BtoBサービスの導入事例サイト44社調べたら中々に興味深かったので筆を執ることにした。
いや、正確に言うと「筆を執ることにした」のではなく、「勝手に筆が走っていた」という表現が正しいくらい事例サイトには学びが転がっていた。もしかすると仕事に行き詰ったときは企業の事例サイトを見ていたら大体の悩みは解決するんじゃないかと思うくらいに。
※なお、この記事は個人的な備忘録のための記事なので、皆様のお役に立つことの効果・効用を保証する記事ではございません。
初めまして、後藤と申します。wevnalという会社で自社プロダクトである、[PR]CVRを向上させるチャットボット「BOTCHAN EFO/BOTCHAN PAYMENT」のマーケ全般を職務としております。つまりBtoBマーケを生業としてご飯を食べております。自己紹介は本旨ではないので機会があれば別途やるかもですが、さしあたり「この記事はどこぞの怪しい人間ではなく、BtoBマーケ職の人間が書いてる」ということだけご認識ください。
まず結論をお伝え致しますが、
わけです。自社の事例サイト作成中なのでこの知見を活かしていきたい所存。
予想されるユーザー導線とカスタマージャーニーやファネルにおける事例サイトの立ち位置
雑に書いてみましたが、おそらく事例を見るユーザーのWeb上の行動はこんな感じなんじゃないかと思います。
ただ、個人的にサービス導入を行う際に「そのサービスの事例ページをじっくり見て導入を決定した」みたいな経験がない(ここは他の方のご意見聞きたい)ので、事例ページのリード獲得/受注に対しての重要度合いが正直イメージできていないのが正直なところです。
上記を踏まえて、ファネルごとの事例ページの役割としてはこんな感じなのかな、と思ってます。
色を付けて囲っている箇所が自身の経験から「事例ページの存在が重要なんじゃないか?」と考えている箇所です。
「サービス認知」に重要なのは言わずもがな当然です。課題があって検索したときにその課題解決となる事例があればサービス認知に繋がりますし、当方の経験でも、例えば「ユニクロが行った売上を上げる施策とは?」みたいな有名企業の事例があるホワイトペーパーはDL数が他と比べて多くなるので、それがきっかけでサービス認知に繋がります。(DLされたらリードやんけ、ということは無視して頂きたい)
先ほど、「そのサービスの事例ページをじっくり見て導入を決定した経験はない」って言ってたクセにしっかり受注フェーズにも色付けしてる理由としては、「担当者が上申する際に他社事例があった方が稟議あげやすい場合がある」からです。企業規模が大きい場合や学校などの場合は他社事例が結構受注に効くイメージがあります。弊社はその限りではなかっただけです。
なお、後藤がセールスのチームマネジメント時代に作っていた資料の一部でも、「発注理由は様々だよ~」とお。
よく、「BtoBサービスは合理的・客観的に意思決定がされる」など、BtoBの意思決定は超☆ロジカル!みたいに言われがちですが、意外と経済性よりも勢いや信頼、“競合がやってるから”などのあいまいな理由で発注を頂いていたケースも多かったように思います。(行動経済学、「予想どおりに不合理」と同じかな~)
題材にした企業/サービス一覧
さて、1000文字超もの壮大な前フリをして、なんとここからが本題です。まず、今回こちらの企業様を題材にさせていただきました。
企業一覧のスプレッドシートはこちら
選定基準は特にございませんが、こちら[ferret One運営のベーシックが「BtoBマーケ カオスマップ 2020年版」を公開]を9割くらい参考にして企業を集めました。先人の叡智に感謝。
ちなみに今回、44社を調査し、事例総数は2529件で、1社あたりの平均事例掲載数は57.5件でした。中央値はおそらく30件台だと思います。(※目視のため途中めっちゃ投げやりになったので見落としや多少のズレはある可能性激高)
TOPページの傾向や特徴
「事例ページに事例は何個掲載すべきか?」というマーケターがぶつかりそうな問いにはすでにAIアナリストを提供しているWACULさんが答えを出しているのでこちら[SaaSを扱うB2Bサイトにおける事例紹介ページの改善策の提言]を参照頂きたい。12個以上30個以下とのことです。またもや先人の叡智に感謝。
最近のBtoBサービスなんて大体SaaSだしサブスクリプションなので「BtoB事例サイトの事例数は12個以上30個以下が適当」ってことにしておきたいと思います。
ちなみにTOPページは目立った発見少な目でした。個社事例ページの方が各社の工夫が勉強になりました。
1、まずはあるあるやテンプレから
競合に同じ企業のロゴあるケースや、「ここの会社他のサービスサイトでも見たな~」みたいなパターン。時間軸が違うのか、事業部が違うのか、提供サービスが違うのか...。
フォーマットは下の画像みたいな3カラムのところで、1カラムには会社のエントランスで撮影した企業担当者の写真とTDのパターンが多かったです。
2、HR系サービスは事例企業の従業員数を入れるべき?
こちらモチベーションクラウドのサイトなんですが、従業員規模で検索できたり、事例記事のタイトル付近に従業員規模を記載してあってすごい合理的。
ベンチャーの組織拡大でよく「〇〇人の壁」とか言われるので、確かにそのフェーズの経営陣、人事担当なら自社と同じくらいの組織規模の会社の課題の乗り越え方は気になる。
3、タイトルで「導入理由」と「導入後の結果」の使い分け
さっきのファネルの話と近しいんですが、当たり前だけどファネルのどこにいるのかによって関心ごとが違うので、低位(左側)には導入理由を見せて自分事化、高位(右側)にはメリットやベネフィットを見せて受注に近づける的な使い分けがされてるな、と。1つの記事の中で起承転結的にきっかけと成果を書ていると思うんですが、タイトルをどっちにするのかは毎回悩みそう。
その他
ふと疑問に思ったのが、検索機能やソート機能がついてるサイト多かったんですが、そんなに使われてる機能なのか疑問。
先ほどの図で、自分の仮説だとどのチャネルもTOPからの流入より下層からの流入が多いと思ってるので、下層→TOPページに行ってさらに検索機能使う人ってそんなにいないんじゃないかな?と思ってしまうが...実際どうなんでしょ。
下層ページの傾向や特徴
下層ページの型は主に、①インタビュー型(ちょいちょい知ってる人出てきてワロタ。当人には申し訳ないけど全部保存した。)②資料DL型 の2パターンでした。
インタビュー型は読了後に問い合わせボタンやデモ登録、資料DLボタンが設置されているものがほとんどでしたが、実際ここからどれくらいCVするのか効果のほどをぜひ聞いてみたい。軽率に。
では後藤の独断と偏見で面白いと思った事例ページを3つほど紹介します。
普通によくあるインタビュー型のページなのですが、デザインが他のインタビューページの1.7倍は綺麗。LPとして広告出しても普通にCV取れそう。
と思ったら普通にGTM入ってたのでこれは広告に使われてますね。わからないですけど。
正直、サイボウズさん式の事例サイトの作り方は嫉妬した。ずるい。
なにがずるいって、事例ページをクリックするとパートナー会社の事例ページに遷移するんです。NewsPicksかと思った... 無尽蔵のコンテンツ生産マシーン。事例数も492件でダントツの1位。
この事例コンテンツを未受注のクライアントにメルマガで流して受注したらそのまま構築をパートナーに流せるから事例ページを作ったパートナーにもメリットがあるという好循環。
代理店制度が設けることができるプロダクトの強さと外からはわからない秀逸な代理店制度(詳しい方求ム)の設計が福利として機能している好例。嫉妬...
大変お待たせ致しました。天下のSalesforceさんでございます。まず何も言わずに軽率にライザップさんの事例ページをご覧頂きたい。
ファーストビュー。どんなに目が悪くても、どんなにすぐ離脱しても瀬戸社長が目に入る。
そして軽率に事例動画を見て頂きたい。
おれは思った。「ライザップのプロモーションムービーかよ」 と。
聞くところによると、これはどうやらグローバルの共通フォーマットらしく、一定の役職以上の方をインタビューの場に引きずり出し事例インタビューを行うため、SF社側で一流のカメラマンやインタビュアーを用意し、めちゃくちゃイケてる写真やムービーを撮ることにコミットしているらしい。もはやどっちがライザップだかわからない。
これはもはや事例インタビューの域を超えてもはや斜め45度の接待である。
「やりすぎでは?」と思ったが、冷静に考えてみるとインタビュイー側の企業は事例インタビューを受けるメリットは1ミリもないのである。役員以上を引きずり出すためには逆にこれくらい必要なのかもしれない。(アメリカだとキーマンの事例インタビューページの受注貢献度が日本より高いらしい。マックのJKが言ってた。)
その他
他にも、ウィルゲートさんのオウンドメディア(プロモニスタ)の中に事例を紛れ込ませるパターンや、
KARTEさんの5秒で読めそうな事例ページなどがあり、各社の事例コンテンツの活用方法が見えて参考になりました。
これは事例というか、プロモーションムービーなのですが、セレブリックスさんの昔話を使った実績の押し出し方は本当に好きです。
おしまい
以上、「BtoBサービスの導入事例サイト44社調べたら中々に興味深かったので筆を執ることにした。」でした。このnote書いてて、”事例掲載の有無でのLTVの違いやアップセルの違いなどあるのか?”、”どの規模企業だったら事例として効くんだろう?”、”サービスプロバイダーとユーザー企業の認知度が逆だったときはどっちにメリットがあるんだろう?”、など疑問があふれて止まらなくなってしまったのでもし上記の情報をお持ちの方は後藤までお声がけ頂きたい。
また、このnoteを見てBOTCHAN EFOに興味が沸いた、いやもはや発注して事例ページに載せてもいいよ!という方は後藤にこっそりDMをして頂きたいです。泣いて喜んでしまいます。
最後に、note書く書く詐欺をしていた後藤に半年近く「後藤、noteはまだか?」と、腐敗した国の王様が召使に給仕をせっつくように...いや、ライザップのトレーナーのごとく飽きずにケツを叩き続けて頂いたジェイさんには深く感謝をお伝えしたい所存です。スタートアップセールスについて発信してるジェイさんのvoicyとTwitterはこちら↓
お読み頂きありがとうございました。また気力が溜まったらnote書きます。