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昔テレビの中に見た夢の世界へ

昨夜とてもよかったというようなことを書こうとしていたところ電話がかかってきた。
いつでもいいわけじゃないものなのに、潰され行けなくなっていた可能性もあったのか
だれかが、いまここで行っておけと言ってくれた気もする。

原宿で降りて国立競技場の横の並木道みたいなのを歩いて行くと

NHKホール

ここに出るのはなんとなく昔から知ってる。
このガラスのエントランスの前に立って憧れのあの世界はこの中にあるのかと思ったのはもう30年くらい前か
何年かかってんだという話だけど今日は中へ入る

私が音楽に興味を持ったのは1987年。とにかくいろんなものを聴きたい知りたいと思った私にテレビとラジオが答えてくれた

テレビ用多目的ホールなのでオルガンは正面じゃなく明後日みたいなところに

最初に魅かれたのはパイプオルガンで、毎週日曜早朝にラジオがNHKホールのあのオルガンを聴かせてくれた。
毎週土曜の夜にテレビからオーケストラとは指揮者とは音楽とは何かを教えてくれたのはあの場所とあのオーケストラだった。
ビデオなんかないからカセットテープに録音し、映像は自分の頭に録画していた。だから何十年も経った今でも焼き付けた音や映像が頭の中に流れる。

ちょうどその87年に初めてあのオケを振ったシャルル・デュトワという指揮者は春の祭典で団員に衝撃を与えたとかいう話があって、その春祭も多分ラジオで聴いたしテレビの他たくさんのCDでいろんな曲を彼の演奏で教えてもらった。
デュトワはその後96年からN響の常任指揮者になって・・はいいけど就職氷河期の開始に当たるその年もうここでいいやと入社したブラック企業で私はテレビどころか私的時間もないような生活の後夜逃げで終わるというめちゃくちゃな展開となり
その後落ち着いてからちょっと聴いてみたはいいけど・・N響とは疎遠になって

コンサートに行くようになってからもなぜかデュトワもNHKホールもN響も聴きに行かないというのが何年も続き
あれ俺なにやってんだこのままじゃ死ぬまで後悔することになるんじゃないのと思って始めてデュトワを聴きに行ったのが今年の6月でオケは新日フィル。
期待をはるかに超え、どうしてあんな音や音楽が出てくるんだろう・・魔法・・という展開が目に前にあるのを感じ感激して

でもその直後に彼は倒れて緊急帰国したことを聞き、いろいろなことを考えた。
幸い大事には至らなかったようだというのと、そのデュトワがあのNHKホールでN響を振り、曲目は彼に教わったラヴェルのマ・メールロアとストラヴィンスキーの春の祭典、さらに聞いてみたいと思うラフマニノフの2番コンチェルトでって
それはなにがあっても行かないと一生後悔するとかなんとか思いながらチケットを発売と同時に押さえて・・

スマホだと顔が写らないけど自分も視力が落ちてこのくらいに見えてた

指揮:シャルル・デュトワ
ピアノ:ニコライ・ルガンスキー
NHK交響楽団
ラヴェル/組曲「マ・メール・ロワ」ラフマニノフ/ピアノ協奏曲第2番 ハ短調作品18ストラヴィンスキー/バレエ音楽「春の祭典」

デュトワのあの魔法!は今回そんなに感じられず、超個人的な思い入れから来る私にとって記念碑的なここに来れた!という感慨が支配していたかもしれないなんて言うのは贅沢だと思うけれど

人生がノートみたいなものをつづってゆくものだとすると
その途中にけん引みたいなものを押さなくちゃならないページがあり
そこにしっかりと押すべき判を押せたというような満足感のようなものが残ってる。

頭に焼き付く昔のバリバリ振ってた頃に比べれば大分まろやかだけどしかし88歳ってあんなに動けるのもんなの!?という指揮姿。ありがちな年とっちゃってからの重鎮的テンポというのもない
指揮者は踊り手じゃないんだよと言いつつ、刺すようなキューをばっと投げてもなんかエレガントなあの感じ
十八番どころじゃないはずの春債を暗譜じゃなくスコアめくってたのには何の文句もないけれど、左手でばっ!っとかページめくるそれもまたエレガント。
彼の盤で散々聴いてきたマ・メールロアと春の祭典はこうなるはずというそれがそのままそこにある感じだったのでここで驚いた!みたいなのもは書きにくいんだけど、

ルガンスキーのラフマニノフ2番はそんなこと言わずに素直によかった。

冒頭大きな波みたいなアルペジオのゴーン!という低音、弘法大師が鉄の杖で巨大な岩をつくと・・なんて話があったかわかんないけどそんなことが頭に浮かぶようなすごい音が鳴っててあっと言わされながら始まり
2楽章の小さなカデンツァみたいなところで消えそうで消えない高音とか・・どっか独特な歌いまわしにほーと思うとか
不満なんかどこにもないピアノと、やっぱり指揮を見ちゃってて裏方というか伴奏に回った指揮、ピアノのルバートに合わせて・・ピアノも指揮やオケを見て寄り添って‥と何かそんなシーンが頭に残ってて浮かぶ

3楽章のコーダで第2主題がコラール的に出てくるところ、最初のピアノの左手を聴こうと思ってたら他を全部消しちゃうようなでっかい音でティンパニがドン!!とたたいててびっくりした
あれ指揮者の指示なんだろうか?
個人的な感想としてはそれはおかしいだろうと思ったり

ピアニストのアンコールはとか、コンチェルトの時だけ目の前に有人のテレビカメラが動いていてとか思い出したこと発見したもの・・もう一回分くらい書きたいけれど

やっと、お会いできましたね。

このオルガン昔憧れたんですよ
こんな歳になってやっと生で見ることが出来て
このホールも建て直されるんですよね確か

歌舞伎町の入り口付近だったと思う

ここへ行く前新宿の地下にある整体スタンドに寄った。
ほとんど待たずにゴキッ!とかやんない指圧肘圧みたいなので20分。
東京駅の地下にもあって何度か行ったことがあり、ほんとに凝っちゃってつらいときに言ったらどうなるのかなと思ってた。
で、行っといてよかったみたい。
今また超個人的ピンチなんだけど、同時に図々しく自分のために生きていきたいと思う。

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