2020.12.01 ゆずマーマレード
今年もやってまいりました、ジャム界隈の12月はゆず祭り。
ゆずはとにかく安く手に入る、なんならタダで手に入ったりする柑橘として、普段ジャムをやらない人も煮たりして、盛り上がりを感じられて良いですね。
「高級なゆず」というのはあって、お取り寄せもできるけど、あえてその辺のスーパーで3個100円で買うのもまた一興。
基本的には皮を刻んで砂糖入れて煮れば食べられるものになる。ゆずの皮は柔らかいので、それほど薄く刻む必要もなければ、長時間煮る必要もない。この手軽さこそ、ゆずの生存戦略である。
そんなこと言っておきながら昨シーズンはゆずを煮ていない(ゆずとして売られており、ゆずだと思って妻が買ってきた謎柑橘を煮たけど https://note.com/uncountable/n/n02bf91baff1c?magazine_key=m1eb0ad26118c )。そうだ今年は、ここ最近のマーマレードレシピをベースとして、きれいなジュレのあるゆずマーマレードを作ろう。
まずはいつも通り、皮、ワタと種、果汁に分ける。ゆずはもともと果汁が少ないのでどうせそんなに搾れないし、皮の身離れも良く、作業がはかどる。
ワタと種を水で煮出す。皮は柔らかいのでやや厚めの2〜3mmに刻み、こちらもたっぷりめの水で煮ていく。
ワタと種の煮出し汁を、皮を煮ている鍋に加える、のだけど、なんか煮汁が濁ってるなあどうしよう。と思いながら、いちおうは細かめのザルで濾して鍋に加える。案の定濁ったけど、まあいいか。
ゆずはペクチンが多く固まりやすいとの認識があるので、水分多めの段階で一旦火を止め、鍋の中身の重量をはかる。砂糖の量は「鍋の中身の重量+果汁の重量」の50%とする。
鍋の中身を戻して火にかけ、砂糖を加えて溶かす。おっ、砂糖が溶けると濁りが消えた。なんだなんだ、どういう理屈だ…。まあいいか…。
アルコールテストでしっかり固まるまで煮詰めたら、最後に果汁を加えて少し煮立てておしまい。
透明感もあり、なかなかきれいな仕上がりでは。ゆずの香りもしっかり立ってる。
で、あれ、ぜんぜん固まってない…。
ゆずが固まらないなんて想定外だ…。いや、アルコールテストではしっかり固まったから、ペクチン量はじゅうぶんなはず。つまり、あのテストはあくまでもアルコールとペクチンの反応によるものであって、確認できるのはペクチン濃度だけ、そのまま冷やして固まることを保証するものではないということか…。
他にペクチンが固まる要因としてはpHと糖度があるけど、糖度のほうはいつものように鍋の中身に対して砂糖加えてるから基本的に問題なさそう。pHは高すぎると固まらないらしいけど、柑橘煮ててpHが高いなんてことないだろう、と思って手抜きして測ってなかった。ゆずは果汁が少ないからpHが下がらないのかもしれない。
じゃあpH下げるにはどうしたらいいかというと、いちばんシンプルなのは、煮詰める。煮詰めれば酸の濃度は上がり、pHは下がる。ただ、ペクチン濃度も糖度もじゅうぶんとなると、これ以上煮詰めるとやたら固くなったりする可能性があるので、あまり良策とは言えそうにない。
次は、これもシンプル極まりないが、酸を加える。要は、果汁を加える。ポッカレモンでもいいかもしれないけど、レモンくさくなってはせっかくのゆずの香りが台無しなので、追加でゆずを買ってきて、果汁だけ取って入れることにする。なお、果皮は薄く向いて細く刻んで冷凍しておいて、蕎麦とか食べる時に使います。
ということで果汁取って、ためし試しに今のジャムのpHと果汁のpH測ってみたら、
あれー…
果汁は1.5くらい、で、ジャムの方も3は切ってて2.5近い。これではpHが高いとは言えない…。
じゃあやっぱり糖度?ゆずはペクチンが多くて固まりやすいからと水分多めで火を止めたから、いつもより糖度が低い仕上がりになってるのか。
これも煮詰めると、今度はpHが下がりすぎるから、砂糖を新たに加えるしかない。ちなみに糖度計なんてものはない(5万円くらいする)ので、温度を測って目安とする。じつは以前のマーマレード講習会で何℃に上がるまで煮詰める、というのを習ったことがあって、ただ実際そこまで温度を上げるのがけっこう大変なので参考程度という認識だったのだけど、今回それを遵守してみる。
とりあえず上で50%の砂糖を加えたので、10%分を追加する。そういえば去年の夏みかんマーマレードも最後のレシピは60%だった。
なるほど、砂糖を追加で加えて煮詰めることで、面白いように温度が上がる。目標の温度になったところで火を止める。
あっちなみに、搾ったゆず果汁はもったいないから入れた。pHさらに下がって固くなりすぎるかも。
そして、できあがりは…完璧ですね。まあ少しハード系マーマレードだけど、きれいに固まった。
いや、はや、勉強になりました。