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【感想※ネタバレ無し】聖剣伝説Visions of Manaを遊びました

はじめに

聖剣伝説の最新作をプレイしましたので感想を書き記したいと思います。
ストーリーなどのネタバレは一切ありません。

僕はゲームを遊ぶ時、ゲーム開発者の端くれとして作る側の目線を混ぜながら遊ぶので普通に遊んでみた感想からは脱線することもあろうかと思いますのでご了承ください。

最近のゲームレビュー的な記事とか、YouTubeとかって裏に案件が潜んでいて忖度まみれだったり大して遊びもせずに適当なことを述べていたりと、腹の内側を曝け出さないままにメディア化しているので大変気色が悪いなと感じています。


前提の話

前提として、自分の中で感じている想いの1番重要な部分をまずは書きたいと思います。

正直、嘘偽りなく聖剣伝説Visions of Mana、僕はこのゲーム売れて欲しいと思っています。

何故なら、過去作からシリーズをたくさん遊んでいて、世間的には駄作だと散々言われまくった4でさえも僕は楽しく遊んでいました。(実際、言うほど悪いゲームではないです)
要は聖剣伝説シリーズが好きなんです。
それに加えて往年のスクウェアソフト時代のファンでもあります。
だから純粋に売れて欲しいです。ただそれだけです。

しかしながら、直近で遊んだスクエニのゲーム「FF16」が僕の中でとんでもなく刺さらなかったがために、不安と期待とがないまぜになったえらい感情のまま聖剣伝説の最新作を遊ぶことになりました。

つまるところ好きだからこそ、この作品を面白いと、良い作品だ、と言いたいという気持ちがめちゃくちゃにこの記事には含まれているということです。
その上で好きだからこその不満と、開発者的な分析っぽい側面と…。
こんな感じを前提に置いておきます。


好きなところ

このゲームをプレイして個人的に好みだったポイントを挙げたいと思います。

世界観

これはもう言わずもがな、聖剣伝説シリーズが好きであればハマるものになっていると思います。
特に、Legend of Manaの雰囲気に近いような気がします。
序盤で広々とした草原に出たとき、その世界に降り立った感じがして心地よかったです。
あと中盤で「マナの聖域」に初めてたどり着いたときは演出含め非常に素晴らしかったです。

クラスチェンジシステム

今作では「精霊器」というアイテムを付け替えるとクラスが変わって、それに応じてキャラクターの特性が変化します。
ここでポイントとなるのが8つある精霊器をパーティメンバー間で同じものは選択できないという点です。
この制約が良い感じに働いていて、パーティ構成を悩ませるようにできているのが良かったです。
クラスが変わるとアタッカー、ディフェンダー、キャスター、バッファーのような役割が切り替わるので誰にどういう役割を担わせるのが良いのか、パズルのように思考しながら遊ぶのが面白いですね。

バトルのバランス

今作を遊んでいて非常に難易度を高くしているのが、魔法の詠唱がかなり長くなっているところだと感じました。
ヒールなども上手く立ち回って使わないと詠唱を潰されたりします。
また、威力の高い魔法も詠唱が長かったり、すぐ出せるけど単体への弱い魔法になっていたりと。
その分近接攻撃もしっかり活かしていくようなバランスになっています。
精霊器を使って特殊な効果を発生させることが出来るのですがクールタイムがあり、敵に攻撃を当てることでクールタイムを短縮出来るのも面白いなと思いました。
難易度ノーマルでも結構難しくて、しっかり構成を考えなければ簡単には進めないようになっていて、クリア後さらにキャラクターが育ったら難易度ハードに上げてチャレンジするのも楽しそうだなと思っています。


残念なところ

続いて残念だなと感じたところについて述べたいと思います。
僕は他のレビュー記事などで言われているような細かい点(乗り物の乗り降りが遅いとか、UIとかその場面だけの話に終始するようなもの)に関してはほぼどうでもよいと思っていて、大事なのはゲームの根幹となるようなシステムや大きな流れの、それ自体に不満があるかどうかを重要だと捉えています。

カットシーンを追い掛けるゲーム

その上でどうしても残念だと感じるポイントを挙げるならば、カットシーンを追い掛けるゲームになっているということです。
ゲーム全編を通して画面上⭐︎マークで常に次の行き先が示されていて、それをとにかく追い掛けていくようにゲームが進んでいきます。
⭐︎マークまで辿り着くとカットシーンが挿入され、数分間話を聞くだけになります。
それが終わるとまた次の⭐︎へ。
この⭐︎と⭐︎との間が狭いと3秒歩くだけでまた次のシーンへというような箇所も少なくありません。
(モブと話すだけのようなイベントでも…)

ユーザーフレンドリー過ぎてゲームの楽しみを損なっているので、もう少し導線の引き方を工夫すべきだと言わざるを得ないのではと思います。
これによってサクサクと進めと言われているような心理になり、マップを探索したりクラス構成に意識を向けてじっくりと腰を据えて遊ぶのをやりづらくしているような…。

結構複雑なゲームシステムとの相性も悪いと思いますし、これに関しては今後のスクエニ作品では見直してもらいたいと切に願いますね。。


開発者だったら

もし僕が開発者だったら、なんでも思い描いたものが実現出来るとしたら。
不満点ではないけれど、もう少しこうだったら個人的にはもっと面白かったのではないかなという妄想視点で書いてみたいと思います。(僕の好みが強いかもしれませんが)
たぶん、人によって感じるところは違えどこういうポイントが多くあるので、今作がわりと楽しめる作品ではもののあと一歩足りないような、あちこちのレビューでもっと他に優れたRPGはたくさんある的なことを言われている理由なのではないかと考えています。

フィールドの広さなど

フィールドは広い、広いんですけどセミオープンフィールドとなっていて中途半端。
探索する場所は色々とあるけど、その味は…
マップ自体に興味を惹かれるようなシンボルなどが無く、受け身なプレイをしているとなかなか探索しようという気が起こりにくい。
⭐︎マークによる強引な導線づくりをしている弊害だと僕は思います。
また、ダッシュの移動速度がやたらと速く、さらに乗り物で加速する。
フィールドを広くしたので移動をめっちゃ速くしましたって、なんかこう本末転倒というか、もうちょっと違うベクトルで考えた方が良いような…という気がしてしまいます。
せっかく素晴らしい世界が広がっているので、興味が惹かれるようなシンボルを配置して、じっくりと地に足をつけて冒険ができたら良かったなあと思います。

過去オマージュのセンス

今作ではやたらとこれでもかというくらいに過去作のオマージュが出てきます。
サボテン君やアナグマ、その他固有名詞。
正直やりすぎです。
アナグマに渡すクマミツというアイテムが世界中あちこちに散りばめられていて、収集品の中心になってるようにも感じます。
あまりにもやり過ぎているため、品が無いなぁと感じたりもしました。
さりげなく、過去作のファンに対するご褒美的な感じで出してくれると良かったんじゃないかなあと。
僕はゲームクリエイターとしては新しいものを作りたいので、過去作に縛られすぎているのは美しくないなぁと思ってしまうのでした。

クラスチェンジのやり方など

物語の進行に応じて精霊器が手に入ってクラスチェンジが解放されるのですが、これがあまりにも味気ない。
3だとレベルを上げてマナストーンを探してストーリー上やっとの思いでクラスチェンジする、という背景がありました。
それが今作ではイベント中になんとなく「ホイッ」って感じで精霊器をゲットして、別に探しているわけでもなく自動で手に入っていきます。

いや、味気ないて。
クラスチェンジをした後のシステムはかなり面白いものがあるだけに、勿体無い。

3のストーリーだと、主人公が旅立ちの時点で物凄い苦難に立たされてから始まるのでそもそもクラスチェンジが旅の目的に含まれてましたが、今作はそうではないのでそのようになっているのは仕方ないかもしれないとはいえ…。

⭐︎を追い掛けるゲームの進行の都合上、リニアな展開になっていて、その進行に応じて成長要素もコントロールされている感じが遊びを薄めているなぁと感じました。
リニアではない冒険の果てに精霊器を発見してクラスが解放される、というような仕組みだったらクラスチェンジ出来た時の喜びは凄まじかったのではないか、と思っています。
聖剣伝説シリーズはナンバリング毎に新しい挑戦的なゲームシステムを入れてきたので、こういうところをもうひとつ頑張っていたら…惜しい。


おわりに

今作、ゴリゴリのアクションゲームというよりはRPG的な側面の方が強いので、戦略を意識した遊び方をするのがおすすめです。

新しく革新的な体験ができるゲームではないようにも思いますが、昨今、RPGでもアクションに振ったゲームが多い中、この路線のゲームも捨てたものではないです。

シリーズファンとしてこの世界観で聖剣伝説が遊べるのは素直に嬉しいので、遊ぶ人が増えてシリーズが続いてもっとブラッシュアップされていって欲しいなと思います。

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