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衛星リモートセンシングを活用したブルーカーボンのポテンシャル評価事例

はじめに

気候変動に対応するため、世界中が革新的なソリューションを求めていますが、ウミトロンは常に地球環境に良い影響を与え、貢献したいと考えてサービス開発を行ってきました。この度、ウミトロンはAIとリモートセンシング技術を駆使して、広範囲の沿岸部におけるブルーカーボン生態系による炭素固定量を効率的に推定し、ブルーカーボン生態系の生息地をマッピングする新しい手法を開発しました。
ENEOSホールディングス株式会社および熊本県上天草市と提携し、その有効性と可能性を実証プロジェクトで検証した結果、この手法の有効性だけでなく、全国の炭素計算や将来の脱炭素化に向けた計画にも貢献できることがわかりました。

ブルーカーボンの役割

具体的なプロジェクトの内容を紹介する前に、まずブルーカーボンとは何かご説明します。ブルーカーボンとは、マングローブ、海草藻場、塩性湿地など、海洋や沿岸の生態系に取り込まれ、蓄積された炭素のことを指します。これらの生態系は、陸上の森林よりも単位面積当たりの炭素吸収量が多く、天然の「炭素吸収源」として機能しています。また、陸上の森林の40倍もの速さで炭素を吸収することが確認されており、気候変動の影響を緩和する上で重要な役割を果たしています。さらに、これら沿岸の生態系は、気象災害の防止や生物多様性の維持など、多くの恩恵をもたらしています。

炭素固定量推計への挑戦

ブルーカーボンには計り知れない可能性があるにもかかわらず、これらの貴重な生態系を正確に特定し適地を把握することは非常に困難でした。労働集約的な現地調査に頼っていたこれまでの方法では、時間とコストがかかり、より広大な沿岸域に拡大することは現実的ではなかったのです。
そのため、効果的な海岸域のブルーカーボン計画立案に必要な重要な情報の入手が制限されていました。このような制約のなかで、ウミトロンは先端技術と衛星リモートセンシングを駆使して、このプロセスを革新するための研究を開始しました。

具体的なアプローチ

ウミトロンでは、専門領域であるAIと衛星リモートセンシングを活用して、ブルーカーボン生態系による炭素固定量を推計することに成功しました。
アプローチとしては、これらの先端技術を組み合わせて、海藻や藻場のなどのブルーカーボン生態系を対象に焦点を当てた沿岸地域のマッピングと分析を行うものです。

調査:まず沿岸部の限定的な現地調査を行い、対象種のデータを収集します。
AI解析:本調査に特化したAIアルゴリズムを用いて、ブルーカーボン生態系の生育条件を把握するためにデータを分析します。ブルーカーボンの蓄積に理想的な生息地を特定するAIモデルを訓練するのに重要なステップです。
③衛星画像による分析:次に、衛星画像を活用し、各自治体の沿岸地域全体を分析します。これにより、対象種が生育している地域を推定し、既存およびポテンシャルのある炭素固定エリアを特定することができます。
④炭素の推定: 衛星画像解析から得られたデータを用いて、各エリアに蓄積されたブルーカーボンの量を推定することで、各サイトの炭素貯留ポテンシャルを知ることができます。

技術活用事例

ウミトロンは、ENEOSホールディングス株式会社および熊本県上天草市と連携し、アマモ場を中心としたプロジェクトを実施しました。現地調査、自治体全体の詳細なアマモ場マップ作成、総ブルーカーボン量の推定、今後ブルーカーボン生態系の生育が期待できるエリアの特定を行いました。
ウミトロンが提供するブルーカーボンのポテンシャル評価サービスのデータは、上天草市の今後の都市計画への活用など、ブルーカーボン・プロジェクトに関心のある団体との官民連携の機会の創出に貢献します。

今後の展望

ウミトロンは本ソリューションを用い、リモートセンシング分野のより大きな可能性を引き出すことで、世界中の沿岸地域のブルーカーボンの可能性を最大限活用し、気候変動への取り組みをさらに支援していきます。日本での実証実験成功を皮切りに、他の国でも同様のアプローチを取り入れるよう働きかけを行うことで、世界全体の炭素計算と気候変動対策の計画を効率的にし、持続可能な未来の実現に貢献していきます。

ウミトロンではブルーカーボン活用にご興味のある地方自治体様を募集しております。本サービスを自治体全域のブルーカーボン蓄積量の推定やポテンシャルマップの作成にぜひご活用ください。
お問い合せ先:pulse@umitron.com

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