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ケモノの医者の体験談 vol.2 就活秘話 動物病院探し

就活のはじまり

家庭福祉員さんに子供を預けることになったので、ダラダラしていた私がやっと重い腰を上げて就活をしなくてはならなくなりました。最低でも保育料を稼がないと。

大学時代の就活でも面接に行ったのはたったの2病院。1つは助教(当時でおいう助手)の先生に紹介してもらったところで、もう1つは当時お付き合いしていた1学年上の先輩から、勤務先の近くに面白い病院があるという話を聞いてとても興味をもった病院でした。

結局その2つの病院の見学&体験実習に行き、うち1つ(当然ながら先輩の勤務先の近く)に内定が決まったので、私の就活は深く考えることなく終了しました。

その後、先輩とはお別れしていて、就職前に別の人(現夫)との間に妊娠&結婚で内定は取り消されてしまったわけですが、そんないい加減な感じの就活だったので経験が少なく、ただでさえ特殊な業界なので何をどうやったらいいのかよくわかりません。

今さら大学の先生に頼る訳にもいかないし、色々調べて大手動物専門誌の出版会社のサイトに獣医師募集情報があったので、とりあえずそれを見てみることにしました。

まずは勤務条件

就職とはなんぞや。働く側の希望と雇う側の要求が一致して初めて雇用契約が成立するのは獣医業界も同じです。でもこの業界は、実際には雇う側が強いというか、働かせてもらうというような風潮は少なからずあるような気がします(少なくとも当時は)。

まだ世間知らずだった当時の私は、とりあえず勤務条件として自宅の近くであること、新卒や未経験者を募集していること、できれば日曜休み、シフト制があればなおよいなどの条件で探しました。

今考えれば「子持ちの女」という条件で、この業界で働く気があるのかと思うくらい自分勝手な条件ですが、子持ちの女以外の部分では2病院ヒットしたのでメモしておきました。

その他、友人が勤務していた動物病院の先生から、動物専用の検査センターで検査員の空きがあるのでアルバイトとしてどうか、それと女性獣医師一人でやっている病院があり今とても伸びていて、人員が足りないのでフルタイムでなくてもいいといっているからアシスタントとしてどうか、というお話もいただいていました。

自分で職場を探すのは勇気がいります。動物病院は企業病院以外は個人経営なのではっきり言って家庭内に入りこむような小さな世界です。雇用条件も補償もいい加減なところがほとんどでした。

でも職場環境のもっとも重要なことは人間関係。一般的な町医者規模の動物病院では院長1人、勤務医0~1人、動物看護師0~2人、場合によってはトリマーもいますがそれでも総スタッフ数は少ないので、もしもこのうちの誰かとうまくいかないと新人は逃げ場がなく精神を病むかもしれません。でも内部事情は働くまでわからず、就職して初めてわかることも少なくありません。

いっぽうで、人数が多いマンモス的な病院になればそれはそれでいくつか気になることも出てきます。お局さんの存在とか派閥があったりとか、夜勤や分院などへの転勤などもあり得ます。

男か女か、ということはやはりある

現代では男だ女だと言うと怒られそうですが、やはり雇用条件に男か女かということは現実問題としてあります。

例えば大型犬が多く来院するような病院なら力仕事を任せられる男手がほしいとか、女性院長の病院でスタッフも女性で固めたいとか。

さらには単身者のほうが既婚者よりも自由が利くので、夜勤や救急対応があったりすると単身者が好まれますし、子持ちの女性ともなると、やれ子供の発熱だとか旦那の意向だとかで、急な要請に答えられなかったりフルタイム勤務が難しかったりする可能性があるので、雇う側としてはよほど人手不足でない限りは避けたいところです。

面接してもらう順番

一般的な就職活動の経験がないので未だにわからないのですが、何社も面接を受けて何社も内定をもらって、最後に決めるのは1社っていうのが普通の就活みたいで、でも内定をもらったときにいわゆる滑り止め的な会社には何て伝えるのでしょう?

「考えさせてください」とか「本命が他にあります」とか言うんでしょうか。「本命がダメだったらよろしくお願いします。」とか。

自分から面接を受けておいて保留したり断ったりするのは失礼にあたらないのか、個人的には内定をもらってしまったらもうそこに決定しないといけないんじゃないかという感覚だったので、まず最初にどこに面接に行くかがとても重要だと思っていました。

しかしながら「気に入られちゃったら行かなきゃ」などと考えるお花畑な脳ミソに現実はもっと厳しく、このあととんでもない苦労が待ち受けていました。

友人の勤務先の院長先生が提案してくれた検査会社でのアルバイトは、子持ちの女性には現実的で「まあ普通に働くのは厳しいだろう」とわかっていたからこその提案だったのだろうと思います。

ですが当時は、やっぱり臨床の現場でバリバリ働きたいと考えていたので、検査会社は第一希望にはならず、女性獣医師の病院さんは少し遠かったので、どちらも他がダメだったらお願いしようかなくらいに思っていました。

現実を知らなかったそんな自分が、最初に面接に行こうと決めたのは自宅近くのあり得ないほど条件が良い動物病院でした。

意外とすんなり決まるかも?

次回は第一志望の動物病院で面接です。

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