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コップの中の文学新聞①

原宿ワンダートリップ雑話(前)

noteを始めてから、もう5年になります。趣味として細々とやってまいりましたが、このたびスキを頂いた数が総計2万に至りました。記念として文学雑話記事『コップの中の文学新聞』を掲載いたします。このシリーズは不定期に発表しますので予めご了承下さいませ。今回の記事では、私の過去作の小説『原宿ワンダートリップ』について色々と喋ります。

『原宿ワンダートリップ』は2012年に紙の原稿を書き制作したものです。私はこれを同年に携帯電話のWILLCOM社のBlogプラットフォーム「W+BLOG」上で初めて「ケータイ小説」として公開しました。この公開は数ヶ月間ほどで終わります。個人的な都合からW+BLOGをやめた後、私は本作品を紙媒体での出版もせず、電子書籍化もせずにおいてきました。当時は今ほど個人出版のハードルが低めではなかったのと、小説自体が短すぎて、単品での出版は困難だったからです。つまり加筆して話を盛るか、その他の短編と組み合わせで出すかしなければ、これだけでは公開作品としては成り立たないと思っていました。

2020年に私はnoteを知り、ここに当作品を再び発表することを決めました。noteは使いやすく、テキストベースのコンテンツの公開によく適したプラットフォームです。また、noteは検索エンジンとの相性も良く候補上位に乗りやすいので、ネット小説としての当作品の個性を活かしたまま、Web上に作品を事実上、公開状態で保存してもらえる強みがあります。これにより、まず作品を「Web小説」として普及させてもらい、その後から個人で出版(したければ)する、という流れの選択が出来るようになりました。「個人で出版」とは、ここではつまり自費出版や、作者個人の働きかけによる電子書籍会社などを通しての商業出版などを指します。ただ私の当作品については、今のところ出版予定は未定です。

雑話なので色々と話は飛びますが、『原宿ワンダートリップ』をお読みになった皆さんは、まず話の短さに驚かれたのではないかと思います。内容の少なさにもの足りなさを感じた方も居られるかもしれません。これは当作品が元々、ケータイ小説的なものだったことに因るものです。先述したように、まず当作品は携帯電話向けブログで公開しました。そのときは、冒頭部をブログ記事の形で発表、次々記事更新して続きの話を少しずつ載せ、連載小説の形に仕上げました。noteでは全5話の小説も、ここでは全10話。当時の携帯電話のスペック等のため、ブログは1記事あたり1000字まで(…かな?)ぐらいの文字数制限があったので、10回の記事に分けて入力したのです。少ない制限字数で、いかに可能な限り盛った内容を備えた物語を創るかが課題でした。

…というわけで、この短編小説はガラケーがまだかなり幅を利かせていた2012年ならではの産物なのです。いまnoteに載せている話は、2012年にガラケーに載せたものをほぼそのまま、極力手を入れずに再現しています(さすがに、改行など幾つかの箇所は編集しましたが)。ですから当小説は、現在の巷に当たり前に見られるスマホ小説としてというよりはむしろ、昔のガラケー小説として、そう意識して読んでもらえると幸いです。現在のようにスマホが当たり前で、一度に何万字もある長いテキストを指で弾いて読むのがデフォルトの若者世代の方には想像しづらいかもしれませんけれども…。


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