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【社会のリアルに深く潜る】Deep Dive Camp in 西粟倉 実施レポート
皆さん、こんにちは!
ソーシャルインパクトを生み出すエコシステムづくりにチャレンジしている、CarpeDiem株式会社、代表の海野です。
当社では、社会課題のリアルを深く知り、主体的にどのようなアクションがとれるか、考え、行動することで、社会の当事者になるソーシャルビジネス留学『Deep Dive Camp』(以下、DDC)を開催しています。
2022年11月18,19日に開催したDDCでは、人口1,400人ながら40社のベンチャー企業が誕生し、"奇跡の村"として注目を集める岡山県西粟倉村(にしあわくらそん)を訪問し、ソーシャルビジネス成功のヒントを探してきました。
そこで今回は、DDCのプログラムの様子と西粟倉村の取り組みをご紹介します。
■この記事で分かること
・西粟倉村の具体的な取り組み
・『Deep Dive Camp』のプログラム内容と当日の様子
・参加者の声
■こんな方におすすめ
・西粟倉村やエ―ゼロ株式会社の魅力を詳しく知りたい方
・Deep Dive Campへの参加をご検討中のご担当者様、個人の方
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【Deep Dive Camp(DDC)とは】
社会課題のリアルを深く知り、主体的にどのようなアクションがとれるか、考え、行動することで、社会の当事者になるソーシャルビジネス留学事業。ローカルベンチャーと呼ばれる地方の企業や、ソーシャルビジネスに従事する企業を訪ね、各社の取り組みを見学し、話を伺います。
社会のリアル、現場での挑戦者のリアルに触れることで、ソーシャルインパクトを生み出す挑戦を促し、社会を共に前進させていく取り組みになります。
さらに、参加者自身の内省やディスカッションを組み合わせることで、参加者の当事者意識を高めたり、課題の本質が見えたりなど、企業・団体やビジネスパーソンの課題解決につながる研修型の運営も行っていきます。
サステナビリティ、ソーシャルインパクトに興味のある個人の方や、法人・チーム、そして経営や新規事業を担う経営者、幹部のみなさまの視野を広げ、より本音で抽象度の高い挑戦を促していく取り組みとなっています。
【Deep Dive Camp in 西粟倉のポイント】
(1)自然の素晴らしさや共に生きる楽しさを体感することで、今まで以上に持続可能な事業づくりへ本気で取り組む行動変容の機会となる
(2)真の森の仕組みや生態系、生物間の相互作用から持続可能なビジネスへのヒントを得る
(3)森林率 93%、人口 1400人、森しか無かった西粟倉村が、独立を決めて今まで歩んできたスピリットを体感し、「主体性を持って熱く生きる」マインドを持つ
1. 奇跡の村『西粟倉村』の魅力とは
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まずは西粟倉村についてご紹介します。
2004年、西粟倉村は政府主導で行われた “平成の大合併” で周辺市町村が統合を進めるなか、近隣と合併せず自立して生き残る道を選びました。
生き残るためには地域資源を生かして循環させることが重要である。
そう考えた同村は、村の主要産業である林業を軸とした理念『百年の森林(もり)構想』を掲げます。
この構想には行政はもちろん、民間企業が二人三脚で村づくりに取り組みました。その中心人物が、エーゼロ株式会社代表取締役の牧大介さんです。
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牧さんは村の木材を加工し付加価値を高めて提供していく「林業の6次化」に挑戦するため、2009年に『株式会社西粟倉・森の学校』(以下、森の学校)を創業しました。
地域おこし協力隊制度を活用したり、メディアで村をPRしたりすることによって、西粟倉村でチャレンジしてみたいという人を呼び込むことにも成功。「起業家が集まる村」として認知され、これまでに西粟倉に移住をした人は200人を超えます。
ノウハウも蓄積されてきた2015年。牧さんは地域再生のロールモデルとして「西粟倉モデル」を他地域へ広げようと『エーゼロ株式会社』を立ち上げました。現在では全国へと西粟倉モデルが展開されています。
エーゼロ株式会社
西粟倉発のローカルベンチャー。木材の加工流通・うなぎ養殖・ジビエの食肉処理等を含めた、農林水産業の6 次産業化の取り組みを行うほか、移住起業支援事業(ローカルベンチャー育成事業)を行う。北海道厚真町、滋賀県高島市でも活動中。
公式HP:https://www.a-zero.co.jp/
ここまででご紹介したのは西粟倉村の取り組みの一部ですが、なぜ西粟倉村が"奇跡の村"と呼ばれているか、お分かりいただけたでしょうか。
ここからはDDCの様子や参加者の方の声と共にソーシャルビジネス成功のヒントをご紹介していきます。
2.プログラム1日目
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プログラム1日目は4か所を訪問しました。
①若杉原生林
②旧影石小学校
③BASE101%
④あわくら温泉 元湯(宿)
①若杉原生林
原生林から持続可能なビジネスへのヒントを得る
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自然の中で昼食とオリエンテーションを行った後、まず初めに訪れたのは西粟倉村の最北端に位置する『若杉原生林』。
ブナ、カエデ、ミズナラ、トチノキなどの巨木をはじめとした199種類の樹木が立ち並ぶ中国地方でも有数の天然樹林です。
今回のDDCでは、以下の目的から自然の中で過ごす時間を多く取り入れました。
(1)自然の素晴らしさや共に生きる楽しさを体感することで、今まで以上に持続可能な事業づくりへ本気で取り組む行動変容の機会となる
(2)真の森の仕組みや生態系、生物間の相互作用から持続可能なビジネスへのヒントを得る
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エーゼロのみなさんのガイドのもと遊歩道入り口までたどり着くと、そこからは一人ずつ時間差で出発し、『歩く瞑想』を体験。
参加者のみなさんは谷のせせらぎや木々の揺れる音、野鳥の声に耳を澄まし、自然と自分の中の変化を感じながらゆっくりと遊歩道を歩いていきました。
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歩く瞑想で森を感じた後は、大学院で森林生態学を研究していた経歴も持つ牧さんによる『原生林ツアー』で森への理解を深めていきます。
生き物が生き残っているのには理由があります。
数百年という時を生きている森から、それぞれの植物の生きのこり戦略、自然界における調和、生き物間の相互作用など、普段とは違う視点で持続可能性を考えたことで参加者のみなさんは多くの視点を得た様子でした。
②旧影石小学校
『未来の里山』の取り組みから持続可能な暮らしを学ぶ
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続いて訪れたのは、廃校をリノベーションし活用されている『旧影石小学校』。エーゼロをはじめ、西粟倉発のローカルベンチャーの拠点となっています。
ここでは江戸時代 200年続いた「持続可能な暮らし」である里山について学び、「未来の里山」の取り組み事例としてエーゼロの事業を視察しました。
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ウナギの養殖事業、ジビエ事業、低コストモデル住宅の建設など、様々な取り組みを行っていますが、いずれも地域資源の循環的な活用を考慮しているのが特徴です。
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特に印象的だったのは、小学校に隣接する体育館を活用して行われているウナギの養殖。西粟倉村は面積の93%を占める森林のおかげできれいな水にも恵まれており、ウナギの養殖に向いているのだそうです。
研究と改良を重ねて育てられたウナギは、西粟倉村のふるさと納税の返礼品としても人気を博しています。
③BASE101%
"人と自然の可能性発掘基地"で村の特産品を味わう
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旧影石小学校を視察後は、夕食会場の『BASE101%』へ移動です。
同施設は昨年3月にオープンしたばかり。"人と自然の可能性発掘基地"というコンセプトのもと、カフェ、レストラン、木材加工工場が併設されており、いちごのシーズンにはいちご摘み体験も行っています。
人と人、人と自然において、可能性の発掘を地道に繰り返し、100%を超えた101%⇔101%になる関係を丁寧に育みたいという意思が込められているそうです。
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直前に旧影石小学校で見たウナギやジビエを使った料理を、自然に感謝しながらおいしくいただきました。
④あわくら温泉 元湯
地元で愛される温泉付き宿で非日常を味わう
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宿泊先は、地元で愛される『あわくら温泉 元湯』です。
大自然に囲まれた元湯でゆっくりあたたまった後は、星空のもと焚火を囲んで参加者同士の交流を深めていきます。
わずか2日間という期間にも関わらず参加者同士で事後にもつながる関係が築けのも、DDCならではの体験価値の1つです。
自然の中で自分の感情や価値観を共有し、宿では焚火を囲みながら人生について語り合うという非日常的な体験が質の高い交流をもたらしています。
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3.プログラム2日目
森林の中で自分自身と対話する
プログラム2日目は終日『産水の郷森林浴公園野鳥苑』へ。
午前中はPCやスマートフォンを手放し、美しい森林の中で自分自身と対話するという体験をします。
落ち葉の上に寝そべる人や、紅葉が見える場所に座り遠くを見つめる人、向かいの山が見渡せるほど高台まで登り風を感じる人など、各々の時間を過ごしていました。
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お昼は開放的な自然の中で再びジビエ(鹿肉山椒キーマカレー)を味わい、それぞれの過ごし方を共有しました。
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午後はいよいよ最後のプログラムです。
午前中どういった時間を過ごしたのか、自己との対話を通して何を思い、それをどう今後に生かしていくかについて一人一人共有しました。
会議室で行う研修とは異なり、自然の中で自分の意識や感情の変化に集中したことで、自分の本当の欲求に気づきやすくなります。
こうした「自然の中で自分と向き合う」「自然から学ぶ」という体験から自己理解を深めることができるのも、DDC in 西粟倉ならではの体験価値の一つです。
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4.参加者の声
2日間のプログラムを通してどんな気づきが得られたのでしょうか。
事後アンケートによる参加者のみなさんの声の一部をご紹介します。
<1日目>
・途中裸足で森の中を歩いたりしながら身体感覚として感じることと、木や森や植物の成り立ちに関する話を牧さんから伺ったことによる頭で理解することがクロスして森、ひいては生態系や生存戦略、抽象化するとビジネスにも通ずるものがあることが面白かったです。
・自分で森を歩くだけでは気づかなかった視点を得ることができ、とくに長い時間軸で俯瞰することや、会社組織とのアナロジーで気づかされたことが多くありました。
・スマホも持たず何も考えず、ただ佇むだけという時間は人生通してみても数少ない貴重な経験でした。自分がイチ生物として呼吸をして生きており、それと同じく木や森も呼吸をしていること、動いていること、生きていること、自分がその中の一部でしかないことを体感できた空間であり、印象に残っています。
・森や生態系に対しての分厚い知識が、ビジネスに例えることで、こんなにも浸透し自分事化されるのか!という発見がありました。森に対しての認識自体が変わり、視点も変わりました。
<2日目>
・2時間何も制約がない中で、好きなところに行き、空と森を見つめながら、自分が自由であるという感覚、自分は何をしたいのかどう生きたいのかなど、忘れかけていた感覚を取り戻したり、日常生活の中でなかなか向き合えなかったことをゆっくり考えたりと、得たものが多かったです。
森の中、2時間、という条件が揃わなかったらきっとこの感覚は得られなかったと思います。
・何もしないという贅沢な時間を社会人になってから初めて経験した。自分や周りの幸福を考える新たなきっかけになりそう。
<2日間を通して>
・この2日間の体験は、自ら足を運び、体感しないと伝わらない貴重なものでした。 だからこそ、世の中をよくしようと何かにチャレンジしている人、リーダーとして日々ぐちゃぐちゃになりながら奮闘している人に体験してもらいたいですね。
・普段絶対に足を運ぶことのない地域で、することのない貴重な経験をでき非常に充実した時間でした。森にあんなに長時間居たこともはじめて、ジビエを食べたのも初めてでしたが命の循環を感じることができました。
これがより多くのリーダーや企業に広まっていくことで、社会が何かよくなるきっかけのプログラムとなってほしい思います。
5.おわりに
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いかがでしたでしょうか。
西粟倉村とエーゼロの取り組み、そして自然との対話から得た参加者の方の気づきが、みなさんの取り組みを加速させるヒントになれば嬉しく思います。
最後までお読みいただきありがとうございました!
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CarpeDiem株式会社
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