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忍殺TRPG小説風リプレイ【グレイヴ・アンダー・ザ・グレイブ、フル・オブ・デス(その5)】
◆アイサツ
ドーモ、海中劣と申します。こちらの記事はニンジャスレイヤーTRPGの小説風リプレイとなっております。ニンジャスレイヤーTRPGについては下記の記事をご覧ください。
本記事はニンジャスレイヤーの二次創作小説でありニンジャスレイヤー本編及び実在の人物・団体とは関係ございません。
こちらの記事は前回の続きとなっております。よろしければそちらから見てやってください。
それではやっていきたいと思います!
◆本編
「イヤーッ!」ニンジャスレイヤーは高速の下段回し蹴りを繰り出し、足元の暗黒物質を飛散させる。蹴りの軌跡に生じたカラテ残滓によって彼の周囲にマンホール大の空白地帯が出現し、デスドレインの意思が介入していないアンコクトンは結界に阻まれたかのようにそれ以上近付くことができない。その様を見たデスドレインは不愉快気に眉間に皺を寄せる。
地下の空洞にいた筈のニンジャスレイヤーが何故この屋上までこれほど速く到達できたのか?その答えがこれだ。彼はドウグ社のフックロープの巻き上げ機構を使い、地下空洞から駐車場へ、そしてそこから外に出てビル壁を上ってきた。フックロープはニンジャスレイヤーのカラテを伝導し、暗黒物質の干渉を受け付けない。熟練の職人技とニンジャのカラテの相乗効果が可能にした、まさに離れ業である。
![](https://assets.st-note.com/img/1737375047-GEiSl9coBjAKqxeFyhpWtYOI.png)
※上記マップは公式のシナリオ「ニンジャスレイヤー抹殺指令」のマップを使用しました。
「なァアンタ。俺はよォ、ただ普通に生きてるだけなんだよ」デスドレインは立ち上がり、首をゴキゴキと鳴らしながら肩を回す。地面に広がる暗黒物質が波打ち、屋上の四隅に配置されたシャチホコ・ガーゴイルに黒い飛沫がかかる。「それがさァ、ある日突然こんな力に目覚めちまって……制御できねェんだよ。この汚えクソみたいな物質は俺の意思に反して罪無き人々を殺しまくってさァ。だから俺も被害者で」「イヤーッ!」
デスドレインはブリッジ姿勢を取ってニンジャスレイヤーの投じたスリケンを回避した。暗黒物質で形成された糸がデスドレインをジョルリ人形めいて操り、彼単独のワザマエでは出すことが不可能な速度での回避を可能とさせたのだ。極限の域に達したジツはカラテの力量差を埋め、時には凌駕させうる。
「アー……」デスドレインは身を起こし、おどけるように首を傾げた。「じゃ、やるか?」
イニシアチブ
デスドレイン→ニンジャスレイヤー
※2ターン目の最初に別キャラクターたちのカチコミ配置が行われる
瞬間、ビルの屋上に広がるアンコクトンがデスドレインと「繋がった」。マジックモンキーとブッダの逸話のように、今のニンジャスレイヤーはデスドレインの掌の上にいるも同然!場の空間そのものが赤黒の影を圧し潰しにかかる!「イヤーッ!」ニンジャスレイヤーは黒い地面を踏み砕き、黒い壁を撃ち抜き、黒い触手を切り捨てる!
「イヤーッ!」ニンジャスレイヤーはデスドレイン目掛け疾走する!速度が風を生み、漆黒に染まる地面がナイフで切り分けたように割かれていく!「イヤーッ!」「グワーッ!?」アンコクトンによる防御も回避も間に合わず、デスドレインの顔面にニンジャスレイヤーの足裏が叩き込まれる!「畜生、痛え!ヘヘヘハハ!」
◇1ターン目
アーチ級アンコクトン・ジツ回避
ニンジャスレイヤー回避:
7d6>=5 = (5,5,1,5,6,4,2 :成功数:4)
アンコクトン触手→ニンジャスレイヤー:
17d6>=4 = (2,3,6,5,1,6,3,3,6,1,2,4,4,6,6,3,4 :成功数:9)
デスドレイン精神力10
ニンジャスレイヤー回避:
10d6>=5 = (4,3,6,4,6,1,5,2,4,6 :成功数:4)
ニンジャスレイヤーカラテ→デスドレイン:
6d6>=4 = (5,3,2,5,2,2 :成功数:2)
+5d6>=4 = (6,6,1,1,1 :成功数:2)サツバツ!
+5d6>=4 = (3,4,3,1,2 :成功数:1)
デスドレイン回避:
4d6>=4 = (2,3,6,6 :成功数:2)
+4d6>=4 = (5,2,4,4 :成功数:3)
+4d6>=4 = (2,2,2,2 :成功数:0)
デスドレイン体力10
デスドレインは吹き飛ばされそうになる身体をアンコクトンで支え、歪に捻じれ上がった汚泥の玉座に身を沈める。「テメェさァ、さっき地下で見ただろ?見たよな?なんか大層に飾られてる石っころをよォ?」
デスドレインは会話をしながら直径1メートルはあろうかという球状のアンコクトンを大砲めいて飛ばす。ニンジャスレイヤーはデスドレインの周囲を旋回するようにして走りながらこれを回避する。「グチャグチャにブッ壊してやったらよォ!面白くなりそうじゃねェか!?さっきはなんか弾かれちまったけど、へへへ!今ならこのビルごと潰せそうだぜ!」
当然、ニンジャスレイヤーはそれを許すわけにはいかぬ。あの地下の御影石は彼に宿ったナラク・ニンジャに関係している可能性が高いということもあるが……その過程で出る犠牲を、妻子の眠る墓標たるこのビルでニンジャの暴虐を見過ごすことはできぬ!「イヤーッ!」ニンジャスレイヤーは姿勢を低くして更に加速!暗黒砲弾を掻い潜り、デスドレインに決断的な近接カラテを仕掛ける!
デスドレインは玉座を形成するアンコクトンを破裂させ、汚濁の雫を四散させる。ニンジャスレイヤーは足を止め、両腕を高速回転させて降り注ぐ暗黒物質から身を守る。デスドレインは背中からアンコクトンの海に飛び込み、暗黒物質の中を自由自在に動き回る。このままではサウザンド・デイズ・ショーギの古事の如く、攻める側のフジキドが徒に消耗するだけだ!
しかしその時、2人のイクサに転機が訪れた!バラバラバラバラ!「ヨイショー!」ヘリコプターの激しいローター音が突風に乗って響き渡り、やや遅れて気の抜けたシャウトが続く!「ンアーッ!?足元ヌルヌルベトベトする!……あ、ドーモ。ブラインドです」ブラインドは足を振ってスニーカーについたアンコクトンを払おうとする。
「ドーモ、ブラインド=サン……なんだ、来たのかよ」「ウン。そこのヘリで来たよ」「フーン、あっそ」デスドレインはヘリに手をかざす。KRAAAASH!「アバーッ!?」瞬く間に絡みついた黒い糸がヘリの中にいた操縦者を絞め殺し、ヘリを遥か下界へと墜落させた。
「それでテメェ、ここに来たってことは……」「……デスドレイン君、後ろ!」「イヤーッ!」「ウオオッ!?」デスドレインは背後からのアンブッシュを紙一重で回避する。躱しきれなかった断頭チョップによってデスドレインの首に一閃が走り、そこから黒い血が噴き出した。「ドーモ、ドラゴンチックです!ニンジャスレイヤー=サン!平気!?」
「ドーモ、ドラゴンチック=サン。オヌシも無事だったか!」「なんとかですけど……!それよりニンジャスレイヤー=サン!以前に少し話したけど、コイツが新幹線で暴れたニンジャです!仕留めましょう!」「承知した」
ドラゴンチックとニンジャスレイヤーはよく似たジュージツの構えを取り、デスドレインへ殺気を放つ。その殺気を受けたデスドレインの表情に、恐怖の色は無い。ただ、思い通りにならないことへの「ムカつき」があった。
ドラゴンチックの纏う高熱の装束はアンコクトンを焼き、浸食を拒む。そしてその装束を纏ったまま振るわれる彼女のカラテは暗黒物質の防御すらも貫き、デスドレインの命へ届きうる。その事実がデスドレインにとってはこの上なく腹立たしいことだった。
もちろん、彼はニンジャスレイヤーやドラゴンチックに自分が殺されるなどとは露程も思っていない。「神様」が自分を守ってくれるに決まっているからだ。しかしデスドレインは己が「神様」から貰った絶対無敵の力を……アンコクトンの力を以てしても殺せない相手がいることが、しかもその相手が自分を殺そうとしていやがることが、たまらなくムカつくのだ。
(俺は何やったって許されてきたし、許されるだろ?だったらさァ、何やったっていいじゃねェか!)デスドレインの顔から怒りの感情が消え、薄ら笑いが戻る。と、その時であった。キイイィィィィン!「イヤーッ!」VTOL機が上空を通過し、機体を蹴って新たなニンジャが屋上へエントリーした。「ドーモ、ブレードブレイカーです」
![](https://assets.st-note.com/img/1737301486-VLijEDf53TCg0ZnldBOw7QP9.png)
ブレードブレイカーは屋上にいた面々の顔をひとりずつ確認し、その中に見知った顔を見つけて眉を吊り上げる。「ブラインド=サン?オイ、こりゃどういうこった。説明しやがれ」「ドーモ、ブレードブレイカー君。そう言われても私もよくわかんないけど」「使えねェな……オイ」
ブレードブレイカーはデスドレインを睨み付け、カタナの切っ先を向ける。「この馬鹿げた騒ぎはテメェの仕業か。とっとと止めろ。さもなきゃ殺す」「へへへ……ドーモ、デスドレインです。おっかねえなあ。初対面の相手によお……ネオサイタマってみんなこうか?」「だいたいそうだよー」とブラインド。
その様子を横で見ていたブレードブレイカーは内心舌打ちした。(あのクソボケアホ女、このデスドレインとかいう野郎と知り合いか?だとしたらとんだ面倒事持ってきやがって)万が一、自分の部下であるブラインドがデスドレインを手引きしていたとなれば上司であるブレードブレイカーとしては厄介だ。最悪、何らかのケジメを組織から求められるやもしれぬ。
(そうならねェためにも、ここで手柄を立てとく必要がある……とはいえ、どうする?あのムカつくニヤケ面野郎のジツも厄介だが)ブレードブレイカーはちらりと視線を横にずらす。(むしろここはニンジャスレイヤー野郎と、ドラゴン・ドージョーのガキを優先すべきか?)
ブレードブレイカーは頭の中で算盤を弾き、自分にとっての最善の選択を考える。ブレードブレイカーは……
※ルート分岐
ブレードブレイカーは
1デスドレインを攻撃するよう
2ニンジャスレイヤーたちを攻撃するよう
: 1d2 = (1)
ブラインドに言った
「おい、ブラインド=サン!デスドレインをまず始末する!援護しやがれ!」ブレードブレイカーは己の決断をブラインドへと伝える。ニンジャスレイヤー、ドラゴンチックの2人も抹殺対象ではあるが、最優先で始末するべきは街そのものに対する破壊活動を現在進行形で行っているデスドレインだ。
「エエー……?ンンー、困ったな」しかし、ブラインドはすぐにはブレードブレイカーの要求に応じなかった。「そうだ!デスドレイン君さー、ソウカイヤに入んない?」彼女は名案を思い付いたとばかりに右手の拳で左の掌を叩く。「そうすれば殺さなくって済むでしょ?ね?」ブラインドの目元は大きなアイマスクで覆われているが、それでも分かる。彼女は一切の裏が無い、心からの笑みを浮かべて提案している。
「クソ喰らえっつっとけ」デスドレインは両手でファック・サインを作る。「クソ喰らえって言われちゃった、ブレードブレイカー君」ブラインドはしょんぼりした。「ブッ殺すぞアホ女!いいからとっとと準備しろ!」ブレードブレイカーは額に青筋を浮かべる。「ブッ殺すだって、デスドレイン君」ブラインドは肩を竦めて溜息を吐いた。「そういうことだから、ゴメンね」
「へへへ……そうかい」デスドレインは肩を揺らし、くっくと嗤う。「そりゃあ、さびしいなあ……ヘヘへ。俺っていっつもそうさ。一人ぼっちでよお……誰も味方しちゃくれねんだ。へへへ……悲しいよなあ……」デスドレインは泣き真似をしつつ、独白を零す。だが、やがてそれにも飽きたのか、突然顔を上げて大きな欠伸をした。「ま、いっか。じゃ、ここで殺すぜ。ブラインド=サン」
「エー?エヘヘ。それは無理だって」ブラインドは顔の前で手をひらひらさせて否定する。「だって、殺すのは私の方だからね」「ほざいてろよ、クソ女。へへへへへ……ヘヘヘハハハハハ!」デスドレインの哄笑と共に、下界で殺戮と破壊を続けていたアンコクトンが動きを止めた。次の瞬間!
「アン・コク・トン・ジツ!」デスドレインは前傾姿勢を取って地面に手をつき、暗黒物質に強く呼びかけた!DOOOOM!ビル全体が激しく震動し、アンコクトンが屋上にいるデスドレインに向けて吸い上げられていく!その場にいる他のニンジャたちは漆黒の濁流に吞まれぬよう必死に耐える!
……震動が収まった時、マルノウチ・スゴイタカイビルを、そして下界の広場を浸食していた暗黒物質はすっかり消失していた。だがそれはデスドレインがジツの行使を止めたからではない。逆だ。彼はアンコクトンを凝縮させ、その密度を増したのだ。
数百人、数千人、数万人の命を喰らい尽して成長したアンコクトンを、ここにいる4人を殺すためだけに使う。「アアー……ゲーップ……」満杯の死をその身に蓄えたデスドレインは大きな噯気を出した。今やその眼球も口内も底無しの闇めいた黒に染まっている。
「アー……どうなってんのかな、今の俺……もうこっからどうなっちまうか、俺にも分からねえよ……へへへ」デスドレインは口の端から黒い唾液を垂らし、邪悪に微笑んだ。
◆デスドレイン :フル・オブ・デス(種別:ニンジャ)
カラテ 1 体力 10+12
ニューロン 11 精神力 10+8
ワザマエ 6 脚力 3/N
ジツ 7 万札 0
攻撃/射撃/機先/電脳 1/6/11/11
回避/精密/側転/発動 12/6/6/17
緊急回避ダイス:8
装備や特記事項
・スキル:『●不如帰』『●サツバツ耐性』『●射撃ダメージ軽減1』
『★★★アーチ級アンコクトン・ジツ強化』
『●マルチターゲット』『●時間差』
『◉◉グレーター級ソウルの力』『◉◉アーチ級ソウルの力』
『★★★◉不滅』『★★★◉アーチ級装束生成(標準的な)』
・ジツやアーチ級能力:
『☆アンコクトン・ジツLV3』
アンコクトンで手近な敵を攻撃する。【精神力』を1消費し、難易度はNORMAL。
ルールは「☆カトン・ジツLV1-3」をもとにしているが、中心点のダメージ増加がなく、
どのマスも全て1ダメージである。
また回避難易度はHARDであり、回避に失敗した場合さらに『回避ダイスダメージ2』を受ける。
『★アンコクトン触手』
自分の手番で【精神力】を1消費し、攻撃の代わりに使用を試みられる。
発動に成功した場合、【ジツ】の値に等しい個数の特殊な暗黒触手が生み出され、
地面を這って敵の足元や背後から出現する。
術者から見えてさえいればどれだけ離れていても自動的に命中する
(『マルチターゲット』使用可、『時間差』使用不可)。
ダメージはそれぞれ1である。
回避難易度はHARDであり、回避に失敗した場合さらに『回避ダイスダメージ2』を受ける
(この『回避ダイスダメージ』はたとえ通常ダメージが『ダメージ軽減』で軽減され0になっても発生する)。
『★アンコクトン触手拘束』
「★アンコクトン触手」が命中した相手、最大で3人までに対して、
手番の終わりに「アンコクトン触手拘束」を宣言してもよい。
これを受けた敵は自動的に『拘束状態(脱出:U-HARD)』となる。
『★★アンコクトン肉体再生』
手番の攻撃フェイズで「その他の行動」として使用する。
【精神力】2を消費し、【ジツ】+【ニューロン】で発動を試みられる。難易度はHARDである。
【体力】を3回復。加えて、この判定で出た出目6のダイス1個につき【体力】を1回復する。
『★★死体吸収』
『アンコクトン触手』や『アンコクトン・ジツ』によって「モータル」や「ニンジャ」を殺した場合、
1人につき直ちに【体力】を1回復する。
『★★★アーチ級アンコクトン・ジツ』
手番の攻撃フェイズでその他の行動として使用する。シナリオ中1回限りの発動。
【精神力】4と『回避ダイス』2個を消費し、【ジツ】+【ニューロン】で発動を試みられる。
難易度はULTRA-HARDである。
発動に成功した場合、デスドレインを中心とした『爆発(49x49)』マス以内にいる敵全員に対し、
アンコクトンが毎ターン自動的ダメージを与える。この効果は戦闘終了まで持続する。
毎ターン開始フェイズにこの範囲内にいた全ての敵(味方は除く)は、
自動的に「2ダメージと『回避ダイスダメージ2』」を受ける。
これは『回避難易度:HARD(下限固定)』である。
『●サツバツ耐性』
『サツバツ!』による部位破壊を『痛打+D6』に置き換える。
出目6は『痛打+2D6』に置き換える。(アンコクトンによる再生を再現する)
『★★★アーチ級アンコクトン・ジツ強化』
『★★★アーチ級アンコクトン・ジツ』の効果が、
「2ダメージと『回避ダイスダメージ2』」を2回ずつ受けるに強化される。(2回の回避を要する)。
・弱点:ナラク・ニンジャの不浄の炎によってダメージを受けた場合、そのダメージは2倍となる。
※「体力」「精神力」に補正。
『●不如帰』『●サツバツ耐性』『●射撃ダメージ軽減1』『★★★アーチ級アンコクトン・ジツ強化』の獲得。