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【ミニコラム】コーヒーには“合う”音楽がある

 旅先のナポリで朝食に頼んだ覚えのないエスプレッソを出されて以来、僕はコーヒーが大好きになりました。「日本からの観光客がわりと珍しかったから」という理由でエスプレッソをサービスしてくれたホテルの従業員には、おそらく一生感謝し続けることでしょう。

 人間が味を感じる感度には順番があると言われていますが、「苦味」は最も感じやすい味覚。もとより、人間は「口に入れた物が毒であるかどうか」を判断するべく「苦味」に対して敏感になり、生存率を上げていったと聞いたことがあります。

 そんな“生きるための安全保障”である「苦味」を、ある種娯楽のお供であるコーヒーの味を感じるために使っているのですから、何だかコーヒータイムって贅沢だなあと思ってしまいます。

 そして、コーヒーには“合う”音楽が存在するなと、最近よく感じるのです。

 自宅でコーヒーを飲む際には、必ず音楽をかけます。決め打ちで曲を選ぶのではなく、本当に気の赴くままに。その日のコーヒーにビタッと合う日もあれば「ん? 何か違う」となることもあります。ちなみに、今日のコーヒーには藤井風の『grace』と、The Beatlesのホワイト・アルバムがはまりました。

 明日のコーヒーには、一体何の音楽が合うだろう。そう考えながら僕は今日もコーヒーを飲んだ後、ステインと闘うために特殊な歯磨き粉で歯を磨き倒すのでした。

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