ライバルに差をつける会社情報の読み方とは?
同じ情報でも、人によって得られる情報量って違いますよね?
例えば上場企業が投資家向けに公開しているIR情報。これを活用できるようになれば、
・ビジネスに対する解像度を高める
・会社情報を営業や就職・転職活動に活かす
・企業分析の精度を上げて投資に活かす
といったメリットを手に入れることができます。
IR情報を最大限に活用しているスゴイ人は、いったい、どのようにIR情報を読んでいるのか?
その秘密を知るべく、企業分析の鬼、会計クイズで有名な「大手町のランダムウォーカーさん(以下、大手町さん)」の会社情報(IR情報)を学ぶ勉強会に参加しました。
もし、大手町さんを知らないのであれば、すぐに以下のリンク先に飛んでください。
大手町さんは、企業分析の際は有価証券報告書を真っ先に読むそうで、1章~4章まで読んで財務諸表をイメージし、5章の財務諸表で答え合わせをするそうです。
その際、自分のイメージと実際の財務諸表にズレがあった場合、そのズレの理由を調べていくことでその会社のビジネスに対する解像度を上げていくそうです。
昨年8月の企業分析の鬼対談では、
「アウトプットベースでそこから逆算してインプットする。ストックが全然ないときは週50~100社読みにいく。ストックがあったら1社をがっつり見る」
とお話されていました。さすが企業分析の鬼ですね・・・
(この対談の内容が知りたい方はコチラ↓)
要点サマリ
勉強会は以下の3部構成でした。以下、主なポイントです。
1.分析の基礎を学ぶ(ビジネスワーク)
・その企業の「差別化ポイント」の見つけ方
2.有価証券報告書の読み方
・その企業のビジネスモデルや経営状況を把握できる
・設備投資の情報は、セールスに活用できる
・従業員情報や役員情報は、就職、転職に活用できる
3.オススメ勉強法
・IR資料を読み、アウトプットすること(分析記事や会計クイズの作成など)
「差別化ポイント」の見つけ方
各企業は様々な差別化ポイント(違い)を持っており、それが財務諸表にも表れてくる
というお話でした。
例えば、同じ「飲食業」の会社でも商品の仕入方法に違いがあり、それがバランスシートに表れてくるとのことです。
自分たちでも、「違い」を見つけるワークをやりました。
・サイゼリヤ
・鳥貴族
・マクドナルド
・日高屋
・ロイヤルホスト
の中で、その企業だけが他社と違うポイントを見つけるというワークです。
「マクドナルドだけお酒を売っていない!」
という感じで、どんどん違いを見つけていきます。
ここでのポイントは、
事実であること
という点です。
客観的根拠をベースにする、裏を取る、というのはビジネスの基本動作ですが、企業分析においても同じですね。
大手町さんは情報に誤りがないか、必ず一次情報を確認されるそうです。
個人ワークの後、グループの中で発表をしました。
自分が見つけた違いは以下のツイートにある5つでしたが、他の方は見ているポイントが違い、他の方の意見を聞くのがとても参考になりました。
「ロイヤルホストだけホテル事業など多角化経営している」
という、なるほどの意見や、
「鳥貴族だけ、有価証券報告書の提出先が近畿財務局」
という、そんなところまで見てるなんて!というマニアックな意見もありました。
個人的には、
「日高屋だけ略称がない(他はサイゼ、トリキなど略称がある)」
というのが一番おもしろかったです。
2.有価証券報告書の読み方
このスライド、すごくわかりやすくて好きです。
いわゆる教科書的な解説に加え、具体的な使い方まで学べるのがこの勉強会のスゴイところです。
例えば、「経営上の重要な契約等」で企業間の力関係が読み取れたり。
設備の状況から、オフィスや工場の新設・移転情報を察知して営業に活用したり。
役員の状況から、派閥の有無や配属先の会社でのポジションを推測したり。
有価証券報告書は投資家が読むものと思われがちですが、読み方・使い方次第でめちゃくちゃポテンシャルがありますね。
有価証券報告書の読み方については、ファイナンスラボの方であれば、初心者チャンネルの”会計の基礎を学ぼう”チャンネルにも「有価証券報告書の読み方」がありますので、ぜひそちらも見てみてください。
3.オススメ勉強法
では、どうすれば有価証券報告書が読めるようになるのか?
大事なのは、
「実際に読んでみること」
「アウトプットすること」
です。
今も有価証券報告書を完全に理解して読めているわけではないですが、知りたいことを求め、何度も読んでいるうちにわかる所が少しずつ増えてきました。
学習効果を高めるためにオススメなのが次の2点です。
①なんとなく読むのではなく、自分の中でイメージを持って読む
②学んだことはアウトプットしてみる
例えば①について、私は毎回の会計クイズで単なる○×ではなく、必ず根拠も含めて答え合わせをしており、自分のイメージと違った場合は有価証券報告書を確認するようにしています。
例えば、この問題では「不動産事業の利益率が高い」という点が自分のイメージと違っていたため、有価証券報告書を実際に確認しにいき、イメージと事実をすり合わせています。
(三菱地所の売上・利益構成とEBITDA)
稼ぎ頭はビル事業だが、EBITDAが一番高いのは生活産業・不動産事業
(三井不動産の売上・利益構成とEBITDA)
稼ぎ頭の賃貸事業が、営業利益率、EBITDAも一番高い
これを1年間継続した結果、昨年末の会計クイズ期末テストは満点でした。
②の「学んだことはアウトプットしてみる」については、学習効果について、アメリカ国立訓練研究所の研究によると、人に話たり、教えたりすることで、学んだことが定着しやすくなるといいます。(アクティブ・ラーニング)
昨年は数回、会計クイズの作問に挑戦しましたが、問題や解説を考えるのがとても勉強になりました。
会計クイズの作問に限らずですが、アウトプットすると人からフィードバックがもらえます。思いもよらない反応があったりして、人からフィードバックを得るのはとても勉強になります。
ぜひ、アウトプットに挑戦してみてください。
(ちなみに作問した会計クイズはこちら)
他の方のレポート
会計クイズのイベントレポートでおなじみのしょーごさんもレポートを書かれています!!!
こちらもぜひご覧ください^^
会計クイズ勉強会
会計クイズを楽しむ人をもっと増やしたいと思っており、昨年末に勉強会を開催してみました。
昨年末は「過去問の復習&解説」をやりましたが、「会計クイズ作問」する人を増やしたいと思っており、そのための勉強会もしたいなと思っています。
もしご興味がある方がいれば、ご連絡ください^^
いつも支えてくれている嫁と息子に、感謝の気持ちとして美味しいお菓子を買ってあげたいと思います^^