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2020/07/24の創作日記(〆切まで99日)

先に進めなくなった時に考えるべきこと

長編小説を書いていると、はたと手が止まる瞬間が一度はやってくる。
自分の実感としては「何も思い浮かばない」状態であり 、「無理に続きを書いてもろくなものにならない」状態である。

この時、一体どんな問題が起きているのだろうか。僕の場合、次の3つであることが多い。

①キャラクターへの理解不足
②プロットと行動原理とのコンフリクト
③具体的アイデアの不在

キャラクターへの理解不足

これが一番多いと思う。
何がなくとも主人公とその行動原理さえはっきりと掴めていれば物語は紡ぐことができるはずだ。
主人公が目的を果たすために行動を起こし続ければ、物語は自然と続く。内容を面白く読者の目を引くように作るには様々な工夫が必要だが、単純に「続きを書く」という作業段階ではメインキャラクターがそれぞれ今何をどうしたいかさえわかっていれば十分なのである。
収集がつかなくなる可能性大だが、何も思いつかなくなったらとりあえずキャラの欲求の赴くままに行動させてみるといいかもしれない。
メインキャラクター(特に主人公)がその場で何を考えているかがわからない場合は、今一度キャラ設計を見直すべきだろう。

プロットと行動原理のコンフリクト

次に多いのは、プロットに書かれたシナリオとキャラクターの行動原理が噛み合っていない場合だ。
例えば、プロットには「主人公が子犬を助ける」と書いてあるとしよう。しかし、実際に執筆していると主人公にはまるでその気がなく思うように行動してくれない。これがプロットと行動原理のコンフリクトだ。

プロットを書いた段階では作者がキャラクターを理解しきれてなかったことはよくある話で、プロットの通りに進まない原因の多くはこのせいである。
プロットと行動原理が噛み合っていないと、異なる二つの指針に従いながら書くはめになり、最終的には自分が何をしたかったのかわからなくなって筆が止まる(この時、問題に無自覚で何故先が書けないのかわからないことが多い)。

対処法はコンフリクトを解除すること以外にないが、プロット(シナリオ)と行動原理(キャラ)のどちらを重視するかはなかなか難しい問題だ。
プロットに合わせればキャラの一貫性がなくなって魅力のない操り人形になりかねないし、行動原理に合わせればプロットが崩壊して作品全体のバランスがおかしくなりかねない。

僕の場合、キャラクターとそのバックグラウンドを再設計してプロットに噛み合うように作り直す事が多い。
こうなると一から書き直しになってしまうわけだけど、袋小路でうなり続けるよりは仕切り直したほうがマシだと思う。

具体的アイデアの不在

僕はプロットに書く時は「主人公は人質をとられて敵に追い詰められるが、冴えた手で一発逆転する」みたいな書き方をすることが多い。いちいち具体的なアイデアをプロットに書いていては情報量が膨大になって見通しが悪くなるからだ。
もちろん、こんなざっくりした情報だけでは行き詰まるのは目に見えているので、多くの場合はプロットを元に情報を増やしたシナリオを書くようにしている。
しかし、シナリオに必要な情報が網羅されているかと言えばそんなこともなく、執筆を始める前にはどうしても埋まらない部分があることがほとんどだ。

流れで書ける時は何も問題はないのだけど、具体的な「冴えた手」が思いつかなければ手は必然的に止まってしまう。
僕の中ではアイデア出しと執筆は全く別の作業なので、この手の問題が発生した時は執筆を一旦やめ、ネタ帳を見たりして使えそうなアイデアを探すようにしている。

また、ストーリー上で然程重要ではない部分に関しては、汎用テンプレを使って一旦仮書きするようにしている。
例えばヒロインが本好きの場合、SF好きかファンタジー好きかは明確に区別しておく必要があるが、実際の愛読書が何であるかは最終的に決まればよく「ハイペリオン」でも「夏への扉」でも「冷たい方程式」でも「たったひとつの冴えたやりかた」でも構わないのである(それが何かしらのギミックとして働く場合はこの限りではないが)。

この手の問題にぶち当たった時、短時間で解決できるか否かは引き出しの数によって決まる。
自分がよくつまづく部分があるのなら、普段からその情報を収集してストックしておくべきだろう。
僕は何か使えそうなものがあったらとりあえずRoam Researchに投げるようにしている。

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