見出し画像

忍殺TRPG小説風リプレイ【カーム・ベースメント(その4)】


◆アイサツ

 ドーモ、海中劣と申します。こちらの記事はニンジャスレイヤーTRPGの小説風リプレイとなっております。ニンジャスレイヤーTRPGについては下記の記事をご覧ください。

 本記事はニンジャスレイヤーの二次創作小説でありニンジャスレイヤー本編及び実在の人物・団体とは関係ございません。

 こちらの記事は前回の続きとなっております。よろしければそちらから見てやってください。

 それではやっていきたいと思います!

◆本編

◇◇◇

「どういうことだ!?増援が遅れないだと!?」オペレーター室にウインドハンドの焦燥が混じった怒声が響き渡った。その手に持つIRC通信装置の受話器にヒビが入り、ウインドハンドは慌てて受話器をデスクに置いた。

「この豪雨で川が氾濫して車もツェッペリンも出せない?バカ!そんな悠長なことを言っている場合か!敵の雇った傭兵ニンジャどもがすでに施設内に侵入してきているのだぞ!こっちにもニンジャ戦力を寄こさぬか!……なに?約束していたデータの送信はまだか、だと?」

 ウインドハンドは両手をデスクに叩き付け、一層声を荒げた。「盗んできたデータは既に送信してる!ただ容量の問題で進捗が……」ブツン。ツー、ツー、ツー。突如、通信が切断される。「今度はなんだ!」ウインドハンドは狼狽し、先程自分がデスクから落としたUNIXを慌てて拾い上げる。

 起動したモニタにはデータ送信が97%の時点で停止した進捗バーが映し出されていた。その下ではウサギとカエルが懸命に荷物を右から左へ運んでいるが、進捗バーの数字が増える様子は無い。ウインドハンドは慣れぬ手付きでタイプを行い、追加命令を出す。

 ピボッ。画面に表示される『送信できませんでした』のエラーメッセージ。その下ではカエルとウサギが無表情で頭を下げている。ピボッ。表示される新たなメッセージ。『原因を調査しますか?』『ヨシ』『マテ』『タスケテ』『キエロ』「イヤーッ!」ウインドハンドはモニタを叩き壊した。

「クソーッ!どいつもこいつも役に立たん!あの下賤なサイバネ野郎もそうだ!大口叩いておいて全然使えない!どいつも!こいつも!」ウインドハンドは激昂し、何度も何度も拳をデスクに叩きつける。「俺は……俺は誇り高き……罪罰イバツ罪罰ンジャ罪罰なん罪罰だ罪罰!罪罰罪罰罪罰罪罰罪罰罪罰…………俺は……俺は誇り高き……………ウインドハンドなんだぞ!」

 ウインドハンドは自分の発言に釈然としないものを感じながらも、やがて意を決したように立ち上がり、部屋の奥にある檻に向き直る。「こうなったら貴様の出番だ!奴らを食い殺せ!」「GROWLLLLLL……GAAARGH!」猛獣の咆哮を至近距離で受け、ウインドハンドは僅かに後ずさった。その次の瞬間!

「カチコミダッコラー!」BLAMBLAM!「イ、イヤーッ!」「なんだと!?」部屋の扉が蹴り破られ、ヤクザスーツを着た女とオイランドレス風ニンジャ装束を着た女ニンジャがエントリーしてきた!

◇◇◇

天候変更ダイス: 1D6 = (6)
偶数により良天候寄りに。 
6:激しい土砂降り。交通事故処理のサイレン音がどこからか聞こえ、パトランプが瞬く。


◇ボス部屋

 …………時間は数分遡る!

 門番代わりのモーターヤブ、重サイバネ傭兵の妨害、そして各種オフィストラップ群といった障害を次々と乗り越え、セカンドチャンスたちはついにウインドハンドのいるオペレーター室前へと辿り着いた。

 オペレーター室の廊下に面する壁は上半分がガラス張りの窓となっており、外から中の様子が窺える構造になっている。先行したセカンドチャンスは屈んだ状態から目から上だけを窓に出し、室内を偵察する。

(あのオカルト被れみたいな格好した奴がウインドハンド=サンね。……なんかスゲー怒鳴ってるけど、なにしてんだろ)セカンドチャンスは後方で待機していたメイビーたちにハンドサインを送り、突入するタイミングを計る。(……今!)そしてウインドハンドが立ち上がり、後ろを向いた瞬間ゴーサインを出した!

「カチコミダッコラー!」BLAMBLAM!「イ、イヤーッ!」アーコが部屋の扉を蹴り破り、その後ろにメイビーが続く!「なんだと!?ド、ドーモ!ウインドハンドです!」中にいたニンジャ、ウインドハンドは激しく狼狽し、アンブッシュ防止の先制アイサツを繰り出す!

「セカンドチャンスです!」「メイビーです!」「知るかッコラー!」BLAMBLAM!だがアーコはアイサツせず!非ニンジャだからだ!ウインドハンドは慌てて部屋の奥にある檻の鍵を開けた!「で、出てこい!餌の時間だ!あいつらを喰ってしまえ!」

「GROWLLLLLL……!」「あ、アイエエエ!?ライオン!?ライオンナンデ!?」今度はメイビーたちが激しく狼狽える番であった!檻の中から歩み出てきたのは王者の風格を纏う雄々しき猛獣!銃弾すら防ぐ鬣に強化外骨格すら砕く牙を併せ持つ絶対強者!メキシコライオンだ!「「ザッケンナコラー!」」更に檻の中にいたクローンヤクザ2名も一緒に出てくる!飼育係!

「ちょっと待ってよそんなのあり!?なんで電機会社がライオンなんて飼ってんのよバカ!」「ファック!クソ面白くなってきやがったなクソッタレ!」セカンドチャンスはかつてバイオズワイガニを倒したことがあるがそれもギリギリの死闘の上での紙一重の勝利であった。そして昔ヤクザクランで飼われていたアーコは当然メキシコライオンの希少性と凶暴性を知る!

「ハッハッハ!いい間抜け面だぞケチなスラッシャーどもめ!この罪罰ザイバ罪罰罪罰ニン罪罰罪罰………このウインドハンドに貴様ら田舎ニンジャが勝てる筈がないのだ!ザマを見よ!」「エッ?ザイバツって何……?」「ウルッセーゾコラー!タイガーの後ろで二ヤついてる狐野郎が!そのツラの皮剥いで壁に飾り付けんぞオラー!」「そーだそーだ!やっちゃってよアーコ=サン!」セカンドチャンスはアーコの後ろで囃し立てる!

 アーコとセカンドチャンスの言葉にウインドハンドはこれ見よがしに吐き真似をする。「これだからネオサイタマの下品な女は嫌なのだ!俺はこのミッションで得たカネで罪罰ョート城罪罰に戻罪罰罪罰………ネオサイタマからオサラバする!邪魔をするなァーッ!」ウインドハンドはライオンの後ろで囃し立てる!一触即発アトモスフィア!

◆ウインドハンド:(種別:ニンジャ)
カラテ    1    体力  1
ニューロン  2    精神力 2
ワザマエ   2    脚力  2/N
ジツ     0    万札  3

攻撃/射撃/機先/電脳  1/2/2/2
回避/精密/側転/発動  2/2/2/-

◇装備や特記事項
『○テッポダマ』
『◉知識:電子プログラム』
『カタナ』
『テッコ』

背景:『反抗心や嫌悪』
危険生物ダイス 奇数ライオン 偶数カニ: 1d6 = (1)
◆メキシコライオン (種別:危険生物)
カラテ    8  体力   8
ニューロン  1  精神力  3
ワザマエ   4  脚力   4
ジツ     –   万札   3

攻撃/射撃/機先/電脳  8/-/1/-						

◇装備や特記事項					
 鋭い爪と牙:近接武器、ダメージ1
 『●連続攻撃2』、『◉突撃』
◆クローンヤクザ(Y-12型) (種別:モータル/バイオ生物/クローンヤクザ)	
カラテ    2  体力   1
ニューロン  1  精神力  1
ワザマエ   3  脚力   2
ジツ     –   万札   1

攻撃/射撃/機先/電脳  2/3/1/1

◇装備や特記事項
 チャカガン: 銃器、連射1、ダメージ1
イニシアチブ
アーコ→セカンドチャンス→メイビー→
ウインドハンド→メキシコライオン→クローンヤクザ

「GAAAAARGH!」メキシコライオンが牙を剥き出しにして迫る!ニンジャほどではないがその速度はハヤイ!「来るんじゃねえコラー!」BLAMBLAM!アーコが銃を撃って牽制!「GAAAAARGH!」しかしチャカガン程度の口径ではメキシコライオンを止めることは出来ない!

「チィーッ!」アーコはリロードしつつ連続バックステップ!上半身をまったくブレさせることなく移動するその姿勢制御は全身機械のオイランドロイドならでは!「ザッケンナコラー!」BLATATATA!しかし後方に控える飼育係ヤクザが援護射撃!アブナイ!

「うまくいってよ……!イヤーッ!」「「グワーッ!?」」弾幕がアーコを捉える直前セカンドチャンスの瞳が妖しく輝き、放たれた光がクローンヤクザたちのサイバーサングラスを貫いた!「……スッゾコラアバーッ!」クローンヤクザは己のこめかみを撃ち抜いて斃れる!ゼゲン・ジツ!「ヤッタ!どんなもんよ!」セカンドチャンスはガッツポーズ!

「な、なにをしているんだクローン共!これだから非ニンジャのクズは!」「チャースイテッコラー!」怒鳴り散らすウインドハンドへアーコが銃口を向ける!「ええい邪魔だ!」ウインドハンドはその場で手を掬い上げるように動かす!すると!「ザッケンナグワーッ!?」アーコが何もない場所で滑ったかのように転倒!弾丸はあらぬ方向へ飛んでいく!

「見たか下賤な女ヤクザめが!貴様ら如き非ニンジャのクズとそのクズに迎合するサンシタ共に我がジツは決して破れぬ!」ウインドハンドはマントラめいて両腕を動かし、ミスティック・サインを刻む!すると何処からともなく風が吹き荒れ、ウインドハンドの周囲を渦巻き、その存在感を希薄にしていく!

「サラバだ愚か者ども!俺は貴様らがライオンに食い殺されるのを間近で見物して」「イ、イヤーッ!」「グワアバーッ!?」空気に溶けかけていたウインドハンドの姿が再びはっきりと像を結んだ!メイビーの投擲したスリケンを額に生やし、ウインドハンドは背中から転倒!頭を打って気絶!

「スゴイじゃないメイビー=サン!どうやって見つけたの!?」「いや、普通にスリケンを投げただけで……」「GROWLLLLL……GAAARGH!」指示役を失ったメキシコライオンは暴走!その牙と爪を飼い主でなく本能に従い振るう!「アバーッ!」飼育係クローンヤクザ無残!

「GAAAARGH!」メキシコライオンはクローンヤクザの喉笛を噛み千切ると身軽な動きでデスクの上に飛び乗り、次の獲物を探すように姿勢を低くする。その口から滴る緑色の鮮血が徐々に参加し、赤黒く変色していく。セカンドチャンスたちの中のひとりが緊張でごくりと喉を鳴らした。

「GROWGAAARGH!」そしてメキシコライオンはそれが合図となったかのようにデスクの上から飛んだ!「アイエエエ!?」「アイエエエエエ!?」狙われたのは……メイビーだ!「アイエエエエエ動けない!」ナムサン!マウントポジションを取られ、血に濡れた牙が目と鼻の先!「アーーイーーエーー!オータースーケー!」「GAAAARRRRGGGGH!」「メイビー=サン!」悲鳴!咆哮!惨劇の予感にセカンドチャンスは目を瞑りそうになる!

「ナメンナゴラー!」「GAAAARGH!?」だがアーコは怯まなかった!メキシコライオンの尻尾を掴み、力づくで引き寄せる!「GROWLLLL!」「アイエエエエ!イタイイタイイタイ!」メキシコライオンはメイビーの身体にしがみついて抵抗する!

「そのまま歯ぁ食いしばってろよメイビー=サン!」アーコは右手でライオンの尾を掴んだまま左手に持つチャカの銃口を……穴に捻じ込む!「クタバレッコラー!」BLAMBLAMBLAMBLAM!「GROONYAAAAAN!?」ナ、ナムアミダブツ!蓄えられた鬣も頑丈な毛皮も内側からの攻撃には無力!メキシコライオンは絶叫めいた咆哮を上げ、びくんと痙攣し、メイビーの上に倒れ込んだ。 

◇1ターン目
アーコハンドガン→メキシコライオン:6d6>=4 = (4,6,2,3,3,3 :成功数:2)
メキシコライオン体力7

セカンドチャンスゼゲン・ジツ→クローンヤクザ:5d6>=2 = (4,5,2,4,2 :成功数:5)
クローンヤクザ魅了!

メイビースリケン→ウインドハンド:2d6>=4 = (5,3 :成功数:1)
ウインドハンド回避:2d6>=4 = (3,3 :成功数:0)
ウインドハンド体力0!気絶!

メキシコライオン突撃→1セカンドチャンス2メイビー3アーコ4クローンヤクザ:
4d6>=4 = (4,2,5,4 :成功数:3)+4d6>=4 = (3,5,1,5 :成功数:2)
+1d4 = (4)
クローンヤクザ体力‐3!死亡!

◇2ターン目
アーコハンドガン:6d6>=4 = (6,3,4,2,2,5 :成功数:3)
メキシコライオン体力6

セカンドチャンスクナイ:7d6>=4 = (1,5,5,2,4,3,5 :成功数:4)
メキシコライオン体力5

メイビースリケン:2d6>=4 = (6,1 :成功数:1)
メキシコライオン体力4

メキシコライオン突撃→1セカンドチャンス2メイビー3アーコ:
4d6>=4 = (5,2,1,6 :成功数:2)+4d6>=4 = (3,1,4,4 :成功数:2)
+1d3 = (3)
アーコ回避:3d6>=5 = (5,4,6 :成功数:2)+2d6>=5 = (1,5 :成功数:1)

◇3ターン目
アーコハンドガン:6d6>=4 = (3,1,5,3,4,2 :成功数:2)
メキシコライオン体力3

セカンドチャンスクナイ:7d6>=4 = (2,2,5,3,3,3,2 :成功数:1)
メキシコライオン体力2

メイビースリケン:2d6>=4 = (1,5 :成功数:1)
メキシコライオン体力1

メキシコライオン突撃→1セカンドチャンス2メイビー3アーコ:
4d6>=4 = (6,4,6,5 :成功数:4)+4d6>=4 = (4,4,1,3 :成功数:2)
+1d3 = (2)
メイビーアドレナリンブースト回避:1d6>=3 = (6 :成功数:1)+1d6>=3 = (3 :成功数:1)

◇4ターン目
アーコハンドガン:6d6>=4 = (3,3,2,2,5,4 :成功数:2)
メキシコライオン体力0!死亡!

戦闘終了
【万札:7】GET

「ア、アイエエエエ!重い!タスケテー!」「アー、なんとか勝ててよかった~……ウインドハンド=サンが姿を消しかけた時はどうなることかと……お手柄よ、メイビー=サン」セカンドチャンスはサムズアップした。

「おい、手伝えセカンドチャンス=サン。このクソ野郎がもう一度隠れたり出来ねえようにふん縛っておく」「ついでに檻の中に入れちゃいなさいよ。ライオンの死体と一緒に」「そ、それより早く助けてくださーい!」悪戦苦闘しつつものしかかるライオンをどうにかしようとするメイビーを見て、セカンドチャンスとアーコは笑みを零した。

天候変更ダイス: 1D6 = (1)
奇数により悪天候寄りに。
5:この世の終わりじみた雷雨。ジゴクめいた雷鳴。下水や運河の氾濫。

カーム・ベースメント(その5)へ続く