はじめて買ったファミコンゲームが「ジャンボウ」だった問題
はじめて買ったゲームであり、なんで買ったのかわかるような、わからんようなゲームであり、そしてゲームとはなんなのかを考える対象になった存在でもある。
ファミコンを買いにいこう
父と一緒に、はじめてファミコンというものを買いに行った時で、幼稚園に通っていた頃の話。
父は将棋のソフトを買った。というか、自分が将棋をやりたいからファミコンを買いにいった。しかし息子にファミコンを買ってやるという体裁なので、おれも好きなゲームを1つ買っていいいうことになった。
おれはファミコンが欲しいとは思ってたけど、どのゲームが欲しいというのはとくになかった。
どういうものかというのも、実はよくわかってなかった。
ファミコン雑誌も持ってなかったし、ゲーム系のテレビ番組も地方局ではやってなかったと思う。
友達の家で少しやったことはあったかもしれないけど、ゲームの名前もよくわかってなかったし、とくにこのゲームが欲しい!と思うのもなかった。
もっとあいまいで、ばくぜんとした、よくわかんないけど「欲しい」という気持ちだけがある。
とはいえ、ゲームのカセットとゲーム機本体は別で、買ったカセットでしか遊べないというのは理解していた。
そして、その店に売ってるゲームに選択肢は限られていた。
その店に売ってないゲームがあるかも、という可能性自体が、頭に浮かんでなかったけど。
とにかく店のショーケースに並んでる、数十本のゲームから、どれが1本選ぶことになった。
情報は箱だけ
ケースからは箱しか見えない。
でもぜんぜん知らないゲームばかりだし。どういうゲームなんだかさっぱりわからん。
ただちょっと興味を引くゲームがあった。
箱には、麻雀牌のようなものが書いてあり、そしてナニかしらの子供向けに見えるキャラクターが書いてあった。
あれ? 麻雀もファミコンでできるの? ということに、そこで気が付いた。
うちには麻雀セットがあったけど、4人必要だし、手間かかるし、おれがルールよくわかってないから面倒くさいしで、あんまりやってくれなかった。
やりたいやりたいうるさいから麻雀セットも隠されてた。
で、ファミコンのことはよくわからないけど、麻雀なら見たことあるし、1人でできるだろうから、誰も相手してくれなくてもOK。
麻雀ゲーム
で、これが欲しいなというと、父は、麻雀だったらこっちにもあるよと、何やら知らない中国人っぽいおっさんキャラが描かれたパッケージの方を指差した。
たしかに、それも麻雀っぽかったんだけど、選択肢からは外れた。
おれは麻雀牌のデザインが好きだったり、役という考え方が面白いなと思ってただけで、別に中国人に興味があるわけではなかったし。というか中国人ということもわかってなかった。
問題はそれが大人のキャラだったということ。
麻雀のルールがよくわかってない、というのはやはり問題点だったので、子供でもわかるようになってないと困る。だから子供向けっぽいパッケージの方に魅力を感じた。
もっとこう、ギャグマンガみたいな変顔でもしてれば、これは子供向けだなと判断して、それを選んだかもしれないけど。
まあそれが欲しいなら、それでいいか……ということで、買ったのが
ジャンボウ
という名前のゲームだった。
ブロック崩しゲームの1種なんだけど、そのブロックが雀牌になっている。点棒もあるけど、これは純粋に壊すだけの得点ブロック。
雀牌にボールをあてると、牌が真下に落ちてくるから、それをパドルで受け止める。
そうすると時間が止まって捨て牌選択画面になる。これがいわゆる麻雀のツモ。ステージ開始時に、画面下に配牌が並ぶので
役が出来てればそこでアガリ、ステージクリアとなる。そうでなければ牌を捨てて、ブロック崩しを続行する。
通常のブロック崩しというのは、ブロック全部崩すとクリアになるもんだけど、このゲームの場合それはツモる牌がなくなった、流局ということなんで、またステージ最初からやり直す。
雀牌をツモらないと駄目なんだけど、ブロック崩しだからボールを落としてもやっぱり駄目で、とにかく面倒くさいゲームだった。
麻雀でも、子供向けでもなかった
ジャンボウ自体がゲームとして面白かったかどうかはさておき……
思ってたのと全然ちがうゲームだったな、というのが心に残っている。
麻雀という視点で見ると、麻雀牌が出てくるのはいい。役もある。後年やった上海よりは麻雀感があった。
でも全然麻雀に集中できない!
そして期待していた、麻雀のルールに関する説明も一切なし。タイトルには謎のパンダが出てきて、次の瞬間にはいきなりブロック崩しの戦場に送り込まれる。
結局父が持っていた、むずかしい麻雀の本を読みながらプレイするしかなく、その点の期待も裏切られた。
後になって知ったところによると、元々はアーケードゲームだったらしい。
普通にやってもクリア出来ない、連コイン前提のバランスで、ファミコン版でよくあるコンティニュー無限化もなし。
さらに今知ったところによると、元は脱衣ありだったとか。(ファミコンではカットされてた)
ということは、これは麻雀+ブロック崩しじゃなくて、脱衣麻雀+ブロック崩しだったわけで、もう子供向けでもなんでもなかった。完全な読み違い。
その判断はまちがっていたが……
今にして思うと、中国人が載ってたやつの方は、4人打ちか、2人打ちだったかわからないけど、おそらく普通の麻雀ゲームだったと思う。
その時自分が欲しかったゲームに近いやつ。
そして父にも、そのカセットはイロモノなんじゃないかと、なんとなくわかっていた、と思う。
でもおれがジャンボウが欲しいというんで、まあ本人が欲しいならそれでいいかと、買ってくれた。
で、最終的には将棋と麻雀みたいな何かのゲームを買って帰った。
それはたぶん思ってるのと違うからと、麻雀ならこっちの方がとか、もっと普通のアクションゲームっぽいのをとか、もっと正しい選択をさせることも出来たと思うけど、そうはしなかった。
これは父のファインプレイだったと思う。
仮にそこで他のを買ってたとして、それが完全無欠に面白くて、ジャンボウじ買わなくて良かったな、ってなることはありえないから。結局は逃した魚が気になる。
しばらくして店に行ったとしても、たぶんもうジャンボウは置いてない。どう考えてもそんなロングセラー作品じゃなかった。
そして30年ぐらい経っても、あの時のゲームが気になる、名前はわかんないだけど……って、そんな長文をここに書いてたに違いない。
ジャンボウというゲームに対する判断は間違ってたけど、自分の判断の通りに買ってもらったのは正しかった、と思っている。
ジャンボウの教訓
このジャンボウは、ゲームとしては……あれだったけど、強烈な記憶が残っていて、というか今での家にあるんだけど、考えるほど色々な知見が得られる。
・ゲーム買うかどうかとゲームの内容は無関係
・子供は子供なりの判断基準をもっている
・ゲームはクリアできるとは限らない
ゲームに関する諸々について、これから書いていこうと思ってるんだけど、それらの話はたどっていくと、だいたいこのジャンボウにつながってる。
でも「皆さんご存知のジャンボウですが~」と、いきなりやっても、ご存知ではない可能性があるので、まずはジャンボウの話をしとかなきゃいかんと思い、これが最初の記事になりました。