春の世界史 川柳7句


本を閉じて浮かび上がるモビー・ディックの去ったあとの渦


Week-end の画面で燃えている自動車まだ眠い目を擦っている世界史


塚本を手に其の手頸を黑貓に囓まれ


ウォーホルの刷ったバナナをひらいてニューヨークのざらざら 


春の潮風に舌を出してヘルベチカ、ヘルベチカ、ヘルベチカ



Les Quatre Cents Coups の終わりに長回しで砂浜を走る少年のきみもひとり


目が目を追いかけるクレーの絵のしずかで騒がしい天使



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