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2020/07/16の創作日記(〆切まで107日)

何をメインテーマにするべきか、という問題

今回のように元となるアイデアがなくて、外側から組み上げていくという作り方をした場合、テーマらしきものが複数個生まれてくる場合がある。
一応最初から「こんなんどうですか?」というテーマらしきものを決めてから取り掛かるのだけど、目論見通りにいくことはほとんどない。
執筆を通してテーマらしきものへの理解が深まるに連れ、想定外の事態がしばしば訪れる。僕の場合は、分岐したサブテーマがメインテーマを食ってしまうことが多々ある。

テーマは作品を支配する絶対ルール

ジャンプ漫画ではほとんどの場合、最終的には主人公が勝利する。たとえ相手がどれだけ強大であっても、である。少なくとも悪役である限りは決して主人公には勝利できないのがジャンプ漫画のルールである。

それは何故か? 答えは単純明快で、ジャンプの3大原則である「努力・友情・勝利」をテーマとして掲げる作品が多いからだ。
普通であれば到底勝ち目のない相手に主人公がどうして勝てるのか。それは物語がテーマに沿って進行することで必然的に主人公の勝ち筋を提示するからである。
無論途中段階では主人公が敗北することもありえるだろう。しかしそれは勝利した時に読者の興奮を最高潮にするための下準備に過ぎない。

無論「DEATH NOTE」などの例外もあるが、これは主人公である夜神月が途中から悪役にすり替わってしまったからである。巨悪はキラであり、ニアやメロが主人公ムーブをしているため、変則的ではあるもののジャンプ漫画の基本ルールは一応守られていることになる。
最期の瞬間、夜神月は明確な「悪」だった。彼の敗北と死に対して納得がいかないという読者はあまり多くないと思う。

こんな風にテーマは作品を支配する。巨悪はどれほど優位であろうとも最終的には主人公に敗れるようにできているのだ。テーマの支配力がなければ悪ははびこり続け、主人公の脆弱な力では何も変えられない。運命を変える出会いも、ターニングポイントとなる出来事も自然状態では起こらないのである。

テーマが変われば作品も変わる

僕は今書いている作品で一貫して「黄昏」をテーマとして考えている。
そのため、エンディングが問答無用のハッピーエンドとなることは、おそらくないだろう。物語終了時点ではハッピーでも、それは長く続かないような雰囲気を漂わせて終わらせるのがせいぜいだろう。

だがそれでいいのかという疑問もあり。どうにか読者が気持ちよく読み終われるようにできないかとここ数日考えていた。
そこで、「黄昏」のフォーカス地点を主人公たちから少しずらして見ることを考えた。
黄昏に囚われているのは主人公たちでなく、人類全体だ、という風に。
すると無理なくハッピーエンドを作れるようになった。
これにより、テーマは「青春→黄昏」から「黄昏の中の青春」に変わった。

話だけ聞いているとナンノコッチャだろうが、この転換は僕の中では結構画期的だった。
そもそもテーマのせいでハッピーエンドが遠のいているのだと昨日まで気づいていなかったのだ。そこに思い至っただけで十分成果があった。

黄昏を主人公たち中心から世界全体に広げることで、読者にも黄昏感が伝わりやすくなったと思う。
なお、これに合わせてアーコロジーは不要になった。完全環境都市はあくまで主人公たちと一緒に黄昏を隔離する場所であって、世界全体が黄昏に染まっているのなら必要ないのだ。
副産物として最初の章題も決まった。「オトナのいない教室」だ。
世界中に黄昏が伝播した結果、オトナという存在は消えてなくなった。

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