シグナル伝達経路(3)-CD80/86・CD28-
CD80/86がCD28と結合したときの、T細胞内でのシグナル伝達について考えてみる。
参考:横須賀忠他 T細胞活性化の時空間的制御機構 生物物理 58(1);5-11:2018
活性化補助刺激受容体CD28は、そのリガンドCD80(B7-1)/CD86(B7-2)と結合すると、CD28の細胞内領域がLckによってリン酸化され、フォスファチジルイノシトール3リン酸キナーゼ(PI3K)が会合する。
また、NF-κB経路上流の非典型プロテインキナーゼPKCθは、CD28とCD80/CD86との結合を機に、TCR-CD28マイクロクラスターに強固にかつ持続的に局在し、cSMACに集積する。
その下流の足場タンパク質CARMA1もCD28とCD80/CD86との結合を機にc-SMACへリクルートすることから、CD28はPKCθやCARMA1と共にNF-κB経路のシグナルソームを構築し、この経路の特徴でもある遷延化したT細胞活性化シグナルをc-SMACから発信すると考えられる。
CD28とPKCθとのシグナルソームの構築には、SrcキナーゼであるLckと、アクチンキャッピング蛋白質Rltprとの両方がCD28とPKCθとCARMA1とを架橋する何らかのアダプター分子として働いている。
この文献では、SMACについて、T細胞と抗原提示細胞の接着面に見られる同心円構造としており、Supramolecular activation clusterと紹介している。(名付けはMonksら)
c-SMACはcentral-SMACのことで、同心円構造の中心部を示している。