自分ノート

　好きなYouTuberに、Chokiさんという方がおられる。ジブリみたいな生活を覗かせてもらい、映像でも耳心地の良い生活音でもいつも癒されているのだけれど、自分をきちんともっておられる姿勢がとても素敵である。たくさんの失敗をしながらそのたびに立ち上がってこられたところも、自分の技術をきちんともってフリーとして働いている力強さも、生活ぶりも、あらゆることが憧れで、とても年が近いとは思えないくらいにしっかりしておられる。

　私は非常にズボラな人間なので、おかしは好きだけどおかし作りは全然しないし、料理だってまとめて炒めたり煮たりするだけのような簡単なものしかしないし、植物はすぐに枯らす。なのでChokiさんの生活ぶりを真似することはとうてい無理なのだけれど、彼女の心の姿勢に強い共感やこうなりたいという思いを抱いているので、ときおり真似させていただいたり、勝手に指針にしている部分がある。

　先日出したばかりの動画で、忙しく過ぎ去ってしまう日々の中で忘れてしまいそうになる自分のことをまとめるノートのことが紹介されていて、とてもいいな、と思った。

　あらゆることを忘れがちで感情が分散しがちな私は、バレットジャーナルというノート術をおととしから使うようになり、日々のタスクやスケジュール管理、瞬間によぎる思い、創作のプロット、勉強の内容、自己との対話、読書の記録、noteに関することなど、さまざまなことを一冊のノートにまとめている。最近は日記だけ新潮社のマイブックに分けたし、読書記録も分けようかと考えてはいるけれど、とにかく、ノートは日々欠かせないものとなっている。先日「電子書房うみのふね」の2020年上半期ベスト10冊でも紹介した「insight」では、自己について正しく知りましょうということであらゆるワークが紹介されており、それに準じて自分なりに書いたこともこのバレットジャーナルに収められている。ただ、バレットジャーナルはその場その時のタスク管理や記録や自己との対話には自分にとても合っているけれど、なにかしらをまとめるということには少し弱い部分がある。毎年ノートが更新されるからだ。読書記録を分けたいと考えている理由もそこにある。

　これまでよりもずっと本をたくさん読むようになり、たくさんの言葉に出会ってきた。それこそ動画でも、SNSでも、素敵な言葉がこの世には溢れている。自分の中に不意に浮かんだ言葉も含めて、忘れないようにノートに書き留めている。そういった「好きな言葉」をはじめとして、「好きな本」「好きな映画」「好きな食べ物」「目標」「行ってみたい場所」などなど、バレットジャーナルで書いてきたことも含め、時間に流されないよう、自分の輪郭や内面を目に見えるかたちでまとめるノートを、私も作ってみようと思い、気に入っているのでなにか大切なことに使いたいけれど使い道が思いつかずにいたノートを出した。

　以前、ウィーンとチェコに旅行した際にオランダでのトランジェットの際、日本でいう100均ショップで一目惚れして買ったノートだ。ページのかどが丸くカットされているのが可愛い。表紙の色といい植物の柄といいデザインがとても気に入っているうえ、一本紐の栞があるのも素敵である。そこそこページ数もあるので、簡単には埋まらない。

　使いたいと思い、とりあえず書き始めた。一気にやっていくことは難しいから、少しずつ。どんなことを書こうかな、と考えながら。ノートの一ページ目の、一文字目って、毎回少し緊張するけど、嬉しくなる。新しいことをするたび、ちょっとわくわくする。

　バレットジャーナルを振り返るたびにページにちらばっている日常の欠片を見て、たくさん思い出すことがある。大事なものは、年を重ねれば変容していく。私自身も、生活も、環境も、変わっていく。変化するものもあれば、しないものもある。でも、自分の大事だと思うことは、そのまま大切にしていたいし、そこに価値を感じていたい。私にできることはなにか、できないことはなにか、書きたいものはなにか、得意なことは、苦手なことは、やるべきことは、やりたいことはなんなのか、模索と共にノートが存在してくれている。

　たくさんの憧れがある。でも、そのひとにはなれない。すべてを手に入れることはできないし、そんなことは望んでいない。自分は、自分以外のなにものにもなれない。

　影響されやすい性質であることは自覚しているし、情報社会である現代はそれでなくても翻弄されがちなので、静かに内面を見つめている、連休。

　Chokiさんの動画、おすすめです。