2位 空白 (29pt.)
新聞社系の賞も獲っていますが、市民系の映画祭で得点を伸ばしました。吉田恵輔監督と各キャストがバランス良く受賞しています。個人的にもぶっ刺さった1本です。
第3位 孤狼の血 LEVEL2 (17pt.)
「待ってました!これぞ東映!」と快哉を叫んだ前作から3年後を描く続編。またしても各賞を賑わしました。主演の松坂桃李もさることながら、「圧倒的な悪」を演じ切った鈴木亮平が助演賞を総ナメ状態に。
第3位 茜色に焼かれる (17pt.)
石井裕也監督渾身の一作。壮絶な環境下で、それでも前を向き懸命に生きるシングルマザーを演じた尾野真千子と、同じく苦境の中で戦う片山友希が各賞で高い評価を獲得しました。
第5位 すばらしき世界 (14pt.)
日本を代表する映画作家・西川美和の最新作。元受刑者役を圧倒的な実在感で表現した役所広司の力は言わずもがな、彼と”伴走”した仲野太賀に泣かされた観客は多かったことでしょう。
第6位 護られなかった者たちへ (11pt.)
東日本大震災後の困窮と生活保護をめぐる問題という社会的テーマに真っ向から挑んだ社会派ミステリー。あれから11年を迎えた今日こそ改めて見つめ直すべき作品です。
第6位 偶然と想像 (11pt.)
『ドライブ・マイ・カー』の濱口竜介監督が手掛けた3編からなる短編オムニバス。2021年のベルリン国際映画祭で銀熊賞(審査員グランプリ)を受賞しました。
第6位 BLUE/ブルー (11pt.)
『空白』に続いてランクインの吉田恵輔監督、強かったです!自身ボクシング歴30年超だからこそのリアルな描写で見せる「持っている奴」と「持ってない奴」の切ない対比。瓜ちゃんのゴム長靴シャドー、忘れられません。
第9位 いとみち (9pt.)
青森出身の横浜聡子監督がオール青森ロケで綴った人間讃歌。メイドカフェで働く津軽弁少女を好演した駒井蓮に新人賞が集まりました。
第9位 由宇子の天秤 (9pt.)
女子高生いじめ自殺事件を追うドキュメンタリーディレクターが迫られる究極の選択。U-NEXTでは3月23日から独占配信開始です。出演作が引きも切らず、そのどの作品でも鮮烈な印象を残す河合優実は、次代のスター女優候補筆頭でしょう。
「第1回 映画賞ブレンド映画賞」いかがだったでしょうか。いやー本当に「いい映画」ばかり!わかりやすいエンタメ映画こそありませんがそちらは興収ランキング側に任せるとして、これぞ日本の今を代表する創作物として未来に誇れる作品群ではないでしょうか。
ちなみに手前味噌ですが、ベスト10のうち実に5本が「ONLY ON U-NEXT」としていち早くお客様にお届けした(お届けする)作品たちでした(『茜色に焼かれる』『すばらしき世界』『護られなかった者たちへ』『BLUE/ブルー』『由宇子の天秤』)。この結果にもガッツポーズ。
今年も映画部員一同、「いい映画」にギラギラと目を光らせてまいります!