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「ARUNŌ」に地名を付けた意味

お気づきの方もいるかと思いますが、「ARUNŌ」には後ろに「-Yokohama Shinohara-」という地名が付いています。
これは旧・横浜篠原郵便局だったことを表しています。
ここでは、なぜそのような施設名にしているのかを紹介していきます。

郵便局の建物ができるまで

旧・横浜篠原郵便局の建物は1975年に建てられました。当時は郵政省が郵便局を日本中に増やしている時期で、配達しやすくするためには地域の中で要になる立地を見つける必要がありました。そこで注目されたのが地主です。
地主にかけあって良い土地がないか相談するケースが相当数あったようです。そして地主の土地に建物を建ててもらい、そこを郵政省が賃貸することで事業を成り立たせていました。また、その郵便局長に地主を据えることもありました。この建物もそのような経緯の中で生まれています。

郵便局建物の課題

そして、それからかれこれ45年以上が経ちました。これだけ時間が経つと、いくつも問題点が浮上してきます。

まずは構造的な問題です。1975年はまだ旧耐震基準のため、公益施設としては耐久性に問題があります。そのため、オーナーさんは日本郵政から耐震改修してほしいと言われていたようです。しかしながら、耐震改修にはかなりの費用がかかってしまいます。結果的に、横浜篠原郵便局は新しく新横浜駅前のビルに移転することで落ち着きました。

次に収益性の問題です。このような郵便局の建物は規模として小ぶりなものも多く、旧・横浜篠原郵便局も平屋で100㎡ほどです。また、当時から用途地域の変更があるケースもみられます。
そうなると、築年数も経っていることから、より大きな規模のアパートに建て替えたり、ひとまず駐車場にしたりしようという話が出てきます。

さらには、相続の問題もあります。現在、この時期に建てられた郵便局を所有されているオーナーさんは60-70代が多いことが予想されます。となると、この土地・建物を相続すべきか売却すべきか、その時にはどうするべきか、という話が出てきます。

新たな価値を注ぎ込む

しかしながら、当時の郵便局建物のデザインは日本逓信建築事務所(現・ニッテイ建築設計)の凝ったものや特徴的なものも多く、私たちはここに産業としての価値という側面があるのではないかと考えています。

旧・横浜篠原郵便局_既存外観
旧・横浜篠原郵便局の外観


またその経緯から、建物に対してオーナーさんの思い入れが強いケースも大いにあります。その時、とりあえずそのままにしておくのはもったいないけど、壊して新しいものをつくるのも…と考えて、結果的に足踏みしてしまいがちです。

この時、建物の特徴を活かしながら、新しく地域の中心となる拠点へと改修することが、一つの選択肢として有効だと考えています。
そうすることで、オーナーさんや地域の人びとが、日常的に利用していた頃の思い出を、別の形で紡いでいけるのではないでしょうか?

全国にある地域の要となる拠点へ拡大したい

旧・横浜篠原郵便局のような建物は日本中にあるはずです。私たちはそのような郵便局を改修し、どんどん点を増やしていきたいと考えています。また、似たように地域の中で要となる場所に立地している建物でも同じような役割を果たせるはずです。そうすることで、横の繫がりが生まれ、ネットワークを形成し、“未知への窓口”を紡いでいければと思っています。
とはいえ、なかなか自分たちだけでは取り組むのが難しいのも事実です。何より、地域の要の拠点に、地域をよく知らない人が入ってきて運営するのは得策だとは言えません。そこで、私たちは「ARUNŌ」をパッケージ化したいと考えています。

コンテンツも含めてパッケージ化する

全国にネットワーク化する「ARUNŌ」


「ARUNŌ」には地域の人びとが気軽に訪れ、挑戦し、参加できる様々なコンテンツが詰め込まれています。そしてこれは、第一種低層住居専用地域という、用途地域の中で最も制限が大きい立地でも成立するものです。シェアキッチン・マドグチ・シェアラウンジ・フローズンカフェバー・屋外出店スペース・シェアハウス…これらのコンテンツを一つのパッケージとして位置づけています。
また、その改修費用の捻出の仕方、事業計画の作り方、テナントの募集の仕方なども、私たちが身をもって取り組んできたからこそ提供できる価値の一つです。


私たちはそのノウハウを共有したいと考えています。

実際に「ARUNŌ」を設計するのはローカルな建築家と協働することを前提にしています(もちろん、移動可能な範囲であれば私たちが手掛けてもOKです)。
私たちがソフトを企画し、ハードをローカルの建築家が設計することで、私たちはネットワークを拡大でき、またローカルな建築家にとっては地域の足がかりとなる場が生まれるため、双方にとって良好な関係性が築けるはずです。

このように私たちがプロデュースさせていただいた施設は「ARUNŌ」に加えてその後ろに地名を付けることで、姉妹施設として連携していきたいと考えています。

このような物件をお持ちでご興味のある方、実際にやってみたい等の方がいらっしゃいましたら、ぜひお気軽にウェブサイトのお問い合せフォームよりご連絡ください。