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Maxを日本へ、日本コンテンツを世界へ。U-NEXTは米ワーナーとの新たなパートナーシップ発表しました

2024年9月19日、U-NEXTはワーナー・ブラザース・ディスカバリー(WBD)と新たな独占パートナーシップ契約の締結を発表しました。
同社が展開する動画配信サービス「Max」の日本市場での展開をU-NEXTが独占で行うとともに、日本発のコンテンツをU-NEXTからMaxを通じ全世界へ配信およびプロモーションしていきます。
本記事では、その記者発表の内容をサマリー・再編集し、U-NEXTの概況と今回のパートナーシップ契約の詳細、そして今後の展望をお伝えします。

Paravi統合、ライブエンタテイメント拡大を経て続伸するU-NEXT

最初に登壇したのはU-NEXT代表取締役社長の堤天心。U-NEXTの現在の事業概況および、それを踏まえた今回のパートナーシップ契約の概略をご紹介しました。

株式会社U-NEXT 代表取締役社長 堤 天心

堤 天心:いよいよ9月25日、MaxがU-NEXT上でサービスをスタートします。私からは今回の提携の前段となる、U-NEXTの概況や今後の方針、および提携の概略をお話しさせていただきます。

まずは会員数です。IRでも発表した通り、直近2024年3Qでは433万人。足元の9月では450万人を突破しました。コロナ禍で市場が大きく拡大しましたが、それ以降も堅調に成長を続けています。

その背景となった直近1〜2年の取り組みをご紹介いたします。

1つが、昨年7月に実施したParaviとのサービス統合。これによって、TBS、テレビ東京が手がける地上波のコンテンツを我々がお届けできるようになりました。

同時に80万人のParaviユーザーの方々が、統合後、従来からU-NEXTで配信してきたさまざまなコンテンツも楽しんでいただけるようになりました。加えて、昨年4月からはTBSとテレビ東京において放送内告知も開始し、認知拡大・加入促進にも大きな効果をなしております。

もう1つ、我々が力を入れてきた領域が、ライブエンターテインメントです。音楽ライブやスポーツをOTTで楽しむ体験がコロナ禍を経て浸透しましたが、U-NEXTもここへ注力をしてきました。

音楽エンターテイメントでは、大小問わず年間300以上のライブを配信。J-POPのスターアーティストのライブからK-POPのフェスなどの配信を通し「ライブも楽しめるU-NEXT」というポジションを確立したと考えております。

そして音楽と並び、もう一つのライブの柱がスポーツです。サッカー、ゴルフ、格闘技、Tリーグ、そして先日発表したBリーグの配信も予定しております。

また、特にサッカーにおいては、イングランドのプレミアリーグと7年間のパートナーシップ契約を締結し、日本での独占配信を開始。2023年より配信を開始したスペインのラ・リーガ(1部)と合わせ、双方を楽しめる「サッカーパック」の展開もはじめ、多くのサッカーファンの方にご加入いただくなど、大きなモメンタムも生まれています。

次なる飛躍を目指す、オリジナルIP

堤:このように拡大を続けてきたU-NEXTですが、今後会員数を500万、そしてその先まで拡大していくべく今後2つの注力テーマを掲げております。1つが「オリジナルIP」、もう1つが「グローバル」です。

まず「オリジナルIP」について。当社では2020年より「U-NEXT Publishing」という名前のもと、原作者・クリエイターの方々とともに全くゼロからオリジナルのIPを創出する活動に邁進してきました。

既に100点を超える小説、コミック、縦スクロールコミックの新規タイトルを創出・展開。実際に、我々が創出したIPのメディアミックスが実現してきております。

小説からは、芥川賞作家・藤野千夜さんによる『団地のふたり』。NHK BS放送でドラマが絶賛放送中で、大きな評価をいただいております。オリジナルコミックからは海石ともえさんの『五十嵐夫妻は偽装他人』の実写ドラマ化が決定しました。

このようにIPへ投資してメディアミックスを実現することで、プラットフォームの価値向上を図っていければと考えております。

「世界→日本」と「日本→世界」2つのグローバル

堤:そして、もう1つの「グローバル」は本日の主題でもございます。
「グローバル」には2つの意味合いがあります。

1つは、世界の魅力的なコンテンツを日本のユーザーに届けていくこと。
我々は世界の有力なドラマ、欧米、一部アジアの優れたコンテンツを日本のユーザーに届けることに長年注力してきました。さらに2021年からはワーナー・ブラザース・ディスカバリーとパートナーシップ契約を締結し、HBO、HBO Maxオリジナル作品の独占配信も手がけてきました。今回のパートナーシップ締結はこうしたコンテンツ展開の文脈において、大きな意味を持ちます。

もう1つは、日本のコンテンツを世界のユーザーに届けていくこと。
今回の事業提携は、Maxのプラットフォームを通じて、日本以外の1億人以上のユーザーへ日本のコンテンツを届けていく意味合いもあります。そうして世界に届けば届くほど、日本の市場は活性化されていく。我々は次のフェーズへ向かうにあたり、日本のコンテンツ市場の活性化に貢献したい。その狙いも含めて今回Maxと提携させていただくこととなりました。

パートナーシップを進化させ、「共同事業パートナー」へ

堤:改めてではございますが、今回MaxがU-NEXTを通じて日本でサービス展開するのは、パートナーシップとしての進化であると私は捉えています。以前はプラットフォーマーとライセンスホルダーの関係性でしたが、今回はある意味「共同事業パートナー」になりました。

日本の方々に対しは、Maxのコンテンツに限らず、Maxというブランドを届けるべく、コンテンツとサービスの両面をともに開発していく。そして、日本以外の方々に対しては、日本のコンテンツをMaxを通してディストリビューションする。その両面を“共に描くパートナー”であり、2021年のパートナーシップとはフレームが異なるという点は、一番大きなポイントと考えております。

私からは以上です。詳細は後ほどCOOの本多からご紹介させていただきます。本日はどうもありがとうございました。

ワーナー視点で見る「パートナーシップ」の意味

続いて、ワーナー・ブラザース・ディスカバリー アジア・パシフィック プレジデントのジェームズ・ギボンズ氏が登壇。WBDの視点からみた、今回のパートナーシップ締結の理由と「日本」の可能性を説明いただきました。

ワーナー・ブラザース・ディスカバリー アジア・パシフィック プレジデント
ジェームズ・ギボンズ氏

ジェームズ・ギボンズ氏:私たちワーナー・ブラザース・ディスカバリーは、「HBO」「Maxオリジナル」「ハリー・ポッター」「DC」「ワーナー・ブラザース」「カートゥーン ネットワーク」「ディスカバリーチャンネル」「アニマルプラネット」「ゲーム・オブ・スローンズ」「セックス・アンド・ザ・シティ」といった世界有数で象徴的なブランドやIPを多く抱えております。どのメディア企業よりも幅広い領域をカバーするとともに、それを多面的なチャネルを活用して展開しています。

ストリーミング、テレビ放送、映画館、ライセンシングはもちろん、コンシューマープロダクトや体験型ビジネスまで。さまざまなアプローチから、ブランド・IPの世界観を広げてきました。進化し続ける消費者のニーズに応えるべく、あらゆるタッチポイントからファンのエンゲージメントを深めることに力を入れています。

さらにここ数年では、新たな配信チャネルの活用にも注力してきました。『ワーナー ブラザース スタジオツアー東京 – メイキング・オブ・ハリー・ポッター』もその一例で、大変な人気を博しております。

当社では日本を重要なマーケットの一つと捉え、長年さまざまな事業を展開してまいりました。さらに近年その重要性は増しており、成長の余地は大きいと捉えております。その成長において中心的な役割を果たしてきたのが、強力な「パートナーシップ」の存在です。日本ひいてはアジア太平洋地域で規模拡大を図っていく上では、今後も「パートナーシップ」は重要な要素であり続けるでしょう。

日本市場と、日本のコンテンツの可能性

ギボンズ氏:本日は、その一環である独占契約を発表するために参りました。U−NEXTにおけるMaxの立ち上げです。

ストリーミングは弊社事業においても特に重要な成長のドライバーです。Maxは米国での立ち上げ以来、ラテンアメリカや欧州でも展開するなど急成長を遂げています。そんななかアジア太平洋地域において、日本は有数のストリーミング先として注目してきました。

その日本で急速に成長しているOTTプラットフォームがU-NEXTです。その成長速度はこの市場を深く理解されている証左でもあると私たちは考えています。

実際、2021年からのパートナーシップ契約においては「日本のお客様にプレミアムなワールドクラスのコンテンツをお届けする」という共通の目標をしっかりと達成してきました。今回のMaxの配信はそのパートナーシップの進化形です。

もちろんMaxを日本に展開する上での選択肢はさまざまあります。その中でもU-NEXTと一緒に取り組むことを選んだのは、それがより早く、より効率的に、より多くの日本のお客様と関係性を築いていけると考えたからです。

9月25日以降、U-NEXT上でMaxは「HBO」「DC」「ワーナー・ブラザース」「カートゥーン ネットワーク」「ディスカバリーチャンネル」「アニマルプラネット」といった他の追随を許さないシリーズ、大ヒット作品、人気ファミリー映画、そして最高レベルのリアル・ライフ・エンターテインメントの提供を始めます。 

また、当社はアジア太平洋地域を単なる"配信先”でなく、"コンテンツ発信源”としても捉えております。先ほどのお話にもありましたが、今回のU-NEXTとのパートナーシップでは、日本のコンテンツをMaxを通じて世界中の視聴者に対してお届けできるようになります。

プレミアムドラマとビッグアニメIPなどはわかりやすい例ですが、日本のコンテンツが持つ力は、経験的にも強く感じています。また、最近でも日本の歴史をテーマにしたコンテンツが、世界で人気が出ることが示されました。(編注:第76回エミー賞のドラマシリーズ部門にて史上最多となる18部門を制覇した『SHOGUN 将軍』)

当社としては、ユニークネスを持った作品を届けていきたいと考えております。具体のコンテンツは今後会話を重ねていく予定です。今後、皆様にお知らせできることを楽しみにしています。

私たち自身、今回のU-NEXTとのパートナーシップ締結に非常にワクワクしております。本日はお越しいただきましてありがとうございました。

圧倒的にパワーアップするU-NEXTの“ONLY ON”

最後は、U-NEXT 取締役COOの本多利彦が登壇。本プロジェクトを最前線でリードしてきた立場として、そのパートナーシップの詳細と、実際に取り扱われるコンテンツについても語りました。

株式会社U-NEXT 取締役COO 本多利彦

本多 利彦:日本時間9月25日、MaxがU-NEXTに登場いたします。これは日本初であり、アジア初のMaxの展開です。U-NEXTとワーナー作品との歴史は15年以上前、VODの先駆けとして、U-NEXTの前身が立ち上がったときに遡ります。さらに、先ほどジェームズからも話題に挙がったように、2021年3月にはHBOシリーズの独占ライセンス提携を発表。大変大きな話題を呼びました。

当社にとってはこの独占契約によって、それまでの圧倒的なカバレッジだけではなく、"U-NEXTでしか見られない”作品を擁する「ONLY ON戦略」を打ち出す契機ともなりました。また、これを機にプラットフォームとしてのポジショニングが上がった確かな実感があります。

当時はコロナの真っ最中だったため、私と堤だけでの会見でしたが、本日はこうしてジェームズや日本代表のバディ(※ワーナー ブラザース ジャパン日本統括ゼネラルマネージャーのバディ・マリーニ氏)とご一緒でき大変嬉しく思います。

さて、今回の取り組みはこれまでと何が違うのか。

まず、U-NEXTのカバレッジがさらにパワーアップいたします。「HBO」「Maxオリジナル」「ハリー・ポッター」「DC」「ワーナー・ブラザース」「カートゥーン ネットワーク」「ディスカバリーチャンネル」「アニマルプラネット」といったMaxが誇る有数の世界が同時に登場。最新作から長く愛されるライブラリコレクションまで、すべて日本語版でご提供いたします。その数は初年度で2500作品以上、16,000話以上。圧倒的なボリュームで配信していきます。

ハリウッドからの最新作、最新映画や世界で話題のシリーズ、ホグワーツからはじまるハリー・ポッターの世界観から、ジャスティスリーグのヒーローアクション満載のDC、教育水準の高いドキュメンタリーやファミリーコンテンツ、癒しと発見、感動をくれる動物の世界、毎日見ても飽きないくらい、毎日見ても足りないくらいのボリュームです。

それらの作品をスマートフォンやタブレット、PCはもちろん、スマートTV、先日日本でも発表されたApple Vision Proまで、あらゆるデバイスで高画質・高音質でお楽しみいただけます。

なお、MaxはSVOD(Subscription Video on Demand:定額制動画配信)の見放題サービスです。当社ではこれまで映画作品においては、劇場公開直後はTVOD(Transactional Video On Demand:都度課金型動画配信)で配信し、数年後にSVODでご覧いただくウインドウで提供してまいりました。

ただ、このウインドウもMaxの世界基準に合わせ、さらに早くお届けできるよう調整をしております。もちろん日本の商習慣も踏まえたバランスも必要ですので、後日の発表をぜひお待ちください。

ここで具体の作品についてご紹介させてください。Maxの最新作、日本では正式に発表されていない数多くの作品も含まれております。まずは2022年に公開された映画「ザ・バットマン」から誕生したスピンオフ最新ドラマ「THE PENGUIN」。こちらは本国同時配信、日本時間で2024年9月20日より独占配信が開始されます。ぜひお楽しみにしてください。

また、Maxでは映画から生まれたドラマシリーズが数多く誕生しています。そのひとつ、2021年に公開された映画「DUNE」のスピンオフドラマ「デューン 預言(原題:DUNE: PROPHECY)」です。ドラマは映画の1万年前の世界を舞台にしています。

さらに来年は、日本でも大ヒットを記録して幅広い世代に支持をされております「セックス・アンド・ザ・シティ」のスピンオフ「AND JUST LIKE THAT...」の新シーズン、や「THE LAST OF US」の新シーズンも続々登場してまいります。

単に配信ではなく、戦略を立て「日本のコンテンツ」を世界へ

本多:改めて、このMaxプロジェクトでは世界最高峰のエンターテイメントをU-NEXTで日本の皆様にお届けいたします。

またそれだけに留まらず、先ほども話にありましたが、我々U-NEXTから日本語コンテンツを海外のMaxへもつなげてまいります。つまり、U-NEXTから日本の素晴らしいIPをMaxを通してワールドワイドにお届けしていく。

かつ、それは海外のMaxで単にライナップされるというだけでなく、Maxとともにストラテジーを組み日本語コンテンツを全世界に拡大すべく挑戦することを目指しています。コンテンツをただ出すだけで話題を呼べる時代ではありません。世界中のプラットフォームに何十万、何百万というコンテンツがある中、適切な展開方法、プロモーションプランなどを練り、丁寧に届けていきたいと考えています。

扱う作品は私たちのオリジナルIPに限りません。資本業務提携をさせていただいているテレビ局のコンテンツもありますし、我々は多様なコンテンツを扱っておりますので、可能性は幅広くあると考えています。

U-NEXTが誇る日本のIPの数々から厳選し、丁寧にストラテジーを組んでグローバルに最高峰のMaxを通して届けていく。それにより日本のエンターテイメント文化を全世界へ広げるとともに、日本のコンテンツのファンダムを海外に構築してまいりたいと思っています。

今後のU-NEXT、Maxとのプロジェクトにどうぞご期待ください。