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免疫(25)-好塩基球-

好中球は書いたので、好塩基球に絞って調べてみたいと思う。

好塩基球は末梢血白血球の1%にも満たない細胞

炎症のない状態では末梢組織には存在しない。

FcεRIの発現やヒスタミン、プロテアーゼ、種々のサイトカイン、アラキドン酸代謝産物産生などを行う(これはマスト細胞と共通)

しかし、その他にも好塩基球の存在意義がある。

さて、炎症がない場合には組織には存在しないと記載したが、炎症が起こったときには末梢組織へと移行する。

遅延する経時的変化を呈し、好塩基球浸潤の見られるアレルギー反応をcutaneous basophil hypersensitivityと総称することがある。

これは無理やり日本語訳にすれば、皮膚における好塩基球性過敏症、となる。

昨今では、好塩基球はIL-4(Th2型反応誘導のきっかけ)の重要な産生源になることが示されている。

また、抗原提示細胞として機能しるうこともわかってきている。

さらに、PGD2やPGE2を産生することも確認されている。これはFcεRIを介している。

そして、高IgE血症の状態では抗原を介さずにMDC(CCL22)やTARC(CCL17)といったいわゆるTh2型ケモカインを産生することが報告されている。

加えて、PAF(platelet-activating factor)を産生してIgG依存性IgE非依存性のアナフィラキシーを引き起こすことも明らかにされている。

様々な仕事をしている好塩基球。

活性化の指標となるマーカーも存在している。

好塩基球の表面にあるマーカーとして、CD63やCD203cなどが知られている。

これらが測定できれば、生体内での活性化を視覚的にみることができるようになるだろう。

最後に、どのようにして、好塩基球が血管内から皮膚方面へと浸潤していくかについてを記載する。

まず、好塩基球はPSGL-1(P-selectin glycoprotein ligand-1)を発現し、血管内皮上のP-selectinと強く結合する。(E-selectinとの結合は弱い)

α4β1インテグリンを発現しているのも特徴。

好塩基球の発現するケモカインレセプターのうちCCR3が浸潤には重要。

CCR3のリガンドであるeotaxin-1(CCL11)、eotaxin-3(CCL26)はIL-4や13といったTh2型サイトカインによって真皮(fibroblast)などから産生される。

また、別経路も存在する。

PGD2受容体の1つであるCRTH2が好塩基球には発現しており、PGD2はCRTH2を介して好塩基球の遊走を促進する。

CCR7を介した、IL-3-血管内皮細胞-CCR7の相互関係によっても好塩基球がrollingおよびadhesionを起こすことも確認されている。

参考:佐藤貴浩 好塩基球と皮膚の炎症 日本臨床免疫学会会誌 2011;34(2):63-69

顆粒球の名前は、染色のされ方の違いで決められている。

好中球は中性の色素でよく染まり、

好酸球は酸性の色素でよく染まる

好塩基球は塩基性の色素で染まる。

なるほどーーー

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