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100人 VS 生成AI

印刷業を営む方と雑談する機会がありました。
フライヤー・POPのような広告媒体や商品包材などクリエイティブな分野を扱い、従業員は少ないのですが、高い技術と納期の正確さを強みに、外資企業との取引実績もある、実力派の小規模企業です。

最近では、労働生産性を上げるべく、デザイン業務に生成AIを取り入れようとして、かえって別の苦労をされていることを伺いました。

最初に、自分がイメージした基本の元ネタをAIに描かせて、そこに手直しを重ねていく方法を試したのですが、肝心の元ネタをイメージ通りに描画してくれないとのこと。

結局、従来方式と変わらない工数となってしまい、現時点では労働生産性の向上には結び付かないらしいのですが、「指示する人間側がプロトコルと呼ばれる命令手順をしっかり書くことができるようになれば、希望は見出せるかもしれない」とのご意見でした。

さて、クリエイティブの世界では生成AIの実力はどれほどのものでしょうか?

クリエイティブには様々な分野がありますが、ここでは文字を活用した告知方法である「キャッチコピー」制作を例に、わたしが参加した、とある実験をご紹介します。

クリエイティブに興味のある100人が一つの部屋に集められ、お題に沿って、販売促進のコピーを各人が1つ書きます。
集まったコピーは100個。
同時に生成AIに同じお題でコピーを100個書かせます。
併せて合計200個のコピーが集まりました。
そして、シャッフルされた200個のコピーから、ベスト10が参加者全員の投票で選ばれます。

その結果は…

作品ベスト10の半分が生成AIによる作品で占められていたのです。
なんと、コピー制作の面に限れば、人間と生成AIの能力は互角の結果でした。

もちろん、くだらない・つまらないAI作品も多いのですが、とても人間臭い言葉や思いもつかないような視点が入っていたりして、思わず「ムムム…」と唸らされました。

ChatGPTの出現以来、急速に拡大する生成AIの活動範囲に対して、人間の生存領域はどこに残っているのだろうかと疑問に思っていましたが、目の前でガツンとやられて、AIの能力が人間を追い越してしまう「シンギュラリティ」の到来が思わず頭に浮かんでしまう、ほろ苦い体験ではありました。

この話は次回に続きます。


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