匙投げ小説執筆法 6.シーンの区切り方
6.シーンの区切り方
⑴空白行について
多くの本のページは、いくつかの段落ののちに、数行の空白を挟んで(または記号を挟んで)、また新たな段落群が始まっています。ここからは別の節、セクションですよというサインです。
小説において、節を切り替えるべき基本的なポイントは以下の4つです。
①場所が変わる。
②その場所の環境が変化する(天気が急変する、キャラの顔ぶれが変わっている等)。
③時間が大きく経過する。
④視点人物が切り替わる。
それ以外の場合に、とくに意味もなく空白行を多用するのは感心しません。文章の行と同じように、その空白行は必要か?と常に自問しましょう。
⑵場面転換のコツ
シーンとシーンの切り替えも、慣れないうちは手こずると思います。
"臨場要請に、沢田は現場へ急いだ。署を出て、駅へ向かい、電車に揺られて、四つめの駅で降りた。現場の公園で沢田は遺体を検死した"
まどろっこしいですよね。キャラが移動するあいだに何もイベントがなく、のちの伏線にならないのなら、割愛しましょう。
"臨場要請に、沢田は現場へ急いだ。
三十分後、現場の公園で沢田は遺体を検死していた"
あるいは、
"臨場要請に、沢田は現場へ急いだ。
現場の公園は桜が満開だった。花の下で沢田は遺体を検死した"
場所や時間が移ったことがはっきりわかるように書けば、読者はついてきてくれます。
どうしても移動シーンを書きたければ、キャラを全力で走らせましょう(これはショーなので)。歩かせるとシーンがだれます。ただ歩くだけのシーンは不要です。
⑶続きが気になるシーンの終え方
物語における、読者が続きを読みたくなるシーンの終え方は、以下の11通りです。
①予見される対立。
"自分の栄転は、きっと高橋は気に食わないだろう。田村はため息をついた"
②答えの提示されない疑問。
"自殺した伏見は、なぜ僕に何もいってくれなかったのだろう?"
③明かされない秘密。
"妻はずっと家にいたという。だが、ゆうべ駅前で見かけたのは妻にちがいなかった"
④謎めいた台詞。
"「それが知りたきゃ、今夜、鹿鳴館に行ってみろ。ひとりでな」"
⑤衝撃的な出来事の知らせ。
"電話の相手は長野県警だった。あなたの両親が北アルプスで遭難事故にあった、と"
⑥ストーリーを逆転させる事実の発覚。
"探偵を名乗る男がじつは悪漢で、悪漢と思っていた男がじつは探偵と判明する"
⑦大きな決断あるいは誓い。
"妻の亡骸を抱いて、沢田は犯人への復讐を誓った"
⑧新しいアイディア。
"七海は姑の撃退法を思いついた"
⑨感情が高まる瞬間。
"高橋は激昂した。ふざけるな、あの田村が支店長に栄転だと?"
⑩何かの前兆のメタファー。
"戦場で皆既日食が起こる"
⑪ターニング・ポイント。
"主人公が両親を亡くし施設で暮らすことになる"
コツは、読者に「それでどうなるの?」と疑問をいだかせることです。常に読者の目線を意識し執筆に励んでください。
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