キリンレモン

別にキリンビバレッジの宣伝をしたいわけでもなく、間違ってもコカ・コーラのアンチを標榜しているわけではない。何ならキリンレモンよりも口当たりならばスプライトや三ツ矢サイダーのほうが好きである。がしかし、スプライトはライムが入っていること、三ツ矢サイダーとともに実は結構甘いので、好きではあるがほどほどに。
酒も好きであるが、炭酸飲料や炭酸水も同等に好きである。特に夏場ともなると、現場時代にはコカ・コーラやスプライト、キリンレモン、日によっては炭酸水のペットボトルは毎晩仕事帰りに欠かせないものであった。当時はクルマ通勤をしていて、翌朝も早いこともあり、酒を大量に飲む、というわけにもいかなかったので。

さて、今日のキリンレモンというお題であるが、ふと何かの拍子に飲みたくなってしまう味。ボトルを見れば無果汁と書いてあり、レモンの味は完全に人工的につけられた味である。ある意味、甘みだけであれば同じく伝統的な炭酸飲料である三ツ矢サイダーでもよい。だが、人間には、ある種記憶を呼び起こす信号のようなものがあるのだが、それがまさしくこのキリンレモン。

時代は少しさかのぼり、昭和~平成の初期。
当時、幼稚園生~小学生の時期を過ごした時代、もちろんコカ・コーラ、ファンタ、スプライトは存在した。そのころ、コカ・コーラは歯が溶けるなどという迷信がまかり通り、なかなかうちの両親は手を出さなかった。そのわりには、今はすっかり数を減らしてしまったがいわゆる昔の純喫茶スタイルの店に立ち寄ると、決まって筆者に与えられるメニューはクリームソーダだったりしたのだが。。。。
そんな折、お盆の時期になると、母方や父方の実家に帰省する習慣があり、そのとき、父方の祖父の家に行くと、決まってケースいっぱいのキリンレモンがあり、風呂上りには必ず手にしていた。
その代わり、祖父は筆者が知る限り少なくとも酒を飲んでいるところを見たことはない。祖父が亡くなったのは8年前、92歳であったが、少なくとも筆者の幼少期である、祖父が60代であっただろうころには酒は飲んでいなかった。最後まで、酒をやめたのかもともと飲めなかったのかは聞くことはなかったが、まとめ買いをしているあたり、筆者の推測であるが、酒をやめたのではないか?と思う。父も、16歳で家を出てしまっていることもありそこまで詳しくは知らないであろう。それに、今それを知ったところで特に何があるわけではない。そんな父親であるが、70を超え、今でも毎日のように缶ビールか、チューハイを必ず1缶は開けている。それがだめだ、とも思わない。
筆者は食事の時間が合わなかったり、食後も、創作やテレワークの残りを片付けたりするので、父の酒に付き合うことはまずしない。また、家でも自分の部屋で飲むことはたまにするが、家のストックに手を付けることはしない。飲みたいときに自分で買ってきたほうが楽。

話がそれた。このキリンレモンがたまに飲みたくなるのは、やはりこのお盆の時期であることが多い。父方の実家に帰省することがなくなったのはもう26年も前、祖父が亡くなったのは8年前であるが、その時から味はほとんど変わっていない。が、変わっていないのではなく、時代に合わせて少しずつ変えているはず。糖分などが昔のままであれば、そもそも若者にウケない。実は、今生き残っている老舗ブランドの飲み物は、いずれも時代に合わせて味は変わってきている。あのコカ・コーラにしたって、昔のコーラは甘ったるすぎてとても今の時代には合わない。今売られている味は、80年代にダイエットコーラとして売られていたものより薄いんじゃなかったっけ?
三ツ矢サイダーも、戦前に売られていた味を「クラシック」としてたまに売り出している。スプライトも記憶にある限り子供のころに一度口にしたときはライムは入っていなかったはずだし、炭酸ももう少し弱かった。スプライトはむしろ今の味のほうが筆者は好みである。

つらつらと書いたが、最近は昔ほど酒を飲まなくなったこともあり、かえって炭酸水や炭酸飲料を口にする機会が増えた。
そんなこともあり、実は年を食ったときにすでにお酒を飲まなくなっていた筆者の父方の祖父のことをたまに思い出しながら飲むキリンレモンは、ちょっと独特な味わいを与えてくれる飲み物である。

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