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おかあさんのカレーを食べたい。

夫婦と娘の三人家族でのヒトコマです。
昼下がりのリビングで、ふと、夫は思いました。

(夕食はおかあさんのカレーを食べたいなぁ…)

さっそく、妻と娘に買い物に行くよう細かく指示します。

「○○ストアで人参1本、ジャガイモ2個、タマネギ2個をすぐに買ってきてくれ」
「△△精肉店で豚バラ200gを忘れず買ってくるように」
「カレールウは××の中辛を□□マートで探してきて」

しかし、夫は「おかあさんのカレーを食べたい」と絶対に言いません。


妻と娘は「お父さんどうしたのかな?カレーでも食べたいのかしら?」といぶかしく思いながら買い物から帰ってきました。

「ねぇ、お父さん、今夜はカレーをつくるんでしょ?」
「まぁいいから、オレの言うことを聞けばいいんだ」

すかさず夫は調理手順を矢継ぎ早に細かく指示します。

具材を下ごしらえし、炒めて、中火で煮て、火を止めてルーを割り入れて…

「やっぱり、お父さんはカレー食べたかったのね。でも、これはわたしのレシピとちょっと違うし、わざわざ買い物に行かなくても材料は揃っていたのに。」

そうなのです、夫が「おかあさんのカレーを食べたい」と明言しなかったばかりに、二人は時間をかけて買い物に行く羽目になり、冷蔵庫の食材が無駄になったばかりか、本来食べたかったはずのいつものカレーと全く違う味に仕上がっていました。

もし、最初に「今夜はおかあさんの作ったカレーを食べたい」と夫が明確に宣言してさえいれば、ざっくりと二人にまかせたとしても、おかあさんの定番カレーがサクッと夕食に並んでいたことでしょう。

このお話は会社の経営にも当てはまります。

「おかあさんの作ったカレーを食べたい」
この一言は会社の経営戦略を策定する際の「経営理念」に似ています。

この経営理念を会社の行動指針や目標に落とし込めば、社員は責任感を持って仕事に取り組むことができるようになり、会社で働く意義が見出しやすくなるでしょう。
さらにミッション、ビジョン、バリューと分割して、その頭文字からMVVと呼ぶこともありますが、経営理念を策定し浸透させることは、会社の方針を統一し、社内に一体感を醸成する重要な要素になります。

「経営理念なぞ役に立たん。あれこれ言わず、オレの指示通りにその都度動けばいいんだ」

そう言い切る昔かたぎの社長さんは少なくないです。

これに慣らされた社員たちは深く考えることもなく、常に社長の指示を待つだけ。やった結果も言われたレベル以下ばかり。
片や社長は、社員はオレの言うことを聞いてくれないとこぼしながら、自身で細かく動き回っている割に、いつになっても思うようにならないため、常にいらだっているように見えたりします。

なんとなく心当たりのある社長様・・・

そろそろ、会社の未来を見据え、貴社の経営理念を定めることで、自律的に動く組織に変えていきませんか?
いつものモヤモヤに一条の光がさすかもしれませんよ。

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