0523 感想

虚事新社さま(田畑農耕地さま)著
『なお澄みわたりパシフィック』を拝読しました。

https://twitter.com/soragotoshinsha/status/990091601992024065

文庫版220ページ、600円。

とても面白かった…!
購入は5月コミティアにて。
当日文芸スペースをふらふらしていたらこの爽やかな表紙がぱっと目に入り、あらすじと冒頭を少し立ち読みしてから求めさせていただきました。
いわゆるジャケ買いというやつです。

以下、簡単な感想と紹介を。

まず、裏表紙からあらすじを引用させていただくと。

文化人類学研究室に所属する大学生・須々木京は、超能力の実在の証明を夢見る院生・立花葵に連れられ、外部の人間が立ち入った記憶のない伝説の島、通称「超能力の島」を訪れる。
島長の孫娘・フレジアに案内され、特殊な能力の数々を目の当たりにする二人。
住人の歓待を受ける中、葵はある違和感を京に語るーー。

…あらすじ、わくわくしますね。
私はわくわくしました。

読みながら一番心地良いな、面白いなと思ったのは、語り手であり主人公の一人、京くんと先輩の会話が軽妙でウィットに富んでいて、それでいて全く嫌味っぽくなかったこと。
会話を読んでいるだけで面白かった。
2人の研究室での雑談を聞いているだけでも楽しいだろうなという容易に想像がつく感じ。

物語をぐいぐい引っ張っていく役割の女性キャラって、たまに傍迷惑なトラブルメーカーで、全然感情移入できなかったりするのだけど、葵先輩はすごく好感が持てた(自分が島まで行くのは勘弁だけれど。笑)。
京くんの目線から葵先輩への親愛を感じ取れたからかもしれない。

それから、特に冒頭に出てくる大学のゼミの説明辺りに、自分の時を思い出して。程よいリアルさが物語にのめり込んでいくのに良かった。
語りもスムーズでするすると読み進められた。

あと、重要な登場人物である村長の孫娘フレジアちゃん、めちゃくちゃ可愛かったです。
心根が優しすぎて癒されつつ、同時に、かえってあとで何かあるのではないかとつい疑ってしまった自分は心が穢れているなと思った…。

最後の一文を読み終えて、表紙に、特徴的なタイトル『なお澄みわたりパシフィック』に帰って来た時のじわじわ来る感動も良かったです。

こちらの御本、次は文学フリマ金沢や北海道コミティアで手に入る様子。
純粋におすすめなので興味湧いた方はぜひ。

作中での主人公の回想が、また別の物語に出会えそうな雰囲気を醸し出していたので、もし続編があるならイベントに買いに行きたいです。
素敵な作品をありがとうございました。

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