ひねいも

開業獣医師、いわゆる”ケモノの医者”です。娘が2人、夫はSEで普通の会社員。今まで経験してきて面白かったことや苦労したこと、少しでも役に立ちそうな話など、シレっと愚痴も入りますが楽しく気ままに書く予定です。

ひねいも

開業獣医師、いわゆる”ケモノの医者”です。娘が2人、夫はSEで普通の会社員。今まで経験してきて面白かったことや苦労したこと、少しでも役に立ちそうな話など、シレっと愚痴も入りますが楽しく気ままに書く予定です。

最近の記事

あなただけの特別を

獣医師をしているとさまざまなペット関連の問題にぶちあたる。その中でも生体販売については獣医師でなくとも一家言ある人が多いだろう。 今回私は生き物を購入する人たちに、買わずに得られる優越感を提案する。 犬猫に限らず鳥や魚、爬虫類と両生類、そして昆虫までもが、店頭のみならず通販やオークションサイトなどで売買されており、珍しい色柄や突然変異種は人気が出やすい。 だが流行りの服やスイーツなどと同じように、ペット業界にも流行の仕掛け人がいることを、どれ程の人が知っているだろうか。

    • ケモノの医者の体験談 vol.15 いよいよ正社員!

      A動物病院を卒業し、T動物病院で働かせてもらえるようになって初めて正社員としての獣医師になりました。 基本給は17万円、獣医師手当が1万円、皆勤手当が1万円、賞与は年1回で1ヶ月分、病院定休日が平日に2日間、有休は7日でした。 個人経営ということもあり当時は社会保険加入はなかったので国民健康保険でしたが、雇用保険というものに初めて入りました。 ますます分刻みのお迎え攻防 次女が通っていた保育園は自宅のすぐ近くでしたが、敷地の下に遺跡があるとかで高い建物が建てられず平屋

      • ケモノの医者の体験談 Vol.14 就活秘話 子供を預ける【ファミサポ編】

        Y病院をやめたあと、隣駅の女性獣医師が院長であるA動物病院の募集を見つけて面接に行きました。 A動物病院には代診のM先生とH先生、看護師兼トリマーさんが4~5名くらいいて、すべて女性の職場でした。 A院長は50代でご主人はお亡くなりになっていて、20代の娘さん1人と息子さん2人がいました。娘さんはアメリカでお仕事をしていて、長男さんはアメリカの高校・大学を出て日本の獣医大に編入、次男さんは日本の文系の私立大を卒業してから獣医大を目指して受験しているところで、なんとも優秀な

        • ケモノの医者の体験談 Vol.13 就活秘話 子持ちで働く難しさ

          獣医師は現在では女性に人気の職業で、20年ほど前から獣医大の男子学生と女子学生の数の逆転現象が起きはじめていました。 ただ、開業となると女性にはさまざまな理由やハードルがあるからか、まだまだ男性院長のほうが多いです。 実はY動物病院で働いていて感じたことの1つに、休診日や診療時間、あるいは手術時間について女性は独身でないと時間のやりくりが厳しいなあということがありました。 日曜日は休めない動物病院は当時、木曜休診のところが圧倒的に多く、サービス業ということもあって日曜日

          ケモノの医者の体験談 Vol.12 就活秘話 子供を預ける【保育園編】

          長女を家庭福祉員さんに預けながらY動物病院で働いていましたが、勤務していた2年の間も保育園への転園は諦めていませんでした。 つまりずっと待機中。 ですがやはり未認可でもどこかで預かってもらっている人と、全く預け先がなく待機している人では後者が優先になるので、当然ながら転園のお知らせはありませんでしたし、私も役所へはほとんど足を運びませんでした。 保育園チャレンジ2人目(次女)出産となり、さすがに子供2人を家庭福祉員さんに看てもらうことは経済的に難しいので、また色々動くの

          ケモノの医者の体験談 Vol.12 就活秘話 子供を預ける【保育園編】

          ケモノの医者の体験談 vol.11 Y動物病院の話 その②

          私は就職したばかりの頃は考え方も甘くて、子供を理由に早退や急なお休みが必要になっても「子供がいるから仕方ない」と許容してもらえると思っていました。 子育中あるいは子育てをしたことのある人の多くは経験済みと思いますが、勤務中でも子供が熱を出したと保育園とかから呼び出しがかかれば帰らなくてはならないし、昨日まで元気だったのに当日の朝、急に発熱したら欠勤させてもらわなければならずどうしようもありません。 私はそれを「帰るのは仕方ない」「休むのは仕方ない」と思っていましたし、認め

          ケモノの医者の体験談 vol.11 Y動物病院の話 その②

          ケモノの医者の体験談 vol.10 Y動物病院の話 その①

          Y動物病院はご夫婦で診療している病院でした。従業員は動物看護師1名、トリマー1名で、トリマーさんは私と同い年でトリミング歴が長くベテラン、動物看護師さんは勤続2年で前の看護師さんから業務を引き継ぎ病院のことのほとんどを任されていました。 B動物病院での看護師さんのことがあったのでやや不安がありましたが、Y動物病院のトリマーさんと看護師さんはそれぞれの仕事に誇りを持ち、常に向上心があって仕事人でした。 特に動物看護師さんは本当にエキスパートな人で、たぶん出逢った中で一番素晴

          ケモノの医者の体験談 vol.10 Y動物病院の話 その①

          ケモノの医者の体験談 vol.9 就活秘話 面接その④

          夫を理由にしてB動物病院を辞め、M院長が新たに紹介してくれたY動物病院へ面接に行きました。 正確にはM院長は別の動物病院を紹介してくれようとしたのですが、そこは今は募集をしておらず、代わりに院長ご自身の同級生がやっているY動物病院を紹介してくれたのです。 Y院長は男性で前に代診を3人ほど雇った経験があり1人目は男性。Y院長自身が初めて雇う代診だったので少々一所懸命になりすぎてしまったようで、それが負担になって辞めてしまったとのことでした。 2人目はもともと体調に少し不安

          ケモノの医者の体験談 vol.9 就活秘話 面接その④

          ケモノの医者の体験談 vol.8 B動物病院の話 その③

          B動物病院で働いていて少し不思議なことがありました。 B院長が代診時代に勤務していたM動物病院(vol.4)は、動物に漢方治療を取り入れていて地域では人気の動物病院だったので、当然そこで修行したB院長も漢方を扱っていました。 就職してしばらくは既に決まった漢方薬が処方されていた患者さんばかりで、指示されたお薬を分包する作業はあったものの、新たに処方するところは見たことがありませんでした。 処方のノウハウについてはきちんと東洋医学を学ぶべきだとは思いつつ、必ずしも教科書通

          ケモノの医者の体験談 vol.8 B動物病院の話 その③

          ケモノの医者の体験談 vol.7 B動物病院の話 その②

          さて、なんとか病院にも慣れ、看護師さんの扱いも勝手がわかってきて、来院する飼い主さんの診察現場を少しずつ見られるようになってきました。 ワクチン接種や皮下点滴、モグサを使ったお灸や鍼灸、手術も時々ありました。 ある日、ペットホテルの猫がお泊りしていました。私は常勤ではなかったこともあり、入院やペットホテルなど院内で動物を預かる状況を経験したのは初めてでした。 私がその猫に朝ごはんをあげることになり指定の缶詰を渡されました。 与える量は半分という指示を受けたので、スプー

          ケモノの医者の体験談 vol.7 B動物病院の話 その②

          ケモノの医者の体験談 vol.6 B動物病院の話 その①

          パート的な勤務形態でしたがやっと就職が決まったB動物病院。女性院長で勤続2ヶ月の動物看護師と週1回トリミングだけ担当している5年選手のトリマーさんのいる病院でした。 獣医学部の研究室ところで獣医学部では3年生になると各研究室に所属します。研究室には臨床系と基礎系があり、臨床系は病院、外科、内科、臨床病理、臨床繁殖、放射線など、基礎系には生理、薬理、病理、生化学、公衆衛生、微生物、寄生虫、衛生動物、大学によっては魚病などの研究室があります。 臨床系と基礎系では卒業時に身につ

          ケモノの医者の体験談 vol.6 B動物病院の話 その①

          ケモノの医者の体験談 vol.5 就活秘話 面接その③

          B動物病院とても親身になってくれたM動物病院の先生(vol.4)のおかげでなんとなく働けそうな気分。紹介してもらった女性院長のB動物病院へ面接へ行ってみました。 今度こそ(というほど苦労していないが)働けますように…。 地元の主要な街道に沿って1階を店舗にした2階建ての家が並び、B動物病院はその並びにある小さな病院でした。正面には院内が見える小窓があり、その横に開き戸の入り口がありました。 入り口を入ってすぐの8畳ほどの空間は、オフィス用のカウンター机を受付にして、棚で

          ケモノの医者の体験談 vol.5 就活秘話 面接その③

          ケモノの医者の体験談 vol.4 就活秘話 面接その②

          M動物病院上機嫌で就職が決まったと思っていたらあっという間に地獄へ突き落されたので、なんとかめげずに自分を奮い立たせるも、2つ目の面接先を探すのはだいぶ躊躇していました。 まぁそんな口実で就活をサボろうとしていた節もあり…。 大手獣医学専門書の出版会社のホームページに、獣医師や動物看護士、トリマーなどの求人情報を掲載してくれていて、私のような怠惰な人間にはとてもありがたいサイトでした。 今でこそネット上で求人情報を見るのは当たり前になっていますが、今ほどネット環境も整え

          ケモノの医者の体験談 vol.4 就活秘話 面接その②

          ケモノの医者の体験談 vol.3 就活秘話 面接その①

          K動物病院就活でリサーチして見つけたK動物病院は自宅から自転車で10分ほどのところにあり、募集要項には新卒・未経験問わず、月給20万、週休2日(曜日の希望は応じる)とあり夢のような環境でした。これはもう第1希望にして間違いなし。 やや離れた地域(電車で30分くらい)に分院があり、レントゲンや内視鏡は分院にしかないため、必要に応じて分院へ行くこともあるようだというのが少し気になったくらいです。 病院の入り口は外階段を上って2階にあり、半地下のような感じで1階があります。建物

          ケモノの医者の体験談 vol.3 就活秘話 面接その①

          ケモノの医者の体験談 vol.2 就活秘話 動物病院探し

          就活のはじまり家庭福祉員さんに子供を預けることになったので、ダラダラしていた私がやっと重い腰を上げて就活をしなくてはならなくなりました。最低でも保育料を稼がないと。 大学時代の就活でも面接に行ったのはたったの2病院。1つは助教(当時でおいう助手)の先生に紹介してもらったところで、もう1つは当時お付き合いしていた1学年上の先輩から、勤務先の近くに面白い病院があるという話を聞いてとても興味をもった病院でした。 結局その2つの病院の見学&体験実習に行き、うち1つ(当然ながら先輩

          ケモノの医者の体験談 vol.2 就活秘話 動物病院探し

          ケモノの医者の体験談 vol.1 就活秘話 子供を預ける【家庭福祉員編】

          はじめましての自己紹介私は獣医師で今は小さなクリニックをやってます。 たまに獣医だからと人の病気について聞かれることもありますが、動物と人間は違うところも多いので、そういう時には「いえいえ所詮、医者という字の頭にケモノがつきますからわからないんですよ~」と言っています。 ケモノの医者の私は、獣医師国家資格を取得して大学を卒業した年に結婚と出産をしたので、卒業してから1年半くらいは育児に専念していました。 実は内定していた動物病院もあり、卒業した春からバリバリ勤務する予定

          ケモノの医者の体験談 vol.1 就活秘話 子供を預ける【家庭福祉員編】