2. ビジネス英語力について(その2) 書く(文書作成)能力:日本語の直訳はできるだけしないように
書く能力も基本的には読解力と同じで学校で学んだ事の延長ですね。
フィジカルな力としては(正確にかつ速く)書く、及びタイプする能力と言うことになりますが、最近はスペルチェックの機能も充実していますし(同音異語の漢字と同様に、急いでる時等は逆にそれで間違えることもありますが)読む力と同様に中学卒業レベルの力があれば、基本的には問題ないと思います。
ビジネス文書を書く場合は、基本的には連絡業務を中心としたメール、プレゼン資料の作成などになります。
プレゼンなどは日本語の場合も同じですが、内容が分かりやすいことが大切なので、言葉や表現をできるだけ簡潔に、絞り込む作業に時間をかけます。
そのため、文法的に複雑な表現は不必要ですので、文法的に何かを学び直す必要は余りない(最低中学三年生レベルをクリアしていれば)と思います。
まずは今自分の持っている(及び過去一度覚えた)ボキャブラリーをスムーズに使えるようになることの方が重要でしょう。
トレーニングの過程で、業界/社内用語を含めたビジネスに有用なイディオムや単語も徐々に増えていくと思います。
例えば”( be ) available”という言葉は人に対しても物や事象に対しても「いる」「ある」と言う意味で広範囲に使えて非常に便利で良く使います。
学生の頃は多分一度も使ったことはないのですが。
英文を書くのもある程度「慣れ」が必要で、人の文章や表現を真似たりして徐々にでも時間をあまりかけずに適切な文章が書けるようになることが大切だと思います。
定型的な表現や慣用的な決まり文句(メールの最後の”Best regards”等)を覚えたりすることもあれば、文章の組み立てなどは実際のメールのやり取りなどで試行錯誤しながら繰り返すことで力がついていきます。
「書く」ことも「話す」ことと同様に「真似」することが基本です。
詳しくはトレーニングのところで説明しますが、メールなどで有用な表現はOJTでネイティブな人とのやり取りから学ぶことが多いのです。
またそこで詳細を説明しますが、「書く」場合、特にメールの場合に気を付けたいことは、日本語の直訳つまり「慣用的な表現や謙譲的な表現は避ける」という事です。
今はAI翻訳が便利なので、日本語でメールを書いてそれを翻訳にかけると時間的にも随分助かりますよね。
でも、英語には基本的には敬語はない("Please"を付けたり、"Would you", "Could you"等の丁寧な表現はありますが)ので、日本語のビジネスレターをAI翻訳して英文のメールにすると、ほぼ意味のない冗長な英文になることも少なくないと思います。
分かりやすい一例をあげると、日本語のメールの定型の
「いつもお世話になっております」
これはまあ一応訳すと” Thank you for your continuous support.”
とかになると思いますが(日頃お世話になっていることへの感謝を表す様に意訳)、因みにあるAI翻訳に「いつもお世話になっております」と入力したらその出力はモロ直訳の“I am always indebted to you.”
これは受け取った側に取っては何の意味もない文章です。
「このヒトに何かしてあげたっけ?」と読み飛ばされるならマシな方で、この後に何かを依頼する場合にへりくだって
「お手数をお掛けし、申し訳ありません」とか書くと
“We apologize ( are sorry ) for the inconvenience.”とかに訳されてしまいます。
受け取った側は「このヒト一体何を謝罪しているの?」
と混乱するだけなので、英文のメールの場合はこんなことは書かない方が良いのです。
AI翻訳の利用は、特に日本語→英語の場合は出来るだけ単語レベル(時間短縮のための辞書替わり)にしておいて、文章の場合はあくまで参考レベルにしておいた方が良いと思います。
AI翻訳に頼るといつまでたっても自分の英語力(文章の構成能力)がつきません。
まあ、でも今後AI翻訳の機能は向上するだろうから、別に自分自身は英語力が無くても全部翻訳してもらえば問題ないだろうと言う考え方もあると思います。
比較的単純かつ定型文で行える会話(例えば海外旅行でのホテルやレストランなど)などではとても有用だと思います。
しかしビジネスにおいては込み入った内容の話が多く、その場合語順やロジックの違いという事もありますが、日本語の直訳は通じないことが多いのです。
「ビジネスにおいてAI翻訳をどう使うべきか」ということは、また「話す」のトレーニングのところで触れたいと思います。