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夏本番前に知っておきたい知識が盛りだくさん!5/16開催の「熱中症&水難事故は予防できる!」セミナー

これから夏に向けて、気候が変化する今の時期。たとえば、熱中症対策や水辺での安全な遊び方など、活動をおこなうにあたって注意しなければいけないことがたくさん出てきますよね。

今回は、そんなこれからの時期にとても役立つ学びが満載の5月に開催されたオンラインセミナー「熱中症&水難事故は予防できる!」について少しご紹介します。気象、熱中症、水辺の事故に関することなど、各分野の専門家の先生方が、普段注意すべきことや心構えについてわかりやすく説明をしてくださっているので、ぜひ学びの参考にしてみてください。

また、本記事ではほんのさわりを紹介しているのみなので、本セミナーの詳しい様子はぜひ動画でご覧になっていただきたいです!

日本ライフセービング協会(JLA)主催セミナー「熱中症&水難事故は予防できる!」
https://www.youtube.com/watch?v=UPAAJYm4heA

【セミナー参加メンバー】
浅田 佳津雄/株式会社ウェザーニューズ スポーツ気象チーム
細川 由梨/早稲田大学スポーツ科学学術院 准教授
菅原 一成/公益財団法人河川財団 子どもの水辺サポートセンター 主任研究員
松本 貴行/学校法人成城学園中学校高等学校 保健体育科教諭、公益財団法人日本ライフセービング協会 LS教育本部長
西田 佳史/日本こども安全学会理事、セーフキッズジャパン理事
吉川 優子/一般社団法人吉川慎之介記念基金 代表理事

はじめに

吉川 優子(一般社団法人吉川慎之介記念基金 代表理事)

(プロフィール)

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吉川 優子
一般社団法人吉川慎之介記念基金 代表理事。子どもの安全を守る社会づくりの普及・啓発活動を行っている。子どもの重大事故の再発防止と未然防止の啓発活動をおこなっている。
一般社団法人 吉川慎之介記念基金(https://shinnosuke0907.net/

まず、登場したのは本ノートの記事にも何度も登場していただいている、吉川優子さんからセミナー開始のごあいさつが。吉川さんは、川でご子息を亡くされた経験をきっかけに、子どもの安全を守る社会づくりの普及・啓発活動をおこなっています。コロナ禍でも引き続き発生している、今日の子どもの水難事故について言及しつつ、正しい情報、知識をしっかりと得て、子どもたちと私たち自身の命を守る大切さにふれ、今回のセミナーの開催趣旨を説明してくださいました。

続いて、セミナーに参加された各専門家の方々の発表がスタート!

天気を味方につければ、スポーツはもっと安全に楽しめるって…知ってました?

「天気を味方につける ~気象情報の活用について~」
浅田 佳津雄(株式会社ウェザーニューズ スポーツ気象チーム)

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最初の発表者は、「スポーツ気象」というめずらしい分野で活動されている浅田佳津雄さん。

(プロフィール)

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浅田 佳津雄
航海気象サービスをはじめ、多くの市場で事業を展開する、株式会社ウェザーニューズ スポーツ気象チームに所属。スポーツ選手が試合等の本番で最高のパフォーマンスを発揮するため、気象情報によるスポーツ環境の向上やアスリート支援などに取り組んでいる。
株式会社ウェザーニューズ(https://jp.weathernews.com/

「インターネットやラジオなどの各メディアで調べれば、5分先の天気も知ることができますが、『情報がありすぎてどれを見たらよいかわからない……」という課題が生まれているのも事実。正しい情報を取捨選択し、判断して行動することができるように、天気を味方につけるためのヒントを得てほしい」。

そんな想いとともに、安全に楽しく過ごすための気象情報の活用法を教えてくださいました!

浅田さんが取り組んでいるのは、過去、未来、現在の時間軸、気象要素(天気、雨量、気温など)の掛け合わせで構成された気象データを活用し、大会開催の判断から観客対応、選手の練習メニューや合宿場所など戦略戦術まで検討していくこと。

発表では、気象データ活用事例や天気を味方につけるための方法が紹介され、「これが分かるとこんなことに役立つのか!」と天気の重要性に気づくことができます。浅田さんいわく、

天気を味方につけるために必要なことはズバリ……

「正しい情報、正しい知識を取捨選択して行動すること」!

ちなみに、今年2021年の夏の気象予報は、過去のデータから分析すると、「梅雨明けが早まり、7月、8月は「平年並み」か「暑く」なる傾向が高い」とのことですよ!今回、浅田さんから教えていただいた情報収集の仕方を参考にして情報を集め、熱中症をはじめ、心配されるリスクを予想して、今から準備をしておけるといいですね。

これを知れば、熱中症予防のそなえはほぼ万全!今から取り組みたい脱水対策

「熱中症予防のためのACTION ~脱水対策~」
細川 由梨(早稲田大学スポーツ科学学術院 准教授)

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つづいての発表は、夏を迎えるにあたって欠かせない熱中症予防に関する学びです。発表してくださったのは、スポーツセーフティーなどの研究をされている細川由梨さんです。日頃から心掛けたい、熱中症予防のための脱水対策について教えてくださいました。

(プロフィール)

細川 由梨
早稲田大学スポーツ科学学術院 准教授

言わずと知れた熱中症。あらためて、どんなリスク要因があるか知りたい方は必見です!「え!こんなリスク要因があるんだ?」と意外な事実を知ることができます。

また、発表では、リスク要因を考慮して、どんな対策がとれるのかについてもしっかり教えてもらえます。適した水分状態を維持することや予防行動をとるための思考を身につけることなど、役立つ情報が満載なので、これから本格的な夏を迎えるにあたって、ぜひ知っていただきたいです。

川へ行く人必見!川の水難事故の実態と知っておいてほしい対策

「No More 水難事故2021 ~事故データの分析からみたリスクと対策例~」
菅原 一成(公益財団法人河川財団 子どもの水辺サポートセンター 主任研究員)

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つづいて登場したのは、公益財団法人河川財団の菅原一成さん。今日の水難事故の概況、特に河川の事故に関するリスクと対策について教えてくださいました。

(プロフィール)

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菅原一成
公益財団法人河川財団 子どもの水辺サポートセンター 主任研究員。水辺体験活動の普及推進事業や河川・水教育の普及等に取り組んでいる。

河川財団では、水難事故情報を収集したり、現地調査を行い、水難事故防止のためのさまざまな取り組み等を行っていますが、発表の中では、これまでの調査で分かった結果について詳しく説明してくださっています。

2003-2020年の子どもの水難死亡事故の約6割は「川」と「湖沼池」で起きていること、河川財団収集データでは被災者約7割が男性で中学生以下の子どもの水難者数は全体の4分の1であることなど、普段あまり耳にできない昨今の事故の現況や傾向について知ることができます。

また、起こりえる水辺の事故リスクやその対策の具体例など、万が一水難事故が起きた場合に実際に役立つ知識についても紹介してくれています。

夏が近づくにつれ、ニュースを耳にする頻度も多くなる水難事故。事故を防ぐために、ぜひ知っておいていただきたい学びの情報です。

子どもにとって一番身近なライフセーバーは、保護者である“あなた”です

「水辺の教育こそ、主体的、対話的学びを!~e-Lifesavingを活用した授業展開~」
松本 貴行(学校法人成城学園中学校高等学校 保健体育科教諭/公益財団法人日本ライフセービング協会 LS教育本部長)

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最後の発表者は、本ノートでもすでに何度も登場していただいています、松本貴行さんです!冒頭、最近うれしかったこととして、新しい保健体育の教科書の表紙にライフセーバーが描かれていたことを挙げてくださった松本さん。

「保健体育は、子ども達に生涯を通じた健康や安全を伝える教科。そこにライフセーバーが加わったことは、非常に大きな一歩」という言葉とともに、水辺の教育についての重要性を教えてくださいました。

(プロフィール)

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松本 貴行
学校法人成城学園中学校高等学校 保健体育科教諭、一般財団法人東京私立中学高等学校協会 芸術体育系教科委員、消費者庁消費者安全調査委員会専門委員、公益財団法人日本ライフセービング協会副理事長・教育本部長

苦しみや悲しみを与えないように、水辺の事故を未然に防ぐことに重点を置いているライフセービング。救助をしないで済む(No Resucue)ような水辺のコーディネートをするというライフセービングの本質にはじまり、調査でわかったレスキュー要因、溺水する場所、救助年齢などを挙げながら、事故防止のためには、リスクに対する知識を紹介しながら、対処のための技能をしっかり授ける教育の必要性を説いてくださっています。

また、発表内では、2020年に日本ライフセービング協会(JLA)が開発した水辺のリスクを正しく、楽しく学べる教材「e-Lifesaving(https://elearning.jla-lifesaving.or.jp/)」の紹介も。教材の活用方法や子どもたちに一緒に考えさせるという活用のポイントなど、活用にあたってのヒントをたくさん教えてくださいました。

「『e-Lifesaving』の教材などは、先生はもちろん、保護者の方も利用できるので、夏休み前に取り入れて、子どもの重大事故ゼロを目指していきましょう」という松本さんの言葉通り、先生はもちろん、親やお子さんご本人もぜひ教材を利用して、水辺で安全に楽しく遊ぶための知識を身につけて、楽しい夏の思い出をつくってもらいたいです。

終わりに

すべての発表の終了後は、日本こども安全学会理事、セーフキッズジャパン理事の西田佳史さんからの終わりのご挨拶。

(プロフィール)

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西田 佳史
日本こども安全学会理事、セーフキッズジャパン理事

「事故が起きると、個人の問題とされてしまうことが多く、予防法や対策といった事故からの学びにつながらない現状があります。何かあった時に手に負えないロシアンルーレット状態から、手に負える状態に変えていく必要があると思っています」。そんな現状意識について語りながら、安全に関わる世界会議であがっている、7つの問題意識などを紹介してくださいました。

西田さんいわく、「どこにどんな問題があるのか、まずは知ることが大事ですが、知っただけで終わりにせず、自分たちで変えられることを考え、変えるためにどう動くかというデザインまでをおこなうことが重要。今回のセミナーは、知るからデザインへつなぐ有意義な情報発信につながったと思います」。

本当にそうだと思います。知って、アウトプットをしてこそ、目指す水辺の事故ゼロという未来が実現します。このセミナーの参加や動画視聴をはじめ、命を守るためにできることをみんなで進んでおこなっていきたいですね。

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水辺や外遊びの頻度も増える夏は、これからやってきます。そんな夏を迎える前に、ぜひ本セミナーの動画を一度ご覧になってください。必ず、「知っておいてよかった!」と思えますし、いつもより大きな安心感を持って水辺へ遊びに行くことができると思います。今から、こうした役立つ知識や情報をできるだけ集めて学び、お子さんをはじめ、まわりにいる大切な人たちと楽しい夏を過ごせるように準備をしておきましょう!

もっと詳しいことが知りたい方は、こちらの動画をどうぞ!
JLA主催セミナー「熱中症&水難事故は予防できる!」
https://www.youtube.com/watch?v=UPAAJYm4heA