コロナ自粛の経験を、今後の愛犬との暮らしに活かすには
コロナの影響による自粛状況と、愛犬との介護生活はよく似ています。介護以外にも災害や社会状況など、今後も起こりうる愛犬との暮らしの変化。今回の事態と経験を活かして、適切な対応ができるようになるには?冷静な思考と判断のために、今できること。
◆起こりうる愛犬との暮らしの変化に対応するために
犬を飼っている皆さんは、コロナの影響による自粛状況を、愛犬と一緒にどう過ごしていますか?
公園で気楽に話せる犬友達、ドッグカフェ、ドッグラン、ペットショップ、犬のお誕生日会や犬種オフ会、お花見そのほか様々なイベントや楽しみ。
それらをあきらめたり、控えたりしているのではないでしょうか?
私自身は犬の介護士という立場から、介護のある暮らしを重ね見ながら、今回の自粛生活について考えていたことがあります。
それは「この状況を自分がどう受けとめているか」ということです。
介護以外にも、ご家族の事情や災害の発生など、今後も愛犬との生活に大きな変化は起こりえます。皆さんは今起きている状態をどう受けとめ、考えていらっしゃるでしょうか。
◆今回の自粛状況と、愛犬の介護生活は似ている
コロナ対策のために緊急事態宣言が出され、現在も主に関東で自粛が続いています(2020/5/24時点)。この「外出しにくい状況」は、おうちで犬の介護をされている飼主さんにとっては、あまり違和感がないのではないでしょうか。
犬の介護では「外出の機会が大きく減る」ことが多いです。出かける先は動物病院か、食料品と日用品の買物という最低限必要な行動のみになりやすいためです。仕事のある場合も、就業時間が終わればすぐに家に帰るという方もいらっしゃると思います。
確かに、今回の緊急事態宣言は健康面のみでなく、社会問題や今後の生活の変化も予想され、一個人の愛犬との介護生活とは条件が大きく違います。
しかし、自身の状況や予定、準備のあるなしに関わらず、ある日またはいつのまにか始まる介護は、自分の力では変えられない生活の大きな変化という点で、今回の状況とよく似ています。
また、やむなく収入が途絶えることもあるという点で共通する面もあります。介護では医療費がかさみ、毎月10万円以上の出費が続く場合も考えられます。
それでも愛犬のそばにいてあげたいがために、介護離職をするケースもあり、介護と仕事を同時に成立させるむずかしさをはらんでいます。
経済的なひっ迫は、現在の生活と将来、心身のダメージに追い打ちをかける様々な理由のひとつです。
自身が冷静に予期して考え動く必要があるときに、状況をどう受けとめるか。それが、その後の心持ちや結果に違いを出すのではないかと、介護中に似た自粛生活の中で考えました。
◆介護者は追いつめられる状況になりやすい
その背景には、飼主のメンタルが追い込まれていくことで、受けとめること自体がむずかしくなるという事情があります。
その原因と思われるのはまず、今までにあった、楽しく人と話すなどのコミュニケーションが減っていくことにあります。
介護度が上がり、時間が経つほど、だんだんと外出が減っていく状況では、元々あった人とのコミュニケーションから離れていくことを意味します。
また、介助をする生活では愛犬との距離も常に近く、限られた命の時間を意識する場面も多くあるでしょう。
それらの状態では、自分と愛犬との一心同体の濃密な関係ができ、介護にのめり込んでいくことにつながりやすくなります。
次に、介護に対する意識のずれなどから介護者は家族からも孤立しやすい、愛犬の最期までを誰にも頼れずに、選択と責任をひとりで負うことが続く、などが挙げられます。
それまでにあった人間関係や社会と離れ、そういった精神状態で外から帰ってきた家族と話をすると、互いに違和感が生まれることも少なくありません。
経済的な責任に加え、不安や戸惑いについて話ができない、分かってもらえない、ひとりでやらなければならない孤立感は、やがて主な介護者を追いつめていきます。
これらが、物事を受けとめて冷静に判断することをむずかしくさせる事情の、背景となっています。
◆予行演習になる今をイメージトレーニングする
介護ではどんなことが起こるか予測がつかず、人は未知のものに不安になります。しかし、犬を飼っている皆さんにとって今回の自粛は、介護状況のひとつである「自由に外出しにくくなったとき」の予行演習となるかもしれません。
今後、起こりうる愛犬との生活の変化に、コロナによって受けた事態とその経験をどう落とし込めるのか?
今回起きていることは、それらを自らのこととして実際的に捉えられるチャンスでもあると思います。
大きな変化に対処が必要なとき、不安のなかで物事を考えるより、冷静な心境でより的確な判断がされやすくなります。
そのために自分の心の動きや感じ方、どんな反応をし、言動をしやすいかという、自身のパターンの把握をしておくことが肝要です。
それは、「自分は状況をどう受けとめるのか、弱点は何か、それにどう対処していくのか」を、臨機応変に考えるための事前の手がかりとなります。
コロナの自粛期間において、できることを楽しむ、学びの時間に充てる、静かに過ごす、退屈する、食べる、大きな声を出してうっ憤を晴らす、怒りや悲しみの感情が出る、寝て過ごすなど、人によりその内容は様々でしょう。それら自分自身の反応自体に良し悪しはありません。
大切なのは、状況の変化に対し、自分がどう感じ、どう動くのかを知っておくことです。
それを平時のときに冷静に見つめ直しておくことが、対処が必要なタイミングで自分自身の助けとなり、変化を受けとめる一助になるのではないでしょうか。
◆今できることを
今回の経験から、自身の受けとめ方を確かめておくことは、愛犬介護にも通じ、役立てるのではないかという思いが生まれ、重ね合わせたことをまとめてみました。
以上が一連のコロナの自粛状況に置かれて、改めて犬の介護士の立場から、愛犬との暮らしの変化について考えてみたことでした。
◆まとめる
・コロナによる自粛状況と、愛犬の介護生活は似ている
・愛犬との暮らしの変化に対処するイメージトレーニングの機会にできる
・変化に対する自身の受けとめ方を知ることは冷静な思考と判断につながる
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