情報爆発の時代にどう生き残るか?(日経新聞スクラム読み)
情報やサービスが増え、世の中は便利になってきているはずだけど、私たちは本当に幸せになっているのか?
日経新聞をみんなで集まって読む「日経新聞スクラム読み」
2019年9月7日(土)の日経朝刊から読み取ったのは、
「情報やサービスが増えたことで世の中の複雑さが増し、逆に生きづらくなっているのではないか?」
という、現代社会の問題点でした。
【日経新聞スクラム読みとは?】
日経新聞スクラム読みは、ひとりで読むのが当たり前の新聞を、複数メンバーで読み合うことでより深く学ぼうという活動です。
日経新聞×noteが運営するコミュニティ、Nサロンのメンバー同士の自主活動(部活)の1つとして誕生しました。
記事で書かれた内容に、参加者の知識や経験、意見を加えていくことで、ひとりで新聞を読むよりも、より深く、多くのことを学ぶことができます。
(日経新聞スクラム読みについての詳細はコチラ)
参加メンバー
今回の参加メンバーは5名。
前回同様、今回も3つのコミュニティ横断で行いました。
【参加メンバーのコミュニティ】
・Nサロン
・朝渋
・ペア読書
①いごはち(Nサロン)
元金融SE。今はデータアナリスト
②いわあゆさん(Nサロン、朝渋、ペア読書)
マーケター。Nサロン発の複業起業家として「TONJIRU STAND」を立ち上げ中(私も桃レンジャーとして参加中)
③マツバラさん(朝渋、ペア読書)
本屋のサービスプロデューサー
④カワニシさん(ペア読書)
コミュニティマネージャー
⑤クボタさん(朝渋)
マーケティングリサーチャー
スクラム読みの手順
日経新聞スクラム読みは、以下の手順で行います。
【手順】
①選ぶ
各自が新聞を読み、最も気になった記事を1つ選ぶ
②話す
「記事の内容」、「その記事を選んだ理由」を1人ずつ、みんなに発表
③広げる
ピックアップされた記事について、自分の意見や知識・経験をシェアする
④つなげる
記事の内容やシェアされた意見を抽象化してつなげる
(記事を)選ぶ、話す、広げる
①クボタさん
「厚労省、個人情報活用に厳格判断 リクナビに行政指導」
就活生の個人情報をもとに内定辞退率を予測し、販売していたリクナビに対し、厚生労働省が職業安定法違反に当たるとして行政指導を行った
【ピックアップ理由】
以前、慶應義塾大学の教授とヤフーのデータ活用のトップの人の対談を聞きに行ったことがある。そこで慶応の教授が、「データは誰のものか?」と問うたところ、ヤフーの人が「(個人から)許可を取っており、企業のもの」と回答しているのを聞き、「日本のトップレベルの企業でも、倫理的なこととかあまり考えていないのかな」と思った。
【広げる】
-情報を提供することと、それが利用されることは全く別のことだと思う。企業側にどこまで利用を許可するのか、線引きが難しい・・・
-自分はデータ活用に関わっているけど、「守る」と「活用」をバランスさせるのは非常に難しい。
-実は今、会社でプライバシーポリシーを見直してる・・・
-でも、サービスを利用するときにプライバシーポリシーとかを読んでる人ってほとんどいないよね・・・
-規制って悪いイメージがあるけど、この記事を読んで、ちゃんと行政機関がストップをかけて、機能しているなと思った。
②カワニシさん
吉野家、ポイント還元見送り
吉野家が、10月の消費増税に合わせて始まるキャッシュレス決済でのポイント還元制度に参加しない方針を決めた
【ピックアップ理由】
消費増税でどうなるのか正直よくわからない。ポイント還元をやらない事業者がいるのも始めて知った。
あと1ヶ月切っているのに、こんなにバタバタしていて大丈夫なのか。
政府が「登録決済事業者リスト」を出しているが、わかりにくい・・・。
【広げる】
-これ軽減税率とは違う話?よくわからない。
-これでキャッシュレスが本当に推進されるのか?QRコード決済だけが対象なのかね?
-クレジットカードも対象のはず。ただ、政府がカード事業者を対象に含める代わり、カード決済手数料の引き下げを求めている。ポイント還元は期限付きの施策なので、期間が終わるとカード事業者は手数料を元に戻すのでは?と言われてる。
マイナス金利がさらに進むと、銀行の収益力が低下し、利用者から預金手数料の徴収に動く現実味が増す
【ピックアップ理由】
預金手数料の可能性は結構高いと思っている。日本人の現金・預金割合は5割強であり、これをなんとかしたいのが政府の考え。
預金手数料が現実になると、銀行口座から証券口座にお金を移す人が増えそう。投資の促進につなげやすくなり、資産運用をする人を増やすことができる。そうすることで、経済活性化につなげていく狙いがありそう。
また、「お金を預けているとお金が減る」状態になれば、LINEやSuicaなどの電子マネーに変える人も増え、キャッシュレス推進につなげていける。
【広げる】
-1,000円くらいから始められるマイクロ投資が増えてきている。事業者がお金を集めて購入するため、少額で買うことができる。
-決済手数料や口座維持費も確認した方がいい。お釣り投資のを見てみたけど高い。利回り2%でも、手数料で目減りして実際は1%切ったりする。
-個人情報の話もそうだけど、情報持っている人と持っていない人の差が広がってきてるよね。情報が入手しやすくなったことで、逆に難しくなっている。
-「ググり学」という授業があるらしいよ。
-情報を表面的にしか読めない人と、裏まで読みとける人の格差が大きくなってる。
④いわあゆさん
老いるドライバー(4) 「卒車」後の暮らしは
免許を自主返納することで受けられる特典が増えてきている。一方、免許を返納することで生活が大きく変わってしまう恐れもある。「卒車」後の生活が見通せないと、老いたドライバーは動けない。
【ピックアップ理由】
この間、免許更新に行ったときに高齢者の事故率が急上昇しているという話だった。つい最近も、アクセルとドライバーを踏み間違えて、地下鉄の入り口に車が突っ込むという事故があった。
ただ、免許の返納を自分で決める人はほとんどいないのでは。まだまだ自分は現役だと思いたい。返すことは自分の老いを認めることになってしまう。返すことをよいことにしないと変わらないのではないか。
【広げる】
-都内は車がなくても生活できるが、地方だと生活が成り立たないよね。
-地方だと、車に乗れることがステータスで、乗れない男はダサいという意識がある。
-Uberが地方で高齢者向けにサービス提供を始めたが、高齢者はUberを使いたいときは電話で仲介役の人に連絡し、仲介役の人がアプリでUberを予約するということをやっているらしい。
-これもITリテラシーによる格差だよね。知識があって自分でできる人は安くUberを使えるけど、そうでない人は余計なお金がかかるという。
⑤マツバラさん
米「植物肉」市場 成長際立つ
植物由来の材料でつくる「植物肉」の市場がアメリカで急速に広がっている。ケンタッキーフライドチキンなどの外食大手も植物肉メニューの試験販売を始めている。
【ピックアップ理由】
日本は大豆ハンバーグとか普通にあったから、植物肉と言われてもピンとこないところがあるが、ジャンクなところにヘルシーが入ってくるのはいいこと。健康的なものをわざわざ調べなくてよく、情報格差がなくなる。
もうちょっと肉の味の水準が高まるといいな。
【広げる】
-肉から得られるエネルギー量よりも、つくるエネルギー量の方が多い。この動きは環境保護の動きが広まっているとみればいいのかな?
-ESGとかに意味を見出す人が増えているのでかっこよく見えている。ストーリーづくりがうまいからささっているように思う。単なる「植物肉です」といって出すのではなく、ESGと関連づけるところとか。
-ビーガンとベジタリアンってなにが違うんだっけ?
-ビーガンは完全菜食主義者。身の回りのものから動物性のものを避ける徹底的な人もいるらしい。
-そうした人にとって、昆虫食ってどうなの?虫も生き物だし、広い意味では植物も生き物だよね?
-あるビーガンの人によると、「昆虫食は食べられるものが選べない時がきたら食べる」らしい。
(記事を)つなげる
ファシリテーターを中心に、ここまでの話を抽象化し、記事の内容をつなげていきます。
今回は、「情報を操れる人と、操れない人の格差」という点が特徴的な意見として出ました。
そこからさらに意見交換を重ねていき、導き出した現代社会の課題が、
・情報をどうやって選び取るか?
・選んだ情報をもとに、どうやって自分で判断するか?
・他人やAIの意見をどう活用するか?
です。
このような意見交換が行われました。
-「自分のことは自分で決める」と言われても、決められない人が多い。免許も、銀行預金も、ポイントも、個人情報もそう。」(マツバラさん、以下マ)
-情報や手段がたくさんありすぎて、自分の判断軸がないと決められない。(クボタさん、以下ク)
-情報疲れ、選択疲れになってきている。決断するときのストレスが高い。(いごはち、以下いご)
-ペア読書でも「自分で本を選べない」人が増えている。「この中で選んでください」としないと、選べない。(マ)
-新聞もある意味そうだよね。世の中に起きていることを知るのに自分だと選べないから新聞社が選んでいる。グノシーみたいなキュレーションサービスもそう。
「フィルターバブル」になってきているよね。情報全部にアクセスできないから、パーソナライズされて自分のバブルの先が見えない。Facebookとかに支配されている。(カワニシさん、以下カ)
フィルターバブル (filter bubble) とは、「インターネットの検索サイトが提供するアルゴリズムが、各ユーザーが見たくないような情報を遮断する機能」(フィルター)のせいで、まるで「泡」(バブル)の中に包まれたように、自分が見たい情報しか見えなくなること。
(Wikipediaから引用)
-私もTwitterを使っているときに感じる。Twitterの中の世界だけで、世の中を知った気になりがち。(い)
-世の中便利になっているけど、ある意味不便になってる。(いご)
-便利にはなっているけど、幸福度があがっているかはわからない。(カ)
-幸福度をあげるには、自分で選び取れているかが大事。ただ、自分で選ぶことに価値を感じる人と、選ぶのがしんどい人がいるよね。「あすけん」っていうサービスがあるんだけど、食事の写真を撮るとカロリーを出してくれて、食べるものにアドバイスをくれる。自分で決めるのが面倒で、つい頼っちゃう。(マ)
-クックパッドが流行った理由が正にそれ。主婦にとって、献立を決めるのってめちゃくちゃめんどくさいんだけど、レシピがランキングで並んでいて、自分で決めなくていいところがうけた。「ランキング上位のメニューだよー」って出せば、文句を言われないところも。(い)
-この前ピースオブケイクのCXOの深津さんがセミナーで言っていたことだけど、「怠惰の法則」というのがあるらしい。世の中のプロダクトやサービスは、人間を怠惰にさせる方向に進化しているという法則。(いご)
-ココナラ(スキルのフリーマーケット)で一番収益を上げているのってなんだと思う?一番収益を上げているのは「占い」。今日、右足から出したらいいかどうかも決められない人がいるという。(い)
-占いいサイトのタブが面白い。「不倫、婚期、就職転職、彼の気持ち、片思い」って。ここに一番パーソナルな悩みがデータベース化されている。基本は「自分で決める」だけど、誰かに決めてほしい欲求も強くなっている。オンラインサロンが流行っている理由もそれだよね。(マ)
-「誰かに決めてほしい」というのを発展させるとAIになるのか。自分が自信のない領域はAIに決めてもらう。(カ)
-先週のプリキュアがそういう感じだった。AIが全部決めている世界。(マ)
-日本人の自己肯定感下がっているのかもしれない。(いご)
まとめ
現代人が1日に得る情報量は、平安時代の一生分とか、江戸時代の1年分と言われています。
人の手によって生み出される情報量は、2025年にはさらに今の2~2.5倍になると予想されています。
今後さらに情報量が増える中で、どう情報を操り、自分や大切な人の幸せにつなげていくか。
その一つの解決方法が
「コミュニティを超えた、ゆるやかな繋がりの拡張」
だと考えています。
この日経新聞スクラム読みも、ほとんどの人が会って2回目の人です。
でもそんな人とも、ゆるく繋がれば、必要な時にこうして会って、情報や気づきを得ることができます。
そうした「ゆるい繋がり」を複数持っておけば、フィルターバブルを超え、気づかないことを知ることができます。
また、得られた情報を他で得られた情報と比較することもできる。
異なるコミュニティに属する人が同じことを言っていれば、その情報の信用度は上がると思います。
このような方法で情報リテラシーを高めることが、情報爆発していく世界で生き残る一つの方法だと思います。
日経新聞スクラム読み、これからも広めていきたいと思います。
もし「やってみたい!」と思われた方は、お気軽にTwitterのDMでご連絡いただくか、Nサロンの新聞部に入部してみてください(^^)
いつも支えてくれている嫁と息子に、感謝の気持ちとして美味しいお菓子を買ってあげたいと思います^^