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2020/06/29の創作日記(〆切まで124日)

創作日記4日目。少しずつnoteの使い方もわかってきて、ペースを掴めてきた気がする。三日坊主はなんとか回避。
今日のお題は「若者向けのエンタメ小説とは何か」だ。
僕はもう若くないので、日々若者とは何かが感覚ではわかりづらくなってきている。だからこれから書くのはあくまで「大人が考える若者が好みそうなエンタメ小説」だ。
まぁ、新人賞の中の人もおそらく若者ではないので、この点に関しては特に問題ないと思う。

文学(私小説)ではない

エンタメ≠文学と言い切るのはいささか乱暴過ぎる気もするが、少なくともラノベの新人賞に私小説を送る作家は「他所で書いて」と門前払いを食らうだろう。
作家本人のキャラクター性/ストーリー性が武器になるのはデビュー後に固定ファンを獲得してから、あるいは元から有名人であるかのどちらかだ。そういう手段が取りたいならまず作家でなく芸能人かインフルエンサーでも目指すべきだろう。
エンタメは作中で全てが完結すべきであり、苦悩するのはあくまで劇中のキャラクターたちだ。ほとんどの読者は作者本人に興味などない。大量の作品を読む下読みや選考委員はいわずもがな。
また、エンタメを摂取する際に多くの人が求めるのは非日常だ。よほど波乱万丈な人生を経験しているなら話は別だが、「失恋のショックで自殺未遂をした」程度のエピソードならそこらへんに転がっていて少しも興味を惹かれないだろう。

シンプルで受け入れられやすく

読書家は見落としがちだが、長い文章を読むという行為自体が一般人には結構な負荷になる。
活字媒体であるラノベが、あるいは新文芸が読者に受け入れられているのは、長文を楽に読ませる方法論を取り入れているからだ。
小さな労力で楽しめる、というのは非常に重要である。労力のかかるエンタメは必然的にハードルが高くなり、挫折率が高まる。小説の場合は最後まで読んでもらえないなんてことになりかねない。
また、理解に疲労感を覚える状態では楽しみは半減してしまう。仮に最後まで読めたとしても先に疲れが出てしまうようでは面白いと感じるのは難しいだろう。
それではラノベ失格である。
何よりもまず、読みやすい文章/一読して分かるシンプルなストーリー/無駄のない設定量を心がけるべきだ。
それで面白くなくなるようなら、単純に作品の質が低いのだ。見せかけの難解さで誤魔化していた底の浅さが露呈しただけのことである。
それでもあえて難解で複雑怪奇な作品に挑みたいというのであれば覚悟を持って書くことだ。どれだけ完成度を上げようと「イミフ」の一言で済ませる権利が読者にはあることを忘れてはならない。

主人公は嫌われないように

ラノベの場合、読者が一番長く付き合うことになるキャラクターは基本的には主人公だ。そのため、主人公が嫌われてしまえば大きなマイナスになる。
その他の要素がいくら魅力的でも主人公が生理的に無理だからこの作品は読みたくない、ということは案外多いのではなかろうか。
最低限その作品がターゲットとする読者層には嫌われないよう主人公をデザインする必要がある。もちろん好かれるに越したことはないが、嫌われずに好かれることは案外難しい。好かれるためには個性を強くする必要があり、個性が強いほど嫌われる可能性も高くなる。これはいわゆるメインヒロインにも当てはまる話で、個性の尖ったサブヒロインに人気が集中するなんてのもよくある話だ。

また、一人称や三人称一元小説の場合、主人公はカメラとしての機能も持っている。つまり読者と作品を繋ぐ役割を持っているわけだ。
そのため、倫理観が異常であったり極端な主義主張を行う主人公はよほど上手く演出しない限り読者が拒否感を示してしまうだろう。

とはいえ一貫性のあるうちはまだマシな方で、物語の要請によりころころ人格が変わってしまう主人公は最悪だ。長期連載の週刊マンガなどではよく見られる光景だが、一本きりの小説の中でそれをやってしまうと読者は強い不快感を示すだろう。煮え切らない主人公の演出としてわざと行う場合などは別だが、ストーリーの帳尻を合わせるために主人公を歪めては決してならない。
まずは凡百であっても誠実な主人公を目指すべきだ。それから、自分の書くジャンルによって個性を足していく。ジャンルによっては性格破綻者がデフォのような界隈もあるので、その場合はそこのフォーマットに従って頭はおかしいけど誠実な人間にすべきだろう。ちなみにここで言う誠実さは読者や仲間に向けた誠実さであって、外道相手には鬼畜な行動をしてもいいと思う。なんだかんだ人間は肉サンドバックが好きなものだ。
担う役割の多さからエンタメ主人公のパターンは実のところ然程多くはない。自分の好きな主人公を徹底的に研究してパターンをものにすることだ。そうすれば大きく外すことは激減するだろう。

キャラクターを魅力的に

主人公を無難に手堅くまとめた分、その周囲のキャラクターは個性を尖らせて書く。主人公が上手くブレーキ役になり、緩衝材の役割を果たせば周囲のキャラは思う存分暴れることができる。
特に男性向けのライトノベルであれば、魅力的な主人公よりも魅力的なヒロインのほうがバリューは高い。結局、男は美少女が大好きだし、女はイケメンが好きなのだ。
なら主人公も美少女にすれば一石二鳥なのではと思わなくもないが、現在の売れ線を見る限りそうでもないようだ。理由は正直良くわからない(僕は女主人公に忌避感はないし、結構書く方なので)。
いずれにせよ、あざといぐらいに異性受けは狙っていくべきだろう。極端な話、女の子が際立って可愛ければその他の欠点を蹴散らせるぐらいには強力な武器になる。
ちなみに読者が可愛く感じればそれでいいので、設定上美少女である必要は別にない。イラストがつけばどうせみんな美少女である。小説で描くべきは内面の可愛らしさであり、読者に「こいつくっそ可愛いな」と思わせるセリフや行動こそが重要なのである。

シリアス・重い話が続く場合、間に笑いや萌えを挟む

前述の通り、長文を読むというのは案外疲れるものだ。特にシリアスや重い話が続くと読者はどうしても精神的に疲労してしまうものである。
最初からシリアスを書かないという手もあるが、新人賞応募作品である以上オチはつけねばならないのでどこかで真面目な話に突入し、話を締める必要がある。
性質上、シリアスパートはセリフよりも地の文が多くなりがちで、それも読者の疲労を加速させる要因になっている。
読者の集中力コントロールもエンタメ作家には必要な技術だ。この辺りはWEB小説作家の多くがすでに実践していて、一話の更新分がだいたい3000字程度になっている。
一分あたりの読書スピードが400〜600字だと言われているので、5分強で一話を読める計算だ。
人間の集中力はもってせいぜい15分なので、どれだけ長くとも9000字に一度はブレイクタイムを設けるべきだろう。
読書体験は読者の集中力に強く依存する。より良く読んでもらうためにも、キャラ萌えや笑いでリフレッシュすることは悪くないはずだ。


今日はこんな感じで。「べき」の話は今回で終わったので、明日からは具体的にどう実現するかを考えていきたい。

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