井田 海帆(フランス語翻訳者)

翻訳者の日常や、カナダ・ケベック州のバンド・デシネ(フランス語圏のマンガ)について発信…

井田 海帆(フランス語翻訳者)

翻訳者の日常や、カナダ・ケベック州のバンド・デシネ(フランス語圏のマンガ)について発信しています!プロフィール画像はケベックのバンド・デシネ作家zviane作。

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サウザンコミックス第9弾、フランスのバンド・デシネ『男の皮』の翻訳を担当します!

大阪、谷町六丁目の古民家ブックカフェ書肆喫茶moriの店主、森﨑雅世さんが発起人を務める上記のクラウドファンディングプロジェクト。 今年の初夏、moriさんにお邪魔した際に原書を読んでいましたので、翻訳出版クラウドファンディングが始まったら支援しようと心に決めていましたが(実際に支援しています)、翻訳者を募集するというまさかの告知を目にし、立候補しない理由がない!と即ご連絡しました。 サウザンコミックス編集主幹の原正人さん、前述の森﨑さんらの審査を経て、『男の皮』の翻訳者

    • 『男の皮』日本語訳の試し読みが公開されました!

      こんにちは! 『男の皮』関連のnoteにいいねをいただき、ありがとうございます。みなさまが考える何倍も喜んでいます。 さて、一般書籍とクラファン書籍の一番の違いは、内容を読まずに決断しなければ(してもらわなければ)ならないというところではないでしょうか? 我々もこれまでは「絶対面白いから…!信じてくれ…!」(意訳)というメッセージしか出せなくてもどかしい思いでしたが、このたび、拙訳を5ページ分試し読みしていただけるようになりました!こちら↓からどうぞ! 訳すのも本当に楽

      • ケベックのバンド・デシネ紹介②アンドレ・マロワ(作)、ミシェル・エルマン(画)『Débarqués(上陸者)』

        アンドレ・マロワはケベック在住のフランス人作家。作画担当のミシェル・エルマンは『Mile End』と『Nunavik』という作品を読んでいたので、作画もするんだ~と興味を持って取り寄せました。 読んでいて少し驚いたのが、21トリソミーすなわちダウン症のココ(目が(3 _ 3)の彼です)を指してmongolという言葉が使われていること。かつてダウン症は、外見がモンゴロイドに似ているとされmongolismeと呼ばれていましたが、最近さすがに見聞きしなくなっていたので。 そも

        • 能町みね子『結婚の奴』と『男の皮』〜恋愛を介さないパートナーシップをめぐって

          衆院選を控えて、同性婚や選択的夫婦別姓について考える絶好の機会でもありますが(選挙がなくても考えているよ!という方、ナイスです🤝)、現在クラファン中の『男の皮』もこういったテーマと決して無縁ではありません。言うまでもありませんが、ここに書く内容はすべて私個人の考えです。 『男の皮』はまず、着ると男性になれる皮というぶっ飛んだ設定があり、そこが大きな魅力であることは疑いようがありませんが、大枠としては、家父長制という旧弊を問い直し新しい形の幸せを追い求める痛快なストーリーにな

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        サウザンコミックス第9弾、フランスのバンド・デシネ『男の皮』の翻訳を担当します!

          Dépanneurのこと

          Google翻訳に、最近「フランス語(カナダ)」が新たな言語として追加されたことを知りました。 そう来たらchum(彼氏)とかblonde(彼女)とかdépanneur(コンビニ)とか出してみたいわ、と思い翻訳させてみたのがこちら。 「コンビニ」ってフランスのフランス語ではどうなるのかな?私が在仏だった頃はepicerie arabeと言っている人が多かったけど(アラブ系の方が経営している場合が多かったため)、最近だとMonop'なんかも増えているようだしsuperette

          ケベックのバンド・デシネ紹介①ソフィ・べダール『Les petits garçons(少年たち)』

          モントリオール、モン・ロワイヤル地区にあるバンド・デシネ(以下BD)専門書店Planète BDでおすすめされて購入した作品。 『少年たち』というタイトルとは裏腹に、しっかり者で毒舌のジャンヌ、天真爛漫なアジア系のルーシー、ちょっと影のあるナナ(表紙の左→右の順です)という3人の女性の群像劇です。 タイトルの意図は何となくわかるような、わからないような…。髪を短く切ったルーシーがセフレに「少年みたい」と言われるシーンがかろうじてあります。 テーマは20代前半に特有の性愛に

          ケベックのバンド・デシネ紹介①ソフィ・べダール『Les petits garçons(少年たち)』

          略歴と目標

          はじめまして!井田海帆と申します。主にフランス語の実務翻訳をしています。実務翻訳と言っても広いですが、特に、学術論文とWebサイトのローカライズが得意です。 日本で大学を卒業した後、就職氷河期の就活から逃げるためにフランスの大学院に進学し、自然言語処理(NLP)の研究をしていました。まだ通貨がユーロではなく、フランス・フランだったころです。フランスの大学は授業料がタダだから、という不純な動機で渡仏しましたので、恥ずかしながらフランスの文化や芸術には明るくなく、ワインよりビー