0531 短歌

2018年5月の短歌、24首。

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行く先を燕が過ぎる真似をして右手のひらで空を浚った

救うならいっそ全てを救ってよ快晴にただ白がはためく

薫風が風切羽を掠めてくまだ少しなら飛べる気がした

非遮光カーテンに透く日光が濾過した熱を届けてくれる

天気予報どおり降り始めた雨がやわらかく肩口を染めてく

あたたかい空気は上に行くのよと笑む横顔が思い出せない

午前二時、お伽噺はお終いでカーテンのうら片膝を立て

輝度があり過ぎても見えず少しグレーくらいで君と手を取り合える

いま幕が上がる静かに目を開けて、肺に酸素の供給をして

ティンカーベル、ねえまだ私こどもなの、だから微笑みをどうか頂戴

君と手を繋げないまま反対の手で月齢を数え上げている

散弾銃みたいに強い圧として疾く頭上から注げよ花火

暗闇で針へと糸を通すように新月の晩なら言えること(     )

音のない室(へや)で何にも構わないって目を伏せたまま繰る星球儀

厚いガラスの奥のボンベから供給される酸素をくゆらせている

今やさしいスポットライトの下に立つひとりの帰路じゃないと電灯

ワンルーム、メトロノームが歌うからわたしは無言で良いや(おやすみ)

タイムラプスの合間合間に息を継ぐ空の青さに気づけるように

sleeping beauty:いつか解凍をされる時まで好きなままいる

つま先を染む色を選る潮騒を引きつれてまた夏が来るから

手を叩けそれを合図に靄然の奥から覗く星と踊れる

もう良いよ/あなたにだけはもう言えないことを右手のひらに隠した

もう空の広さに慣れた? 多分いま夏の星座が見える頃だね

眠れない夜にあなたを神さまのように思っていたの(秘密ね)



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