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出窓のように


住宅街を歩いていると
出窓や玄関周りを 外に向けて設えている家を見かける。
家の中から見るように飾ることもできるのに
外から見て楽しめるようにとの趣向は
もちろん帰宅するときの楽しみでもあるだろうけれど
通りすがる人に喜びをわけてくれているようで
いつも楽しませてもらっている。

✴︎

しばらく
わたしは自分の出窓を内側のみに向けていた。
カーテンを閉めて。
そういうときは
過去も未来も あまり見えなくて
今 の自分ばかりを見つめているのかもしれない。
否定的なわけではなくて。


どこにも公開しない日記が 1年以上 ほぼ毎日続いた。
初めてのことだ。

小学校1年生のときに 初めて絵日記を書いた。
宿題だったのだろう。
好きだったのか かなりたくさん書いたけれど
それは すでに
読まれることを知って書いた文章だった気がするのだ。
先生が読んで
赤ペンでハナマルをつけて コメントをくれる。
そういえば『はれ ときどき ぶた』は 面白かったなぁ。


自分のためだけの文章。
たくさんの人に読まれるために ではないけれど
誰ひとりとして読まれる可能性のない文章を
実は 書いたことがなかったのだ。

ちょっと前からは 写真も残すようになった。
言葉が うまくまとまらなくても
その日 自分が心を留めた景色が そこに。
自分のためだけの写真。
いろんなものが目に留まる日もあれば
なんにも見えていない日もある。


1年前の日記を読み返すと 少し苦しい。
赤裸々に書くかんじでもないのだけれど
力を抜こう。呑気にしよう。
と一生懸命に力んでいる自分が見えるからだ。


✴︎

最近 ようやく
言葉の芽が
顔を出したいと
蠢いてくる気配を感じるようになった。

自分の中を耕していただろう長い時間で
柔らかい土壌になったと信じたい。



出窓のカーテンを開けようか。


出窓のいいところは
遠くから わざわざ やってくるのではなくて
通りすがりの人が ふと気づいて 微笑むくらいの
そんな気軽さだと思う。

そんなかんじで
自分の出窓を マイペースに設えていきたい。

たまに 覗いてみて
ちょっとだけ 楽しんでくれたら嬉しい。



✴︎

マネキンが
様々な趣向で飾られたショーウィンドウ。
ライトを消して バックヤードにしたつもりで
丸見え状態の夜中のショーウィンドウ。
その魅力にも取り憑かれているけれど。

それは また 別の話。






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たかはしきょうこ
サポートしていただけたら とっても とっても 嬉しいです。 まだ 初めたばかりですが いろいろな可能性に挑戦してゆきたいです。