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導入編~ファイアーエムブレム「アカネイア大陸の海と地政学」~

 ファイアーエムブレム「暗黒竜と光の剣」とその続編である「紋章の謎」というゲームは、ゲームとして面白かったのはもちろんだが、「架空戦記」としてみても非常に興味深いものである。
 特に、作中で書かれていない「海」というものに着目すると、なかなか面白いものになる。
 たとえば「マルスはどうやってアリティアからタリスまで脱出し、2年もにわたって潜伏していたか。」これについて、陸上から城を包囲されていたとしたら説明がつきにくいが、当時のドルーア・グルニア・マケドニアに比べてアリティア海軍(あるいは「アリティア商船団」)が圧倒的に強かったとしたら納得である。強力な海軍でアリティアからアカネイアをぐるりと巡り、ワーレン港あたり
 また、「マルスはいかにしてタリス島からアカネイア大陸に上陸したか」や「補給はどのように行っていたか」などについても、「海」というものをキーワードにするといろいろと異なる側面が見えてくる。そして、現実世界の「海」というものの地政学的性質についても、見えてくるものはあるであろう。
 この「アカネイア戦記」は最終的には「海洋新興国」が「大陸国」に挑んで戦い、そして勝利した戦いであった。アカネイア戦記から消されてしまった「海」というものについて、じっくりと考察していきたい。

~メモ~
 陸軍と海軍・・・交換不可能な存在
 陸軍と海軍は交換不可能な存在である。
 そんなことはわかりきったことだが、意外と忘れがちなことである。
 例えば、100万人の陸軍がいたとしても、船がなければ海を渡ることはできない。しかも、「船の扱いがわかるもの」がそれなりにいないと100万人の陸軍のほとんどが戦力にならない。
 一方、大艦隊がいても当然山は登れない。戦史では例外として1453年のオスマン帝国によるビザンツ帝国首都コンスタンチノープル攻略戦の際の「オスマン艦隊の山越え」があるが、あれも相当無茶苦茶なことをしており、しかも大艦隊は陸上では戦力になっていない。戦力になったのは金角湾に入り込んだ後である。
 強大な陸軍を持っていたとしても、強大な海軍を持っているとは限らない。逆もまたしかりである。