第3章 ビジネス英語力向上のために その5) 英会話力向上のためにはまずリスニングから…ですが、その前に。なぜネイティブの発音が聞き取れないのでしょうか?
さて、では具体的にどのようなトレーニングをすれば英会話力を伸ばすことができるのでしょうか。
当たり前の話ですが、「会話」である以上、どちらかが一方的に話すことはありません。
話すことと聴くことの双方の能力が必要です。
よく「英語を話す」と言いますが、話す事と聴く事は基本的には同じ能力です。
むしろ耳から覚えたことが口をついて出てくるのであって、まずトレーニングしなければいけないのはリスニングの能力です。
どんな言語だって、赤ちゃんは周りがしゃべっていることを耳で覚えて、それを口真似することから会話が始まるのですから、英語で聴き、話すことの訓練をしたことがない我々は、たとえ大人であろうとも同じように、まず耳から聞いて覚えて、口真似するという手順でトレーニングするしか方法はありません。
ま、その道の先達である万次郎さんの「掘ったイモいじるな」の伝ですね。
ここで、リスニングのトレーニングを始めるにあたって、何故我々は(ネイティブの)英語が聞き取れないのかという基本的な問題を一度考えてみたいと思います。
英語が聞き取れないということは大別して以下の2つになると思います。
‐(音はフィジカル的には聴きとれているが)言葉の意味が分からない(その言葉を知らない)
‐(既知の単語でも)ネイティブの発音が音として聞き取れない(頭の中のボキャブラリーがカタカナなので)
日本人の場合は圧倒的に後者が多い(学校である程度のボキャブラリーは備わっているので)
でしょう。
なので、既知の単語を聴きとれるようにするためのトレーニングが必要なのです。
ネイティブの発音に慣れる(頭の中をカタカナ英語から切り替える)トレーニングの初期の段階では、英語でのコミュニケーションをする場合、前述の万次郎さんの例もそうですが、我々の頭の中は実はカタカナ英語(ジャパニーズ・イングリッシュ)なのです。
日本語化してカタカナで馴染んでいる言葉も多いですからね。
日本語に無い音”V”, “th”,”F”等はもともと知らないので、頭の中では近い音のカタカナ(”V”を”B”)にしてしまっているのです。
知り合いで幼少期をアメリカで過ごした方がいるのですが、そのヒトに
「『”V”と”B”の区別がつかない。』と言われて、それがどういうことなのか分からなかった。」
と言われたことがあります。
これはその方の頭の中には”V”は(何度も聞いた結果)音として幼少期に刷り込まれている(話者の発音の仕方も視覚的に)からであって、日本人の我々には”V”とは未知の音なのです。
英語とまともに接するようになるのは十代になってからで、その時には既に頭の中の音は日本語ベースになってしまっているのでねぇ。
それぞれが知識として学んだものではなく体得したものなので、自分の中では当たり前のこと。
それを説明して相互理解するのはなかなか難しい(その昔ナガシマさんって方がバッティングの極意を聞かれて「(来たボールに)ガーンといって、バーンと打つんだっ!」と答えられたそうで…あぁ、ま、そこまでの話ではないですか)のだと思います。