見出し画像

ケベックのバンド・デシネ紹介①ソフィ・べダール『Les petits garçons(少年たち)』

モントリオール、モン・ロワイヤル地区にあるバンド・デシネ(以下BD)専門書店Planète BDでおすすめされて購入した作品。

表紙、だいぶ傷んでますね

『少年たち』というタイトルとは裏腹に、しっかり者で毒舌のジャンヌ、天真爛漫なアジア系のルーシー、ちょっと影のあるナナ(表紙の左→右の順です)という3人の女性の群像劇です。
タイトルの意図は何となくわかるような、わからないような…。髪を短く切ったルーシーがセフレに「少年みたい」と言われるシーンがかろうじてあります。

テーマは20代前半に特有の性愛にまつわる煩悶と、シスターフッドだと私は思っています。

モントリオールのメトロ。変な形の手すりだけど、大勢つかまっても手が当たりにくい

3人はもともとルームメイトだったのですが、ナナがアパートの敷金を持ち逃げしたため、今はジャンヌとルーシーの二人暮らしです。
物語は、そのナナが忽然とアパートに現れるシーンから始まります。

ロンドンに滞在していたらしいナナ。モントリオールに戻ってきた理由とは?
仕事のストレスでボロボロなのに、つい友達をケアしてしまうジャンヌは自分らしい生き方を見つけられるのか?
ひどい目に遭わされた元カレへの思いを断ち切れないルーシー。メンヘラモードを抜け出そうと新しい相手と関係をもってみるけれど…
それぞれに問題を抱える3人は、またルームメイトとしてやり直せるのでしょうか。

派手な事件が起きるわけではないけれど、人を苦しめているものってちょっとした違和感だったり、他人から見たらよくある挫折だったりすると思います。心にスッと入ってくるので、何度も読み返してしまう作品です(だから表紙がボロボロに…)。あと、日本人の感覚で読んでも何の違和感もないのが不思議です。このあたりの理由はもう少し考えてみたいです。

本書の作者ソフィ・べダールの新刊がもうすぐ(2024年11月)出ます。楽しみです!


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?