私は短い間だが霊長類研究所で仕事をしていた。 ケージが並ぶ部屋は少し暗く、冷たい。 外は晴れであれ雨であれ、彼らにはわからない。 一度実験に使われると狭いケージに入れられ、彼らは一生を終えるまでそこで過ごす。 これがサルたちの現状である。 「ある日、私はサルの死体を見つけた。 細長い身体をした彼は目と口を開いたまま息絶えていた。 私は手を震わせながらも携帯を手に持ち、担当者に連絡をした。 担当者は死んだサルの様子を確認し、死体を袋に入れた。 入り切らなかった冷たい
大人たちは要求するのだ。 「あなたは何色なの?」 そんな意味のない問いの答えを いつまでも要求してくるのだ。 決めなくちゃ、選ばなくちゃ、 私って一体何色なんだ? と自分を追い詰めるようになるのだ。 それまでは何も考えずに色えんぴつを手に取っていた。それが楽しかった。 でもいつからか、、 「自分を表す色はどれだんだ?」 と悩むようになった。 長いこと悩んで、悩んで、 でも答えはわからない。 そして私は、 描くのをやめた。
「君にできないことなんてこの世にないから」とお母さんはいつも言ってくれる。私は「うん」と頷くが、母の言葉を疑うばかり。 自分を他人と比較するのはもう習慣になっていて、気づけば頭の上には天井ができていた。 自分でつくった天井。 本当は存在しない天井。 でも、その天井があることで自分の立っている場所に納得できるのだから。 「別に星空は見たくない」 そんな嘘を吐いて、目を閉じる。