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第3章 ビジネス英語力向上のために その15) 会話はリアルタイムで行われる
さて、この後はしばらく英会話能力向上のためのお話を。
我々平均的な日本人は、学校で英語を「読み・書き」中心で学んでいるので、「話す」ことは比較的トレーニングしやすいという事は以前に説明しました。
ビジネス英語力として必須のプレゼン、交渉、ディベート等をおこなうためには最終的にはかなり高度な「Speaking能力」が必要とされますが、初歩的な能力、つまり日常会話やそれに類するものに関しては「話す」ことは「聴く」ことよりもハードルが低いのです。
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Fig 23)
皆さんもご存じのところで、実例をあげるとついこの間のLos Angels Dodgers大谷選手が優勝パレード後英語で短いスピーチをしました。
いつもインタビューでは万一の誤解を避けるために通訳を介していますが、このDirectなスピーチに喜んだファンも多いでしょう。
実際の言い回しからも日常会話以上のレベルにあることが察せられます。
“This is special moment for me. I am so honored to be here and be a part of the team.
Congratulations Los Angels ! Thank you, Fans !”
(今は自分にとってとても特別な時間です。ここにいて、このチームの一員となれてとても光栄です。おめでとうロス・アンゼルス!ファンの皆さん、有難う!)
ま、その後急に「ヨシっ!どこ行った!?」と呼ばれた山本投手も、センパイの真似をして
“Thank you Dodgers Fans !”
もともと英語は苦手と言ってたのに(移籍時に英語にかなり自信がないとコメントしていた)、良く頑張ったと思います。
以前、ボクシングの村田選手のラスベガスでのデビュー戦、その判定勝利後のインタビューを見たことがあります。
その際に村田選手はアメリカ人の女性レポーターの質問を通訳から聞き取り、答えるのは自分で英語で答えていました。
英会話のトレーニングを始めて、少し慣れてきた段階だったのだと思います。
この例にある様に初歩の段階では、それまでの学校で学んだ英語の蓄積があるので自分から伝えることはある程度できるようになるのですが、リスニングの能力も同じ程度になっていない、つまりネイティブの発音を)うまく聴き取れないために(ある程度話せるのに)自力では会話が続かないということになってしまうのです。
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Fig 22)
なので、「会話」の場合は初期のトレーニングはリスニングに比重を置きながら、進めて行く(日常的な習慣にする)のが良いと思います。
さらに会話の「リアルタイム性」に対応するためには、リスニングのトレーニングと並行して、やはりある程度の会話の訓練をする必要があります。
前にも記しましたが、実際のビジネスにおいては英語がネイティブの人よりもそうでない人同士が英語で会話する場合の方が多いものです。
ボクの発音や言い回しも完璧とは言えませんが、大体の場合相手も英語と言う外国語を話しているわけで、フランス人はフランス語の、中国人は中国語のそれぞれが自分の母国語を引きずった発音と表現をします。
例えば中国の人の場合中国語独特のイントネーションが強く残っている事が多く、それは音の高低がかなりあるので、相手の英語が流暢であればあるほどこちらは聴き取りづらいなんてこともあります。
日本人は文法的な間違いを恐れて会話も気後れしてしまいがちですが(受験英語の悪い影響)特にトレーニングの初期は発音や文法の多少のミスは気にせずに、内容を重視して会話することを心がけることが大切です。
一対一や少人数での会話の場合は分からなかったり、聞き取れなかったりしたら恥ずかしがらずに聞き返す方が良いと思います。
人数の多いミーティングだったり、スピーチを聴く場合は聞き返すことは難しいですよね(リスニングのテストの場合もそうですね)。
その場合は、聴き取れなかったところはスッパリあきらめて次に集中することが大事です。
ボクも今だに相手の言っている事が常に100%聴き取れているわけでは有りません。
大体の場合前後関係で何を言っているのかは捕まえることができます。
むしろ聴き取れなかった部分にこだわったりすると次も聴き逃してしまいます。
まあ、リスニングや会話のトレーニングを進める中で、少し余裕も出てきますし、この辺のコツもつかめてくると思います。
日本語の場合だって、音は聴き取れても相手が何を言っているか良くわからなかったり(相手の話が下手だというケースもありますよね)、ぼんやりしていて少し話を聞き逃すことはありますが、だからと言って相手の話の全体像を見失うことはないですよね。
英語の場合も同じです。
相手の話は一言一句ではなくても概要と重要なポイントが把握できるかどうか、自分が話す場合は要点を伝えられるかどうかが大事なので、その点に留意してトレーニングを続けることがビジネス英語力の向上につながります。