拝啓 14才だった私へ
元気にしているかい?
しているわきゃないだろうね。
教室の隅で本ばっかり読んで、クラスメートを内心馬鹿にして、こいつらと話すよりも本を読んでる方がずっとマシだと思っていたね。
そして、死にたいと思っていたね。
16で死のうと思っていたね。
それが出来なかったら18で、20で、22で、絶対に死のうと思っていたね。
ところがさ、私、それを過ぎても生きちゃってるんだよ。
死にかけたけど、生きてる。
でも君の死にたいという感覚は嘘じゃないよ。
でもちょっと太宰に感化されすぎだから、人間失格を繰り返し読むのと、嶽本野ばらに心酔するのはおやめなさい…と言っても、君は私のことを暗くどうでもいいように睨むんだろうね。
パンクに生きたいと心から願っていたね。
くだらない世の中でストレートに生きるなんてまっぴら御免、ピストルズを聞きながら歩いたね。
私は大人になったけれども、やっぱりパンクに生きたいと思ってるよ。
刺青も入れたよ。ニップルも空けたよ。ライブハウスに通い詰めたよ。
君がやりたかったことは殆どやったんだ。
心酔していた嶽本野ばらのサイン会にも、ちゃんとロリータ服を着てMILKのハートバッグを持って行ったし、好きなバンドを追いかけて全国を回った。
原宿系のモデルにもなったし、ヴィヴィアンの財布を持ち歩いてる。
合法ドラッグに依存していたし、夜の街を歩いた。
嫌いな奴には煙草の煙を吹きかけたよ。
あとやりたかったことは、死ぬことと、作家になることなんだけれども、
前者は失敗しちゃったんだ。
でもね、失敗してよかったと思っているよ。
君は世界に独りぼっち、誰も私のことなんて理解してくれない、と、ひねくれていたけれど、同じ空見上げてる人っていうのはいるもんなんだ。
あと、やりたいことはひとつだね。
叶えてみせるよ。
約束する。
敬具 25の私