岡目八目
「多少のところは時間はかかるでしょう。」
医者に言われたはじめの言葉を最後に、その後のことは何も覚えていない。
「あの、お久しぶりですね」
彼女は立ち止まり、少しだけ不安げな笑顔を浮かべた。
私も彼女を見て、少しだけ照れながら返事をした。
「お久しぶりですね。どうして今日来たんですか?」
彼女は、少しだけ無表情な顔をして言った。
「君の子供が四歳なんだって。それで、私も親権を取り戻したいんだって」
「そうなんだ。それだけなら簡単なんだけど、どうして今日なんだ?」
「うーん、まぁ、君がいないと気がすまないからなんだろうな。それに、思ってた以上に大変なことがあったから、少し助けを求めたくて。。。」
彼女は、私の言葉を聞いて、少しだけ優しい笑顔を浮かべた。
「なるほど、そうなんだ。今度、そういう時には一緒に頑張るからね」
「いいよ。それじゃあ、今日も一緒にいようかな」
二人とも、そう言い合った。
そして、今日も二人は、仙台のドトールで笑顔で時間を過ごした。
そもそも理想的な関係ではない。あらゆるデータが蓄積されてきた中でここだけの話だ、というのがほぼ通じなくなってしまった。正直何もなくても、もう十分に透明だ。
平成16年6月18日
ある日、20代の女性と50代の男性が、思い切って金環日食の現象を見に行くことを決めました。
太陽の光が金色に輝き、2人は素晴らしい光景を見つめていました。
その時、男性が、「もしかして、あなたも実家に帰るホストがいるんですか?」と聞いてきました。
女性は少し恥ずかしそうに首を横に振りながら、「そうです。実家の近くに少し距離があって、定期的にホストに行きます」と答えました。
男性は笑顔を浮かべながら、「お父さんと母さんと一緒に行ったりしますか?」と聞きました。
女性は少し落ち着いた表情になり、「いいえ、私が行っています」と答えました。
そして、その日から2人は、定期的にホストに行くようになりました。
金環日食を見たあと、太陽が沈んでからも2人は、家族と一緒にホストに行くことを楽しんでいました。
男性は、女性を家族のように思い、家族みたいな時間を一緒に過ごすことができていました。
そして、2人は、お互いを大切にしていくようになりました。
今でも、金環日食の日は2人で毎年見に行っています。そして、必ず家族のような時間を、ホスト通いを通して成り立たせているのです。