0701
2018年6月の短歌、18首。
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もうやさしい夢さえ要らない起きるまで眠っているから起こさないでいて
満月の次の夜でも完璧に見えるし良いよってキスさえ出来る
クロスフェードばかり聴いてたアルバムを平熱を一度上げて紐解く
今やさしい光の風に包まれて誰に聞かせることもない歌
遠雷が聞こえたような気がしたの瞼を上げてわたしに戻る
空が白い方へ利き手を伸ばしても飛行機雲は遠いばかりだ
淡水に沈める僕ら、塩からい涙ばかりは遠ざけておく
春の散る舗道へ夏は忍び寄る僕らから落つ影がもう濃い
まだ誰にも見せたことないワンピース姿で浜辺につける足あと
どこにもない夏に焦がれて飲みさしのペットボトルを揺らして歩く
何もかもどうでも良いの本当をマスクの裏に閉じ込めている
もうこれで終わりだなんてほどいてた小指の糸は何色だった?
君の放るブーケは要らない一輪花を添えることだけ許して欲しい
(#葬式に呼んでください)
上りゆくエスカレーター、私だけ起きているような夜にささめく
愛とかいうやつで全てを救ってよ/時計の針が十二を示す
ねえ誰かまだ起きている? 降り積もる深夜の底で声に出せない
手を翳せ、わめく代わりに南東へ一目散に流星が降る
「死にたい」を歌うスマホが真夜中に散らす本当は「生きたい」火花