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VOCAL&GUITAR KEN interview

結成から10年。ついに発売されたROCKET1st ful album「NEW AREA PASSENGERS」ROCKETのフロントマン、東京から松阪からの視点に変わったKENに話を聞いてみた。

♣︎前作『departure』から三年ぶりの新作音源『NEW AREA PASSENGERS』についてお聞かせ下さい。KENさんにとってどんな作品ですか?

KEN(以下K) 結成10年目にやっと出すフルアルバムだけど、ここに至るまで色々あって。EP、シングルや4曲入りCDなんかは、定期的に出せてたんだけどアルバムは長年の悲願。今まで何度か良いチャンス来たけど、結局物に出来ないままだった。3年前に東京から三重県に移住して、東京noise roomで、レコーディング半分終わったあたりで、ライブ中、肺を破って肺気胸で手術したり、何回も暗礁に乗り上げたけど、でもこのアルバム作成があったから、色んな障害を乗り越えさせてもらった。中身を含めて、とても発売出来る事が嬉しい作品です。

♣︎結成10年目で初のアルバムに至るまでに色々な事があったと思いますが、過去を振り返ってご自身の中で印象的な出来事は何ですか?その出来事はアルバム作りに何か影響はありましたか?

(K)出来事があって、歌詞が広がっていくから、全曲が影響の塊かな。言ってしまえば、一曲目の物語は、肺気胸で入院してる時に、絶対に病院で一曲作って退院しようと、決めて手術前に歌詞が出来た。diesel gypsyは、3年前に出した『departure』が出発って意味なんだけど、新たに出発してまず辿り着いた星の話。ぶっとんだ衝撃を誰かに与えられたら、その衝撃をより強くして誰かに渡したい。ALL RIGHT PLACEは2nd CDに収録曲だけど、メンバー三人になっていい感じしたから改めて再録。ほんの少しでも、絶対的にALLOKな場所を作りたい。心の中にいつも置いておきたいやつ。

PINK NOISEは東南アジアツアーで、シンガポールに行った時に、泊めさせて貰った潰れたライブハウスの名前。ここに泊まった時に、感じたというか、貰った物から広がったかな。大事な物の側だから生き残る心を持ちたい。一緒に東南アジアツアーに行ったmau(FLIPOUT A.A.)はここで幽霊を見たみたいだよ(本人談)これ、このままアルバムの曲紹介しても大丈夫かな?

♣︎もう全曲いきましょう!続いてお願いします。

新しい橋も、2013年に出したシングルの再録。この曲が出来た時期、中野から川崎までスクーターで通ってて、関東の人ならわかると思うけど、なかなか狂ってるでしょ?バカでかいトラックの間をスクーターで必死にすりぬけて、進んでいくと橋を渡った。名前はわからないけど多摩川にかかる橋。この時、朝日がちょうど登ってめちゃくちゃ綺麗だった事がキッカケで作った歌。

はぐれ者は、ツアーで、東京から大阪に向かう時に、INUIくんのハイエースを燃やしてしまった出来事だね。東名高速で本当に死ぬかと思った。でも諦めたらあかんて、寒空の中、見上げた満点の星空に言われたような気がした。こうやって改めて振り返ると、曲は出来事や、物語で出来てるね。

RIGHTS FOR LIFEは、EKDの名曲のカバー。この歌、聴いて惚れこんでしまって、EKDに歌っていいか、聞いたら一発OK出たから、ライブで毎回やってる。盛り上がるから(笑)いい歌だよ。台湾ツアーの時も反応がめちゃくちゃ良かった。言葉が通じなくても名曲はちゃんと伝わるんだなと思った。

光は、ライブが終わって一人高速乗ってひたすら闇の中をかっ飛ばしてた時に、カーナビのアイコンが蝶になっててヒラヒラ飛んでるの見て一人で走ってるけど、一人じゃないかもな、と感じた事がキッカケになった。若くして、闘病し、先に逝った友人に届けようと作った歌。

ラストのCHECK OUT,PLEASEは、随分前から曲と歌詞があったんだけど、なかなかリズムが決まらなくて。スタジオでEIJIがアレンジしてくれた曲だね。アレンジ力強いんすよ、うちのメンバーは。俺はAが出来た時点で、新曲が出来たってLINEを送るからEIJIと、INUIくんのアレンジ力にいつもお世話になりっぱなしです。ROCKETはこの10年間、誰にも寄らない、似ない音をメンバー一同で目指してて、それは四人の時も、三人になってからも一緒で。これからも続いていくのだけど、立ち上がる気持ち、心を決めるのは、自分だって歌かな。迷いからチェックアウトして、次に向かう曲です。

♣︎アルバムタイトルの『NEW AREA PASSENGERS』の意味合いと、込めた思いがあれば教えて下さい。

(K)2015東南アジアツアー後に、メンバーが抜けてINUIくんと二人になって、まず、ヘルプメンバーを探したんだけど、何人か断られてこれは2人でやるしかないって流れで、ベースレスで何本かライブやったけど非難轟々。この状態ならライブやるのは、辞めた方がいい、て言われたよ。でもその時は、とにかく進めて行かないと腐ってしまいそうだから、批評は気にせずやってた。そんな時期に家庭の事情で、三重県に移住が決まって、全部話して遠距離バンドを、承知して貰った上でEIJIが加入した。その辺りからこのアルバム作成計画は始まってるんだけど、中々、アルバムタイトルが決まらなくて。でも最初のレコーディングが始まった辺りかな。夜勤バイト中、休んでた駐車場で急に思いついて、慌てて即刻メンバーにLINEしたよ。疲れ果ててたのに、急に生き返った感じだった。それが始まり。

時代も令和に変わる前だったし、遠距離バンドもそうだし、引越したばかりの自分の環境も、そうだし、なんか新しいエリアに入ってるな、と感じて。また今、コロナで大変な状況になってるけど、ここからまた新しい旅、新しい世界を旅したい。少しずつでも良い方向に舵を取りたい。そんな願いを込めました。

♣︎なるほど。KENさんは長くPUNKシーンに身を置かれていたと思いますが、KENさんから見た現在のPUNKシーンはどのように写ってますか?

二人の偉大な兄の背中を見て、94年頃上京。東京のライブハウスに出入りはじめた時は、無茶苦茶、緊張してた。ライブハウス慣れて無いと思われるから、キョロキョロすんな!て一緒に行った友達に言われたりしたな。

この頃に友人になった大坂くん、まこっちゃん(CROSSFACE)、イズミちゃん(THE SLOWMOTIONS.EIEFITS)がやってたRAWNECKとか、ガンガンライブやってて凄い見たよ。あと、KGS。最高だった。高円寺南に住んでたからほぼ毎日20000Vに居た気がする。すごい色んな事を吸収出来た時期で、この時の仲間は今も繋がってる人多いな。EIJIもこの頃20000Vで知り合ったよ。「押して駄目なら引いてみろ!」て企画をもうコンスタントに組んでてライブやりまくってるイメージだった。

今は東京から離れて三重県に住んでるから、東海道のシーンと関わる事が多いけど、素晴らしいPUNK狂というか、愛がある人、愛がある場所ばっかりで興奮するよ。場所も企画もとても面白い。

2010年にROCKETが始まって本当良かったなと、思う事はびっくりするくらいライブが出来た事かな。月に都内5本とか、沖縄行って、次の週は新潟行ったり。東南アジアツアーも最高だった。10代、20代より、30過ぎてからが一番ライブをやっているというおかしな事態になってた。それまで、やりたくても出来ない状況が続いてたから、ガムシャラになったのかな。

今になって振り返ると、CHEERIOとの出会いが大きいな。ROCKET結成当時から、一番よく遊んで一番よくライブしたのがCHEERIO。とにかくガンガンライブをよくやってたし、ガッツを沢山貰った。これは楽しい!俺達もやろう!ってやってると、また周りの仲間も自然に増えていく感じが凄く嬉しかったな。CHEERIOと、ジャバラが東南アジアツアーして、インドネシアのマージナルの事も教えてくれた。のちのFLIPOUT A.Aとの東南アジアツアーにも繋がったよ。

今こうして別々の場所に住む3人体制になっても、継続して音を生み出して行こうと思うのは、ROCKETを見て、元気が出た、何回も聞いてます、遠くから見に来てくれたり、少なくてもそんな声を貰ったから、10年間止まらずに飛行が続いてる。その声に、感謝してこれからもより強く飛ばしていきたい。

3人になってからは、ギターも弾いてるんだけど、トラブルも多いから、本当にメンバーには面倒ばかりかけてるよ。自分が食い付いていくしかないんだけど、遠距離バンドはスタジオが少ない分、各自の練習が肝になってくるね。

今回レコーディングには、ゲストギターで、弾き語り海七で一緒にやってるYOU君に、一曲目の「物語」を弾いて貰った。YOU君のギター、とても良くて、いつか共演できたらと思ってた夢が実現できて良かったよ。幼なじみだから知り合って37年目の奇跡だね。RIGHTS FOR LIFEのえみちゃんのキーボードも最高。今回のアルバムの中でも、かなり際立ってると思う。仲間がレコーディングに加わってくれる事でより強いものになった。有難いよ

EKDとは、横浜のライブで知り合った。凄いまっすぐな良い歌を唄うから一気にファンになったよ。沖縄から金城小町が1週間くらい弾き語りツアーに来た時に、三軒茶屋の飲み屋で、弾き語りライブがあるからおいでよー、って平日に誘ってくれたから仕事終わってそのまま行ったら、ビルの屋上を貸切ったらオープンテラスの会場で、平日なのに、みんなすっごいキラキラして着飾って来てるのに俺だけ作業着で(笑)CMで見る役者さんや、女優さんとか居るの。そんな中、金城小町のライブが始まって、調子よく踊ってたら、まさかのステージに上げてきて一曲歌ったよ。みんな「あの作業員の人、歌う人だったんだ!」みたいな顔してたよ(笑)

さすがEKD、そんな中でもど真ん中の素晴らしいライブで、みんなを沸かしてたよ。金城とEKDと三人で、俺たちは歌兄弟みたいなもんだって、乾杯した。そん時あたりから一緒に何かやりたいとは思ってて、今回作品としてRIGHTS FOR LIFEを歌えたのは光栄です。

♣︎レコーディングが中断したのはどうしてですか?

(K)レコーディング半分くらい終わった辺りに、俺が肺気胸になってしまって、入院した時は、ライブもストップ、生活もストップ、完全に暗礁に乗り上げてた。退院してからも中々、体力的に東京でレコーディングするのが難しい状況だったけど、東京NOISEROOMのシゲさん、松阪のライブハウス、ROCKERSCLUBのPA YUTAKAのご好意で、残った歌入れを松阪でやらせてもらう事になったのは、本当に救いだった。また、三重に帰ってきてから、いつもお世話になってるライブハウスROCKERSCLUBでレコーディングするのが嬉しくて、興奮したなあ。シゲさん、YUTAKA、会った事が無いのに、ROCKETで繋がって協力、奇跡のミキシングしてくれた二人に感謝してます。

ジャケットは、いつもでお世話になってる黒ちゃん(SQUARE THE CIRCLE)間違いの無い仕事で上げてもらいました。フライヤーとかいつもデザインお世話になってるんだけど、ドンドンレベルが上がっていくから、今回ジャケットをお願いしたんだ。

なんか、他のバンドのフライヤー見ても、黒ちゃんのはすぐわかる。ツボが好きというかファンなんだね。いつもありがとう。

MV「物語」は松阪市の松名瀬海岸で、寛治監督に撮影してもらいました。移住してからずっと組める人を探してて、映像ならこの人だ!ってずっと思ってたのが実現できた。小さな町からでも、世界に向けて発信している人が好きなんですね。台風直前の海で撮ったんだけど、海に、なんか黒い塊があるなーて、見てたら鳥だって、撮影始まったら一斉に飛びたって一直線に飛んでいったよ。生まれて初めて見る凄い景色だった。MVにも収められたから見てみて下さい。

♣︎punkとの出会いも聞かせてもらえますか?

(K)小学生4年くらいかな。晩ご飯の時は、UKDKか、MADMAXか、The Great Rock 'n' Roll Swindleの三本立てだったから(笑)近所の教会に外国から牧師さんが来てて、「No Future for you!!」とか、「Fuck!」とか知ってる英語を話したら本当に困った顔してた。昨日までアーメンとか、ハローとか言ってた子供が、いきなりThe Exploited「Fuck the USA」をアカペラで大熱唱し出すから、ソノウタハウタッテハイケマセン!て、カタコトで諭されてた。

♣︎punkとの出会いから、今日まで続いている原動力を聞かせてください。

若い頃から日本のハードコアが大好きで、狂ったみたいに同じレコード、同じ曲を繰り返し聴いてた。身体に染みこます感じ。インプット、取り込みに凄く時間がかかる方で気にいると、ずっと聴く。ハードコアの歌詞にも学んだ事が大きくて、この30年近く沢山吸収した物を、誰かにもちゃんと渡したい。もちろんこれからも、インプットを繰り返し続けていくけど、それよりもアウトプットをガンガンしていきたい。形はどうであれ、受け取ったものを、誰かに投げ返したい。パンク、ハードコア、音楽に救われた物、取り込んだ物を新しい時代に、ぶっ飛んで放出していきたい。原動力は好きな気持ちですかね。

♣︎これからの未来の事も聞いても良いですか?ROCKETが何処へ向かうのか?

自粛中に多肉植物とか、サボテンとか育てるのにハマったんだけど、彼らは本当に、タフでラフ。切って挿せば増えるし、ちょっとの日当たりと、水でグングン伸びる。そんな風に生きて居たい。あと、地元松阪市光町で、奥さんのお店リラクゼーション"de repos"の隣で、ギャラリーを始めました。

ALRIGHT PLACE。版画や、写真、作品を飾って、無料で誰でも見れる様にしてます。弾き語りのライブもやってます。インドネシアのマージナルのアジト、タリンバビや、豊田にあったヨシキくんのお店斑屋、札幌の宮本康太くんのアトリエ、灯幻郷、四日市vortex、高円寺スタジオドムの屋上、ツアー先で見た面白いお店の影響を、全部ここに詰めてゆく。その為にもROCKETはでかい乗り物になって、沢山の人と共有して、見た事の無い景色を見に行きたい。

♣︎ありがとうございました。最後に読者に一言お願いします。

「NEW AREA PASSENGERS」随分時間は掛かったけど、いよいよ発売しました。新世界旅団、これからを良い旅にしましょう!

ROCKET 1st ALBUM
『NEW AREA PASSENGERS』

-収録曲-
物語
DISEL GYPSY
ALL RIGHT PLEACE
PINK NOISE
新しい橋
はぐれ者
RIGHTS FOR LIFE(EKDカバー)

CHECK OUT, PLEASE

全9曲入り定価¥2000

購入は↓

「BASE」
gsfr3.app.goo.gl/BjE1AG

https://umishichi.thebase.in/

「メルカリ」
mercari.com/jp/u/809048271/

ROCKET HP

http://rocketrocketrocket.web.fc2.com/

MV【物語】

https://youtu.be/mqjdesSBRmQ

MV【CHECK OUT,PLEASE】

https://youtu.be/7PPDpR17Hi0

遠距離バンド存続のため、移動費、交通費に当てます。旅は続くよどこまでも