生きがいが見つかった話

中学の同級生から連絡が来た。
思ってもみなかった相手からの連絡で少しびっくりしていた僕。
何故かって、僕自身元々自分から連絡を取ろうとしないし、ましてや黒歴史同然だった、あの記憶が薄い中学の繋がりなんて切れていた。
今回連絡をくれた彼だってそう。
別に何があったってわけではないけど、自然と切れていたこともあって、また再会するなんて思わなかった。
自然にっていうのは、携帯の機種変の時にデータを重複させてしまって凍結状態でお釈迦になったり、アカウントの復活をしようとしたらデータ保存されていなかったり、災難っていう人もいるけど僕としてはそこに頓着なかったから、流してたんだよね。
彼曰く、彼は僕がいまだに連絡を取っている子と繋がっていたことで連絡先を教えてもらったとか。
少し頭を過ったから、連絡してみたとのこと。
「勝手に聞いてDMしてごめんね、少し話したいことがあってさ、良かったら話さない?」
そんな風に気遣いながらの彼に懐かしさを覚えてマイペースにやり取りをした。
話したいこととは、教育関係のことだった。
彼は僕が保育・幼稚園のしかくをもっていることを友人から聞いたらしく、価値観や何をもってそこに触れたいと思ったのか等々、自分以外の人の話を聞きたくなったらしい。
そこから、しばらくDM上でお互いの今の状態だったり、考えを話して意見交換をした。
(彼)『久しぶり、今何してるの?』
(僕)『今は、フリーターで色々仕事してるよ』
(彼)『一人暮らしなの?』
(僕)『そそ、専門卒業してからかな、一回就職したけど声出なくてなって辞めちゃった』
   『君は?学生だっけか。』
(彼)『そーなのか。』
   『俺は今大学生だよ。』
(僕)『そそ、バイト民きちいけど結構楽しくやれてる。まあ子供は好きだから、できれば現場戻りたいなっては思ってる。』
   『おお、大学生ってことは今年卒業か。都心部での学生ってエネルギー超要りそうで…僕は生きてかれんよ。』
(彼)『海月は、幼稚園の先生向いてそうだし戻れるといいねー。』
   『エネルギー足りてないから早くそっち戻りたい。』
(僕)『まじか、君から見て僕ってそう見える?』
   『マジで向こうはエネルギーないと無理(笑)』
(彼)『見えるよ!面倒見良いなってずっと思ってた。多分幼稚園の先生が一番エネルギーいる(笑)』
(僕)『まじかぁ。気付いて気になって気が付いたら傍にいるみたいな感じで結果的にそうなってる。』
   『かなぁ。僕は保護者と子どもには思うままに接してたからなぁ…どっちかっていうと、周りの先生たちに対してのエネルギーが足りなかった…。』
(彼)『そりゃ才能よ!』
   『幼稚園の先生っていうか、教育系マジで向いてると思うよ!』
   『職場の人との関係性大事よね、結構上の世代の人が多い職場だった?』
(僕)『褒め上手、人たらし(笑)教育系、好きなんだよ。養育に重きを置くから周りとの意見分かれがちだけど。
   『逆に若い人が多かった。』
(彼)『褒め上手っていうか、俺も教育関係だから子どもに寄り添える人の貴重さを感じてるんだよね。』
   『そうなのか、周りとはどういうすれ違い?があったの?言いたくなかったらいいけど、気になる。』
(僕)『おお、教育関係繋がり。あーー確かになぁ。まぁ、僕の場合は結果的に寄り添うって形になってるのかなって。僕は子どもの感じることや発見、視てる世界を僕も一緒に感じたいし体験したくて、その一瞬を共有できる時間型草あることが好きなんだよね。』
   『全然いいよー。んー、例えばの話し。「ここにリンゴがあります。貴方には何色に視えていますか?」という質問があるとする。問いを受ける者は全員で10人。9人は「真っ赤な色、明日が晴れることが約束された夕焼けのよう」。1人は「真っ青な色、晴れ晴れとした青空のよう」真っ青と答えた1人は9人にその見え方から否定をされる。そんな状況。』
   『固定概念なのか、その子どもを3年間見てきたっていう事実からのプライドなのかは分からないけど、「この子どもはこういうところがある」という部分に囚われて、実際の部分が見えていない状態で子どもが悲しい顔をしているのが耐えられなかった。一人ひとり見ることが言葉ほど簡単なものではないこと重々承知だけれど、保護者と子どものための施設という目的がある中で、そこを書いてしまえばただの鳥籠だなって。』
(彼)『周りの先生たちは子どもをコントロールしようとしているのかなー。』
   『小学校とかもそうだけど、一人ひとりに寄り添う時間よりも1対多の時間の方が多いから多を意識しちゃうのかもね。』
   『海月的には自分が子どもとかかわることで子どもにどうなってほしいの?めっちゃ問い詰めている感じでごめん(笑)』
(僕)『結局、集団をまとめるって頭になるとそっちに行きガチかもね。』
   『そうだよなぁ。まあいうて、日本教育は集団が強めだから小学校以降はしょうがない部分もあるかもだけど…しょうがないで終わりにしたくないけど難しい…。』
   『僕は子ども自身、そのものをそのまま受け止めるスタイルでさ。それができるのは小学校上がる前までかもだけど、ベースを育むうえでの準備期間として絶対必要だと断言したい。それぞれのペースでいいし、むしろ足並みなんて二の次でいいから、自分自身の感じることだったり、思うこと、何でも言い、生まれて数年の毎日が新しく楽しく、キラキラで溢れる世界を共有したい。』
(彼)『なるほど。子どもの自主性というか自然な学びを大事にしたいって事かな。で、先生は教えるっていうかサポートするみたいな。』
   『俺が目指す教育も「教える」っていうよりは、子どもが「気づく」「自分で考える」ことだから似てるような気がする。』
   『ちなみになんでそういうスタイルがいいと思ったの?めっちゃ芯の強さを感じるから、きっかけあるのかなって思った。俺は簡単に言うと、人にやらされるのと自分でやるのとでは、楽しさとか学びの効率とかが全然違うから上のスタイルがいいと思ってる。』
(僕)『そうだねぇ。そんな感じかな。先生って、先に生まれた人っていうだけで、後から生まれてきた人よりも早くに経験したことから知恵が増えて引き出しがたくさんあるんだと思ってるんだ。だから、先生だからと言って教えることが当たり前っていうのではなく、子ども自身の気づきとか経験が活きるような学びを一緒にできる人で在りたいと思うんだ。』
   『うんうん、そうだよねぇ。近い考えの人とお話しできて久しぶりに楽しんでいる。』
   『一番は、小学校と中学校の経験からっていうのが大きいかなぁ。そこから学びが何なのかわからなくなってた時高校で出会った先生たちに救われて、学ぶことが好きになれたからそれもあるかも。あとは、ここまで来るのに経験して増えた引き出しを総括した答え的なところでもあるかな。』
(彼)『なるほど、考えの過程が分かったのと、校種は違うけど先生目指して良かったと思えた、ありがとう。』

マイペースにお互い時間があるときに、返信をした。
少なくとも僕は、言葉にして表すことに時間をかけるのと、返ってきたメッセージに表情が見えてしまうので少しエネルギー消費が激しいこともあって、ゆっくり気まぐれに会話する方が楽。
それを向こうも知っているから、返したいときに返すことに彼も納得していた。

暫くして、年が明けるころにまた彼から連絡が来た。
どうやら、地元に帰ってきているらしい。
折角だから、ランチとお茶をして少し話をしようということ。
メールや電話よりも直接会って、相手の表情を見ながら会話を交わす方が、しっかりと音として、言葉を受け取れるからとても嬉しい誘いだった。
日程と時間をサクッと決めて当日。

中学の時とは僕の見た目がかなり変わっていたこともあって、全く見つけられなかったと笑いながら挨拶。
けれど、話してみると昔と変わらないねと言われたのが少し安堵に繋がった。

ランチ先で話したことは、以前にDMで話をしたことの続きだったり嚙み砕いた後に出てきた疑問を情報共有を兼ねてした。
その中で、今年から始まった大学での給付制度を教えてもらった。
色々話しをしていくうちに、彼がやっぱり海月は大学に行った方がいいよ、という話になった。
教員免許を持っている人が対象となる制度で、短期大併修過程で幼稚園教諭免許を持っている僕ももしかしたら対象になるかもしれないということだった。
この制度を簡単に説明すると、教員免許を持っている人で3年目以降の学費を免除すること。
本来は返すものであるが、4年目卒業後就職の際に教育関係に就職すれば月々の返済がなくなるとか。
ただ、問題なのは僕の場合は短期大併修で卒業資格と幼稚園教諭資格は取ったものの、一種か二種かの提示がある可能性があるという不安がある。
ざっくりとしか見ていないため、断言はできないけれど一種も二種も関係ないと来たら、これは僕にとってかなりの大チャンスなのだ。
元々勉強が好きなのと、僕と似たような考えの仲間がいる可能性があるかもしれないこと、全く違う考えを持っていても共有や意見交換ができること、そんな場所に行けるならと希望に近いものを感じた。
今の県内でも対応してくれる場所はあるらしい。
もちろん県外にも複数あるようなので、色々考慮して自分に合った動きができればいいなと思う。

彼と話をした時によく言われた感想が、「それ、大学で勉強…というか議論したことだ」とか「大学で結構取り上げられてたり、俺自身が卒論で書いた内容だった」とか。
彼は楽しそうにそう言ってくれるのだ。
後は僕が話をした後に「すごい…いや、あの、語彙力が消えた、色々考えてて俺にはなかったこととか、方法とか考え方がたくさんで脳の処理が追い付かない」って。
僕からしたら彼は、彼なりのものがあってこれからたくさん増えていくのだろうと期待したくなるような人だからそんなに委縮しないでいいのになぁって思った。
結構話をした後に
(彼)「海月は、どのくらい幼稚園に勤めてたの?」
(僕)「僕はたったの3カ月だよ。短いでしょ(笑)」
(彼)「噓でしょ、今の感じの話しだともっと期間あるとおもったんだけど…。濃すぎる3カ月だね…?」
(僕)「や、もう、ほんとにね(笑)お陰様で引き出しが増えましたよ。よく、数年くらいいたのって聞かれるけど実際の期間言うと皆びっくりするよね、疑われる(笑)」
(彼)「そりゃそうでしょ(笑)」

11時くらいから会って、終わりが20時前。
かなり話していたことになる。
お互いこんなに話ができるとは思わなかったと驚きつつ、次に会うときはまた何か変化がありそうだと楽しみも増えた。
それから今度は僕の方から会いに行くという話もできた。
遊びに行くねと。
その時には僕ももう一度大学に入って勉強ができているといいなと今からいろいろしたいところ…。
まずは復習から積み重ねて、自身の核の部分の見直しから行こうかな。
今日は生きがいを久しぶりに見つけられた日になった。
くたばってる場合じゃねえなこれ。

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