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小説集

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小説作品をまとめておきます。
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2015年12月の記事一覧

「夕陽を攻めおとす」

「夕陽を攻めおとす」

 そろそろ、日が落ちるだろうか。
 僕はそんなことを考えながら、隣を歩く雨田の足音を聞いていた。名前のわりには晴れ男で、小学校の頃から、彼と一緒に帰る日には雨が降った事がない。そうして二人歩いていると、たいていすぐに夕暮れ時になって、暗闇が足下へ近づいてくるのを何となく恐ろしいような、ホッとするような気持ちで待ち受けるのだ。
「まあ、分かるよ。おまえの言いたい事はさ」
 雨田はそう言って鼻を鳴らし

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「からっぽの世界」

「からっぽの世界」

1.
 最初に気がついたのは、隣に妻がいないことだった。シーツには彼女の形のしわがあり、毛布にはかすかに彼女の残り香がありながら、彼女の体だけがそこになかった。ふっと冷たい予感が走って、私は思わず大声で彼女を呼んだ。
「文子!」
 返事はなかった。頭がはっきりしてくるにつれ、彼女にしてきたいくつもの不誠実が思い出され、心臓の鼓動が早まった。
 とうとう愛想を尽かされた、と思った。昨夜、ごまかさずに

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