犬も歩けば介護予防⑨ 飼主さんの健康
シニア犬の歩行は、飼主さんの健康と密接にかかわっています。
そして犬の介護は、飼主さんの心身の健康の上に成り立っています。
そのため、シニア犬のペースに合わせた散歩では、飼主さんご自身に影響があることを知っておくとよいと思います。
シニア犬との散歩が心配になってくる理由は、ふらつき、つまずき、ぶつかり、側溝に開いた隙間に足が落ちる、枝葉が目に当たる、後ろ足がバッテンになって左右の足が絡まる、前に進まない、尻もちをつく、へたり込んで動けないなどが起こるためです。
飼主さんは愛犬を見守り、その歩行を常にかばいながら歩くことになります。
歩行がままならない状態にあるシニア犬の飼主さんは、いつのまにか自身の歩行も変化していきます。
気持ちの上でも、愛犬が転ぶのではないか、ぶつかるのではないかと気を揉む散歩になります。
そんなときの飼主さんは、愛犬のいる足元に意識が向かうために、姿勢は斜め下を向いていることが多いです。
斜め下を見ることで首は捻って曲げられます。
いつでも愛犬の動きをかばえるように低くかがみ込んでいます。
いざという時に支えになるリードを短く張って持つために、片方の腕に偏って力みが入ります。
歩く速度は愛犬に合わせて、短い距離でもかなりゆっくりと時間をかけたものになります。
速度が遅いために、歩幅も不自然に小さくなります。
視線は愛犬だけでなく、車両や周辺の環境にも気を配り続けなければならず、散歩中は気の抜けない緊張する場面が続くでしょう。
これらの状況では通常と違い、飼主さんの姿勢が歪んだ状態になりやすいことがイメージできると思います。
また、その姿勢から呼吸も浅くなりがちです。
そうかと言って、歩行にサポートが必要な状態では、愛犬を見守る歩き方をやめることはできません。
対策として、飼主さんが自分ひとりで歩くときに、また介護中で出かけることが困難であれば、室内で少しの時間でもいいので、よい姿勢を保って歩くことを心がけてみてください。
顔を上げ、胸を開き、縮んだ骨格を伸ばすように背筋を自然にまっすぐに、適正な歩幅を取ってリズムよく歩くことを意識して取り入れましょう。
呼吸はまず長く吐いてから、ゆったり深く取ります。
目線が上がると身体だけでなく、心にも好い変化が起こります。
心配ばかりが増える時期だからこそ、上を向くことは大切です。
介護ライフが続く毎日でも明るく、気持ちを上向きにするには、深呼吸で心身をほどいて、実際に身体をオープンに動かすことが意外にも助けになります。
呼吸と身体の動きを利用し、その効果で心も上向きに明るい方へ連動させていきましょう♬
犬の健康は、飼主さんの元気と明るさから。
愛犬を想う優しい飼主さんは一生懸命なあまり、ご自身のことを後回しにしがちです。大切な愛犬の健康のために、ご自身も労わってあげてください。
明るく、楽しく、おおらかに♬介護ライフ、シニア犬ライフの第一歩です!
健康は心の余裕と冷静な判断を生んでくれます。
飼主さんご自身の健康も、大切にされてくださいね!