1216 短歌

8、9、10、11月の短歌、23首。


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寝つけないって言うなら蝉の鳴く声を聴いてイントロクイズでもする?

相討ちをしよう掲げた拳銃に残した弾はお互いひとつ

アネモネの花言葉って知っている?尋ねる君の顔が見えない

等身大ばかりを路上で歌ってたあのミュージシャンのさ、アカウント知ってる?

もし僕が、なんてIFばかり考える君の手を取れる訳もないのに

君をかいた夏が手のひらすり抜けてさよならさえも言わせてくれない

今にして思えばあの日あの歌を聴いて(私)と感じたことは、

潮騒が聞こえるいっそ何もかも忘れようかって踝の藍

貴方にも誰にも奪わせたりしない利き手に隠しもつ試金石

望んでよ、それで形振り構わずに貴方のことを救いに行ける

利き手ごと掬い上げられあの星を取り巻く些細になれたらどんなに、

懐のペーパーナイフの存在をそっと確かめたいような夜だ

シーリングライトの白の温度さえ今は不要でただ目を閉じる

何もかも終わらせてくるから君は踏切の向こう側で待ってて

もう何度見送ったのか分からない点滅をする交差点にて

ガーランドからひとつずつひらがなを外して君へおくる夜毎に

何光年先かも分からぬ遠くから飛ばされたラジオを今日も聴く

例えばを指折り数えているうちに停留所へとバスが滑り入る

踊り場へ飛び降りていった君の背にたしかに天使の羽根を見たんだ

明日世界が終わって皆死ぬかもねって彼女は爪を染めつつ笑う

不可分なことを話そう月光の総量だとか感情だとか

毒林檎をひと口齧って眠ってるから十日後に起こしに来てよ

円を描くクラゲの誰とも交わらないような心地で冬眠をする


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