皆さん、お久しぶりです。今回、また創作ハウツー本を読み終えたので紹介と感想をここに描かせていただきたいと思います。
ご紹介するのはこちら。
クリストファー・ボグラー&デイビッド・マッケナ (著), 府川 由美恵 (翻訳)
物語の法則 強い物語とキャラを作れるハリウッド式創作術
です。
それでは、まず私の読んだ感想を言いますと「物語のツール箱で創作者は持っていても損はない本。ただし、中身が講義じみている」でした。
実のところ、私はこの本を完読するのに約一年半かかりました。
その原因が、講義じみた文章です。読める方は読めると思いますが、ちょっと私には退屈でしたね。故に読み終えるまでにここまでの時間を要したわけです。記事のまとめあたりでこの件について詳しくお話します。
ただ、非常に参考になる部分も多くあるということもあり、私的には値段より得できる内容かなと思いました。
物語・キャラクターの原型パターンが分かる
この本を読んでいて改めて実感したのは、物語にはおおよそ原型、もしくはパターンがあるということです。
例えばですが、王道なもので説明しやすい例をあげるなら「シンデレラストーリー」といわれるものです。
不幸な境遇にある主人公が何らかの経緯を得て幸せを手に入れる……というのがおもなシナリオです。
これらは時代背景やキャラの設定などに多少差異はあれど要約した物語はこうなりますね。
つまり、物語というのはおおよそテンプレと呼ばれるものがあるんです。
この物語の法則ではそれらテンプレが載っています。
今回はその法則をいくつか紹介します。
英雄の旅路
これは主に英雄伝説と呼ばれる物語のパターンです。英雄伝説? なにそれおいしいの? 読んだことない。という方もいらっしゃるとは思いますが、見た限り現代の冒険小説の多くはすべてとは言わずともこれらに当てはまる作品は多いように感じました。
これらの物語は以下のようなステージで進みます。
<英雄の旅路>は引用文にもある通り、神話学研究者であるアメリカ人研究者ジョーゼフ・キャンベルが発見したものです。
キャンベル氏は、研究の過程で世界の英雄伝説の物語の構造が全く同じだということに気づき、そこから作成されたのがこの<英雄の旅路>というわけです。
昔も今も英雄伝説のような物語は長らく愛されているわけですが、その物語の構造はほとんどが同じというのもとても面白いですね。
神話では、様々なバージョンが存在するわけですが、これらを自分のオリジナルのものに置き換え、細かいところを詰めていけば、ある程度面白い物語はできるわけです。
主人公が辿っていく成長の物語
基本的にどの物語もそうなのですが、物語とは主人公が成長する場所です。
ということは、私も知ってはいましたが外面的、内面的というのは考えたことがありませんでした。
ただ言われてみれば少年漫画は特にそうですが、敵に挑み、負けてくじけそうになる。しかし何らかの影響で再び敵に挑み、勝利を勝ち取る。そんな物語は多いように思います。
ただ、これも言われてみると
「一度負けた相手に戦闘に勝利する」→外面的成長
「くじけそうになるが立ち向かう」→内面的成長
ですね。
先ほどお話した<英雄の旅路>にも、この外面的・内面的成長は描かれています。
ここで私が残した付箋の文章(このページを読んだ時期が不明なのとどういう意図で張り付けたのかは不明)を紹介します。
<英雄の旅路>…主人公が辿っていく成長の物語
らしいです。どこかのページから引用したものが剥がれ落ちたのかは分かりませんが(探してみたがどこの文章かは分からず)、納得はできますね。
キャラクターの原型
これは著者であるボグラーが考えたキャラクターの基本的な原型であり、それぞれ物語に影響する役割を表したものです。
これらを理解したうえで、作っている物語にキャラクターが与える役割を考えてみたり、確認してみると物語の緩急などにうまく影響を与えてくれるかもしれません。
まとめと感想
今回のまとめです。
実のところこの本には上記に紹介した以外にも、ロシアの研究者のウラジーミル・プロップによる『プロップのキャラクター』や『プロップの機能』、『テオプラストスのキャラクター類型』など様々な物語・キャラクターのテンプレ、私が端折った解説などが詳細に記載されています。
ただ、すべて紹介するととんでもない量になるため、気になった方はぜひ自分の手で購入してください。
さて、私は最初に読み終えるまでに1年半かかったと記述しましたが、最初に記述した通り内容が非常に講義じみています。
どういうことかと聞かれれば「キャラクターの原型」で引用した部分で変身する者(シェイプシフター)の一部が省略されていたと思います。
あの箇所には、私が言う講義じみてると感じた文章が入っていました。本来あそこには、スター・ウォーズにいた変身する者の詳細な説明が入っています。その量、なんとおよそ1ページ半近く。
この本には、上記のような長い解説が多く載せられています。皆さんに紹介する以上すべて細かく読みたかったんですが、私自身映画には疎く、スターウォーズの解説を細かくされたところで理解できませんでした。
ほかにも様々な映画のシーンを引用して解説しており、有名なものから聞いたことのないものもありました。これらの文章は、はっきり言わせていただくと私にとっては退屈でした。
ただ、前述した通りそれ以上に得られる情報は多くあります。ので、購入してみて読みにくいと感じた部分は飛ばして、必要な情報だけ得るのもいいと思います。
というわけで、物語の法則 強い物語とキャラを作れるハリウッド式創作術の紹介でした。
後半、愚痴をこぼしていましたが、物語を作る方にとっては良い味方になってくれる本でもあると思います! 映画のシナリオライターのみではなく小説を書く方や漫画を描く方などにもおすすめできる一冊でした。